髄膜炎菌の怖さとワクチンの必要な集団について。


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薬剤師目線:髄膜炎菌について

2017年の夏、ある大学の学生寮に入っていた10代の学生が髄膜炎菌に感染して、亡くなりました。

国内ではまれな病気ですので、原因菌もあまり聞き慣れない名前だと思います。
しかし、この髄膜炎菌によって引き起こされる侵襲性髄膜炎菌感染症は、命に関わる非常に危険な感染症の一つです。

今回は、その髄膜炎菌とワクチンの必要性についてです。

ワクチンに関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

妊娠中のワクチン、薬、食べ物。大丈夫なものと注意が必要なもの。

2018年9月26日

子宮頸がんワクチンは、断然接種推奨です。

2018年9月1日

潜伏期間と初期症状

平均的な潜伏期間は4日間。
初期症状は発熱、頭痛、吐き気など通常の風邪と似ています。

一方で、症状の進行は非常に速く、発症から半日ほどで、血液の中に菌が増殖する菌血症となり、さらに脳脊髄液の中に菌が侵入して髄膜炎を引き起こすと言われています。

髄膜炎

髄膜炎になると、不機嫌で感情が高ぶった状態から、眠りがちになり、意識障害へと進展します。

また、首の後ろ部分である項部の硬直がみられます場合もあります。

これは、髄膜の炎症によって、後頭部から首の筋肉が反射的に緊張し、首が前に曲がらなくなる症状です。
風邪症状にプラスしてこの症状があったら、注意が必要かもしれません。

その後、菌血症の進行によ り、血圧低下、副腎出血、多臓器不全(敗血症)を起こすことが知られています。

治療

治療としては、一刻も早くペニシリン系やセフェム系の抗生物質を静脈注射で開始することです。

抗生物質による治療の効果が出れば、2 週間前後で髄膜炎症状は軽くなります。

しかし早期から、高熱、けいれん、意識障害、血圧低下、全身の出血をきたす劇症型で発症し、 重篤な経過で、集中治療が必要な状態となることもあります。

このような経過から、発熱、せき、鼻水などの風邪症状に加えて、急激な頭痛、吐き気、意識障害、項部硬直の症状が現れた場合、髄膜炎菌などによる髄膜炎の可能性がありますので、できる限り早急に医療機関を受診することをお勧めします。

日本の現状

日本国内での最近の侵襲性髄膜炎菌感染症の患者発生は、

2013年 23 人
▽14 年 37 人
▽15 年 34 人
▽16 年 43 人
▽17 年 23 人
となっています。

死亡率は 15%と非常に高く、救命されても脳障害や難聴、身体障害などの後遺症が残ることがあります。

病原体である髄膜炎菌は、患者だけでなく健常者の鼻咽頭からも分離されます。その割合は世界的には5~20%程度で、国内では 0.4%です。

感染経路は、くしゃみ、せきなどによる飛沫感染で、鼻やのどの粘膜から感染します。

体力が低下している場合や、免疫系の病気がある場合は、気道の粘膜から血液、脳脊髄液に菌が侵入して、重篤な症状を引き起こします

国立感染症研究所の患者発生動向(13年4月~17年10月)によると、発症のピークは、4歳までの乳幼児と15 歳~19 歳、40~70 代前半にみられました。

10 代後半での患者発生が多いのは、学生寮やクラブ活動の合宿など、狭い空間での共同生活により感染リスクが高まることが要因と考えられ ています。

ワクチンについて

髄膜炎菌に対してはワクチンが開発されています。

欧米では、11歳~14歳前後での予防接種が定期化されている国が多く、最大の流行地域であるアフリカでは、21カ国、2億8千万人を超える人々にワクチンが接種されています。

日本では 2015年から、任意で髄膜炎菌に対するワクチンの接種を受けることが可能となりました。

費用は、一部の患者(発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療薬である「エクリズマブ」の投与対象者)を除いて、全額自己負担です。

対象は2歳以上で、接種可能な医療機関はインターネットで検索することができます。

まとめ

髄膜炎菌による感染症。

怖い病気ではありますが、頻度は多くはありません。

しかし、伝播しやすいうえに、感染すると重篤化する病気なので、

  • 海外に渡航する前
  • 進学に伴って共同生活の機会が多くなる

以上のような場合は、髄膜炎菌の予防接種をぜひ検討してもいいのかもしれません。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!