病院薬剤師の一日:TDM


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病院薬剤師の業務は様々なものがあります。

前に病棟業務と調剤について説明しましたが、薬剤師は薬のプロ!

今回は薬剤師ならではの仕事、TDMについて書いていきます。

病院薬剤師が行うTDM

TDMという言葉。

初めて聞く方もいるかもしれませんが、薬学部、または薬剤師でこの言葉を知らない人はいないといっても過言ではありません。

TDMとは、

Therapeutic Drug Monitoring

の略で、日本語では治療薬物モニタリングのことです。

簡単に言うと、投与されている薬物の血中濃度を測定して、薬物動態学的な計算を用いてそれぞれの患者さんにあった投与量を設定することです。

これだけ聞いてもなんのことかわかりにくいと思うので、さらに詳しく説明します。

TDM対象薬物

世の中には様々な薬物がありますが、その全てがTDMを行う対象薬物ではありません。

そもそもTDMが必要な薬物というのは、治療で用いられる量と、毒性いわゆる副作用が発生しやすい量が極めて近いものによく使われます。

例えば点滴ではバンコマイシンやゲンタマイシンなどの抗菌薬をはじめ、喘息に使われるテオフィリンや痙攣に使われるフェニトインなどがあります。

テオフィリンはアンサングシンデレラの漫画でも喫煙との関連を取り上げていました。

TDMに必要な採血

TDMを行うためには、薬学的な知識や計算能力もある程度は必要ですが、何より患者さんの血液を採血して得られる薬物の血中濃度の情報が必要です。

最近では、インフォームドコンセント。

いわゆる治療に対する説明と同意が患者さんと医療者の間に必要なため、採血を行う際にも薬の濃度を測るために。。。

と説明を受けたことがある患者さんもいるかもしれません。

それこそがTDMに必要な薬物血中濃度のための採血なのです。

薬物でもある程度服用期間が長いものは定期的に血中濃度の採血が必要ですし、入院中など急性期における治療の効果をみるため、また副作用が出ないようにするためにある程度頻繁に行われることもあります。

もちろん1回だけの採血でも評価することは可能ですが、薬物によっては2回やそれ以上必要なものもあります。

TDMの方法

それではいよいよTDMの方法。

いわゆるやり方についてです。

TDMには薬物動態学の知識が必要です。

分布容積や半減期などといった単語に代表される用語と、実際にそれらを求める計算式です。

より詳しく知りたい方は、実例とともに解説してくれるこのサイトをご参照ください。

上記のサイトではかなり専門的すぎるため、もっとかみくだいて説明します。

TDMの計算

TDMの計算は公式のようなものも存在しますが、実際は先ほど説明した血中濃度を採血した時間帯と薬物の投与された時間の関係をもとに計算します。

それぞれTDM対象薬物には、目標血中濃度といわれる目指すべき数値が過去の研究結果から導き出されています。

その目標血中濃度にするために、いろんな計算式や計算ソフトを駆使して薬物の投与量や投与間隔(1日で何回使うか)を決めます。

ただ、何事にも裏技があるようにこのTDMについてもすべてに適応はできませんが、ある程度カバーできる裏技もあります。

TDMの裏技

難しい公式や、用語を覚えて計算することも大切ですし、世の中にあるTDM用の計算ソフトへ値を代入して評価することも重要ですが、実際現場で使われている裏技の一つが比例を用いた計算方法です。

これは、投与間隔(1日で何回その薬物を使用するか)が同じであれば血中濃度を2倍にしたければ投与量も2倍にすればいいというもの

もちろんすべてがこれで解決するわけではありませんが、投与間隔が同じであればある程度対応可能な裏技です。

詳細はぜひ質問でも受け付けていますので、サイトから直接でもTwitterからでもお問い合わせください。

TDMは薬剤師の武器

ここまで説明してきたTDM。

実際は医師でも理解している人は一握りです。

抗菌薬のTDMは広くガイドラインなどでも認知されていますが、感染症の専門家であっても詳しいTDMの内容や方法は薬剤師任せなところが大きいのが事実です。

ましてや看護師や検査技師、放射線技師などなど、多職種の中でも薬剤師が最も理解できている分野であるからこそ、武器でもあります。

薬学部で基本的な薬物動態の考え方や計算方法は習いますが、実臨床で使えてこその知識と技能なので、薬学性も頑張ってください。

TDMは薬剤師国家試験でも必須の問題

薬学部では薬物動態学以外にもさまざまな学問を習いますが、薬物動態学の問題は薬理学とともに重要な位置づけです。

薬剤師国家試験も近年かなり問題の出題形式は変更されていますが、それでも薬物動態学の問題、TDMに関する問題はほぼ毎年何かしらの形で出題されています。

それくらい重要視されている学問が薬剤師の武器にもなります。

まとめ

今回は薬剤師の知識を発揮できるTDMについて記載しました。

薬学生または薬剤師向けな内容かもしれませんが、病院薬剤師が実際に行っている業務の一つとして認識してもらえると嬉しいです。

薬学部の入学や実際の学生生活については下記の記事でも触れているので、ぜひ見てください。

【現役薬剤師が解説する奨学金】薬学部の学費と奨学金、教育ローンについて。

2018年10月26日

薬剤師になるには:薬学部へ入学後、就職後のお金事情まで。

2018年9月10日


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!