女性に多い繰り返す膀胱炎


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若い女性に多い、繰り返す膀胱炎について

頻尿感、排尿時痛、残尿感を訴える患者で膀胱炎を疑うのは容易ではあります。

膀胱炎を繰り返す患者の中には、自身で抗菌薬を希望して受診する方もいます。

女性に多い繰り返す膀胱炎

膀胱炎の中でも外来で簡単に診断治療できるのは単純性と定義される閉経前で若い女性の膀胱炎のみ。

つまり全ての男性、小児、閉経後の女性の膀胱炎は複雑性に該当します。

男性の複雑性膀胱炎では背景に前立腺肥大や時に繰り返す場合に慢性前立腺炎が存在することがあるので、原則として泌尿器科が専門となります。

閉経前の若い女性で膀胱炎を疑った際に、除外しておかなければならない疾患もあります。

それは尿道炎や膣炎です。

尿道炎や膣炎でも頻尿感や排尿時痛がしばしば出現します。

膀胱炎は大半が大腸菌の感染症です。

しかし尿道炎はクラミジアや淋菌、膣炎はカンジダやトリコモナス、ガードネラバジナリスの感染で生じます。

女性の尿道炎は、頻度は膀胱炎より少ないですが、診断されないまま膀胱炎として抗菌薬を処方されているケースもしばしばあります

治療しなければピンポン感染のリスクもありますから、しっかりと診断する必要があります。

ちなみに尿道炎は性感染症ですが、カンジダ膣炎は抗菌薬の投与や糖尿病、ピルの投与などで生じますので性感染症ではありません

同じ膣炎を生じる病原体でもトリコモナスは原虫であり、性感染症です。

性感染症では増え続けている梅毒。

梅毒に関しては、以下の記事も誤算書ください。

梅毒の流行に注意:発疹などの症状が出たら医療機関受診を推奨

2019年6月12日

梅毒の感染が拡大中:自分は大丈夫は危ない!!

2018年12月28日

膀胱炎を疑った場合、性感染症か判断できない場合、または受診できない場合でも自宅で検査できるキットもあります。

膀胱炎の鑑別に尿培養は必要か。

真菌感染症であるカンジダ膣炎はいわゆるカビによる感染症です。

カビにはカビに効く薬、抗真菌薬が必要です。

膀胱炎を疑ってクラビットを処方して、さらに悪化するのはあまりよくない結末です。

単純性膀胱炎と膣炎、尿道炎の鑑別に尿検査もグラム染色も必ずしも必要ではありません。

若年女性の単純性膀胱炎の診断は臨床症状で容易に診断できます。

大切なのは病歴聴取です。

患者が急性の頻尿、残尿感、排尿時痛を訴えた場合に、帯下の増加と陰部掻痒感を追加で問診。

この2つの問診がともに、「いいえ」「No」であるならば、患者を90%の確率で膀胱炎と診断できるとされています。

問診で膀胱炎を疑った場合のポイントは発熱です。

膀胱炎では普通は発熱しません。

そのため発熱があれば、急性腎盂腎炎の併発や骨盤内炎症症候群を疑います。

また発熱が乏しくても、頻脈や血圧低下、頻呼吸、意識の変容があれば膀胱炎ではなく腎盂腎炎の可能性が高くなります。

身体所見では、背部痛と左右の背中の打診で痛みがないか(costovertebral angle tenderness:CVA 叩打痛)の確認が重要と言われています。

ともに陰性であれば、問診と合わせて膀胱炎の診断となります。

また、膿尿であっても膀胱炎とは判断できませんが、膿尿がなければ膀胱炎以外の疾患を疑うこともできます。

膀胱炎診断に尿検査は必要?

ここからは診断の話になるので、専門的な話に少しなります。

膀胱炎の診断に尿検査は必要ないのかどうか。

病歴では膀胱炎が疑われるが、典型的ではなく問診で他の疾患も疑っているという場合には尿検査の意義はあると言われています。。

細菌尿の有無を試験紙で判定する検査には、白血球エステラーゼ反応(感度 74~96%、特異度 94
~98%)と亜硝酸反応(感度 35~85%、特異度 92~100%)があります。

両方とも迅速かつ簡易に判定できますが、感度が低いことが問題とされています。

もし細菌尿の有無を調べるには、理想としては尿沈渣とグラム染色を行うことが進められています。

尿沈渣で5個/400倍視野以上、計算盤法で10個/µL以上の白血球を認める場合は、膀胱炎と診断できます。

しかし、尿検査で白血球反応があった場合は尿道炎の可能性もあります。

尿道炎の可能性を否定できない場合は、性感染症の可能性がないかを問診で確かめ、グラム染色を行う必要があります。

大腸菌のようなグラム陰性桿菌が確認できれば膀胱炎の可能性が高まります。

大腸菌は膀胱炎の原因になりやすい菌の一つです。

淋菌のようなグラム陰性双球菌を認めれば尿道炎となります。

菌が確認できなければ、クラミジア性器マイコプラズマを疑います。

まとめ

今回は若い女性がなりやすい膀胱炎にフォーカスを当てて記載しました。

膀胱炎以外にも類似の症状で悩ましいのが性感染症です。

子宮頸がんの原因でもあるピトパピローマウイルス(HPV)など、病原菌の種類は多種多様です。

自身で抗菌薬の処方を希望する場合もあるかもしれませんが、正確な診断が必要なためまずは受診をお勧めいたします。

忙しくてどうしても受診ができないなどの場合には、自宅で簡単に検査することができる検査キットもあります。

どうしてもの場合は、利用することもいいかもしれません。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!