テレビ、タブレット、スマホが子供に与える影響


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急激なITの普及によってどこにいても映像を見ることが可能になりました。

子供を静かにさせるために、タブレットやスマホで映像を見せることがあまりよくないのではないかともいわれています。

その一方で、幼いころから多様な刺激を与えることで脳の活性化や発達を促進するのではとも言われています。

子供にテレビやタブレットは良いか悪いか?

テレビやタブレットを子供に見せていいのかどうか。

この問いに明確な答えを持っている保護者は、多くはないかもしれません。

テクノロジー企業のトップが、

自分の子供にはスクリーンを見せる時間をきっちり制限していた

という話や、

教育的な内容であれば大丈夫

2歳までは見せてはいけない

などと、いろいろな意見があって実際に何が正しいのかよくわからないのが本音です。

科学的な側面から考えようとした場合、実際の研究では、どんなことがわかっているのかを今回は取り上げてみます。

テレビっ子のほうが語彙力は高い!?

ワシントン大学による研究

対象の期間は、1994年から2000年

対象年齢は5~7歳の子供です。

それらを調査した結果、6~7歳時点での読解力・語彙力テストや短期記憶のスコアは、3 歳未満の時にテレビを見ていた時間が多ければ多いほどわずかに低下していた。

しかし、語彙力については、3~5歳時点でのテレビ視聴時間が多いほど、わずかに上昇していた。というもの。

年齢によってテレビの影響に違いがあるのは、子供たちの理解力が異なるからだと考えられています。

なぜなら、子供が教育番組の意味をきちんと理解できるのは、2〜3歳以降と言われています。

コネチカット大学による研究

この研究では、15~24カ月の子供48人を対象に、テレビ番組を通して新しい言葉を教えることができるかが調べられました。

すると、大人が目の前で実物を見せて教えた場合の正解率は67%、大人が物の名前を言うビデオを見せた場合は53%でしたが、教育番組を見せて教えた場合は40%でした。

まだ内容を理解できない年齢の子供にとってはたとえ教育的なプログラムであってもただの映像や音であり、教育的な効果はあまり期待できないとのこと。

一方で、3歳から10代にかけては、教育番組を見ていると男の子は高校の成績がよくなるという研究もあります。

良い内容のコンテンツであれば、2〜3歳以降にテレビやタブレットを利用するのは良い影響があるかもしれません。

テレビのつけっぱなしはいいの?悪いの?

テレビやタブレットを見せるのではなく、リビングでつけっぱなしにしているのは、 子供にいい影響を与えるのか、はたまた悪い影響を与えるのかを考えていきます。

マサチューセッツ大学による研究

2008年に、テレビを流しっぱなしにすることの影響を調べた結果、

12カ月の子17人、24カ月の子16人、36カ月の子17人を集め、1時間おもちゃで遊んでもらいました。

そのうち30分は、部屋のテレビをつけておき、残り30分は消しておきました。

すると、子供たちがテレビを見るのは6分間に2~10回程度、テレビを3秒以上見ていたのはそのうち30%で、ずっとテレビを見ているわけではありませんでした。

また、テレビを付けた状態だと、おもちゃで遊ぶ時間は5%減少し、集中して遊ぶ時間も減少していたことがわかりました。

おもちゃを別のものにみたてたり、おままごとのようなロールプレイを含んだりするような複雑な遊びの時間は、テレビがついているかどうかではっきりした差がありませんでした。

つまり、テレビがついていると、やはりわずかに気を散らしてしまうという影響はありますが、 本当に集中しておもちゃで遊ぶような時間は、あまり変わらないという結果でした。

すべて“ダメ”にするのはよくない

直接体験とともに赤ちゃんや2歳頃までの子供は、教育番組から何かを学ぶのは難しいかもしれません。

しかしテレビやタブレットを見せることがとても悪いということではなく、人との関わりや直接体験することを通して、学ぶ時間が確保されているかどうかが大切です。

テレビやタブレット、スマートフォンは、それ自体が良いもの、悪いものというものではなく、一つの道具です。

2020年からは小学校のプログラミング教育が必修化され、ICT教育も普及が進む流れにあります。

子供の年齢に合わせて、良い使い方を考えていく必要がありそうということです。

タブレット、スマートフォンの使用時間について

では、実際にテレビやタブレット、スマートフォンを使う時間はどうなのか。

これについては、長いとあまり体には良くないイメージがあるかと思います。

実際にスマホ関連病とも言われる病気は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの使い過ぎが原因と疑われる心身の不調のことです。

