高まる感染症のリスク~ジビエブームの中で~


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肉食系女子や草食系男子などが、流行したのはまだ記憶が新しいかと思います。

やはり、食事の中でも抜群の人気のあるお肉。

食べ方は、焼いたり、煮たり、しゃぶしゃぶしたりとさまざまですが、お肉を食べると幸せな気持ちになりますよね。

そして、ここにきての

薬剤師目線:野生鳥獣肉(ジビエ)ブーム

わたくし自身も誘われて食べに行ったこともあります。
そのときは、ジビエ界隈の理事長がいらっしゃるコアな集まりでしたが、とても美味しくそして楽しくいただきました。

シカ肉やイノシシ肉などを扱うお店も増えてきました。

読んでいただいている中にも、ジビエ料理店に行ったことがある方は少なくはないのではないでしょうか。

臭みがないジビエ料理は、ヘルシーだったりして豚肉や牛肉とは違った魅力があります。

しかし、普及が進む中で注意が必要なこともあります。

それは、感染症です。

ジビエと感染症

と思うかもしれませんが、最近では結構問題になっています。

ちなみに、この記事はジビエ料理やその専門店を否定するものではありません。

しっかりと管理されているお店では問題なく安全に食べることができます。

妊婦が動物園に行っても特に問題ありませんが、ジビエを食すときは注意が必要です。

クマ肉を食べて、旋毛虫症に

2018年10月末ごろに行われた、

日本感染症学会東日本地方会

その名の通り、感染症を専門とする集団の集まりです。

私も勉強のために参加してきましたが、そこでの報告では、

クマの肉を食べたことで旋毛虫症を発症した事例が、相次いで3例発生したことが報告されました。

3例とも同じ1 頭のクマの肉が原因となった食品です。

食べ方としては、2例はローストして食べ、1 例はカツにして食べていたようです。

札幌の医師が報告をしましたが、最後にその医師は、

ジビエブームの中、旋毛虫症などの感染症リスクが高まっているとして、一般消費者へのさらなる啓蒙が必要と指摘しています。

クマ肉のローストを食べて旋毛虫感染に

一つ目のケースの詳細

従来健康であった北海道在住の40歳代男性。

2018年春にハンターから譲渡された狩猟直後のクマ肉を1週間程度、冷蔵保存していました。

その後、自宅でロースト調理し食べたようです。

食事をしてから22日後に発熱。

その後、かゆみを伴う全身発疹が現れ、咳嗽、呼吸困難感、口唇の腫脹、筋肉痛も出現しました。

近くのクリニックを受診しアレルギーとして治療。

いったん呼吸困難感や発疹は改善しましたが、その後掻痒が悪化したため市内病院を受診しました。

症状や経過の詳細は割愛しますが、最終的に患者からローストしたクマ肉を食べたことが聴取できていたことから、旋毛虫感染症疑いとして治療が開始されました。

アルベンダゾールという寄生虫に対する薬を5 日間と、ステロイドであるプレドニンを1日30mgから少しずつ減量して計19日間投与の投与が行われました。

その結果、発疹が治るまで時間はかかりましたが、次第によくなり、クマ肉を食べてから10週間後に完全に消失しました。

治療開始と並行して寄生虫検査も行われましたが、当初は抗旋毛虫(旋毛虫感染によって上昇する検査値)の抗体価が低く、クマ肉を食べてから37日後に検査では陽性となりました。

また、クマ肉を食べた翌日から冷凍保存されていた同じ個体のクマ肉からは旋毛虫が検出されました。

そのため旋毛虫症と確定しました。

患者からの聞き取りでは、食べたクマ肉は塊ごと約10分間表面を焼き、その後余熱で加熱していたようです。

表面以外の内部の肉は赤いままだったことが分かっています。

二つ目のケースの詳細

30歳代の女性です。

一つめのケースと同じ日に、同じローストしたクマ肉を食べていました。

食事をした20日後に一つ目のケースとほぼ同じような症状が出始めました。

同じような経過をたどり、同じ薬を処方され症状が消失しました。

そこで、クマ肉を食べたことが原因で旋毛虫症となった事例が二つと続いたことから、

同じクマ肉を食べた人を追跡調査が始まりました。

その結果二つ目のケースの母が抗旋毛虫抗体価が陽性となりました。

三つ目のケースの詳細

三つ目のケースは、生のクマ肉をカツにして食べていました。

食事をしてから1カ月ほどして発熱、手足や体の筋肉痛、発疹が出ましたが、その後数日で症状は自然消失したようです。

今回のケースは治療はしていません。

まとめ

2016 年に茨城県で旋毛虫による集団食中毒が発生したことを受けて、厚労省が「クマ肉による旋毛虫(トリヒナ)食中毒事案について」を発信しました。

さらに改めて「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」(厚労省、2014 年)の遵守を求めています。

しかし、今回の三つのケースの旋毛虫症が相次いで発生した背景に、

シカ肉と同様に、ローストすればクマ肉も安全との誤解があった

と指摘されています。

クマ肉はしっかり火を通して食べましょう。

美味しいお肉を食することができる、ジビエ料理。

それぞれの肉によって調理法に注意が必要な場合があります。

専門の料理店で食べるか、専門家の意見を参考にしましょう。

ジビエ料理のセミナーなどもあるようなので、ご興味がある方は参考にしてみてください。

日本ジビエ振興協会

最後まで、お読みいただきありがとうございました。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!