使用時間を減らすのが改善の早道であることは言うまでもないですが、若年者では不調の自覚がないことが多く、指導が難しい場面が多いといわれています。

眼の異常に無関心な子供の言い分

デジタルデバイスの過度な利用が原因と考えられる後天共同性内斜の場合、スマートフォンの利用を制限することでかなり改善する可能性が指摘されています。

しかし、改善が得られない場合には治療が必要となります。

まずは、検査で元々の疾患、近視、遠視の有無を確認し、負担の少ない治療から開始していくことが一般的です。

後天共同性内斜視で受診するケースは、そもそも、度数の合った眼鏡をかけていないことが多いのです。

コンタクトレンズも装用していません。

問題は、患児本人に病識が無いことです。

内斜視の自覚症状に複視がありますが、複視では遠くのものが 2 つに見えるので、近くにあるスマートフォンの画面を見るのには困りません。

学校の黒板の字は見えづらいはずですが、そういった場合は、

「片眼をつぶってノートを取る」

のだと言います。

「眼が 2つあるのだから、2つに見えるのが普通だと思っていた」

という子もいます。

なぜ、眼鏡や コンタクトレンズを使わないの かと尋ねると、

「眼鏡をかけるとはっきり見えるから嫌」

と言います。

では、なぜ受診したかというと友人に眼がおかしいと指摘されたからだというのです。

親子で顔を合わせる機会が少ない中高生

見えづらさは気にしなくても、友人の意見は気にするのです。

中高生になると、同居の親も子供の眼の異常に気付かないことが多くあります。

中高生になると、放課後は部活のあと塾に行って帰宅するのが午後9時や10時になります。

それから 夕飯を食べて入浴して、部屋に入ってしまえば、親子が顔を合わせるタイミングは必然的になくなります。

親も夕方まで働いて、帰宅して夕飯を作ってと、忙しいのが現状です。

それでも、内斜視の子に

「どうしてお母さんの顔を見ないの?」

と尋ねると、

「だって、お母さんの顔が2つに見えるから

と言ったりします。

気付いてはいるが、おかしいと思っていない。

そのため、まずはきちんと眼鏡をかけることを指導し、度数の合った眼鏡を作ることが重要です。

眼の話というと視力を表す数字の話になりがちですが、視覚についても話ができるようになることが大切です。

その上で、スクリーンタイムを減らすこと、そして画面を眼から離して見ることを指導します。

それが第 1 段階です。

それでも

「スマホをやめられない」

「やめたくない」

という場合、また斜視が軽度な場合であれば、 眼鏡へのプリズム装用を試すことがあります。

スクリーンタイムを減らすにはどうしたらいいのか

小学生ならば親が時間を制限して、夜は親にスマートフォンを渡して寝るといった方法があります。

難しいのは中高生です。

親の言うことを簡単にはきかないから、やはり

「よい親子関係を作ってください」

としかいえません。

ちゃんとお互いの顔を見るような親子関係です。

子供自身に、こういった疾患があることを知ってもらうことも重要です。

積極治療は手術とボトックス注射

色々な方法を試しても駄目な場合、積極的な治療を行う必要があります。

現在行われている主な治療法は、

  • 斜視の手術
  • A型ボツリヌス毒素製剤注入法(ボツリヌス注射)

の2つです。

ボツリヌス注射は、数年前に斜視への適用が認められました

注射であれば入院不要です。

患者の負担も少なく、効果に個人差があること、効果があっても3カ月ほどで効果が薄れ て治療を繰り返さなければならないケースがあるという難点があります。

難点はありますが、単回治療で済む率は結構高いともいわれています。

どちらを第1選択とすべきかは決まっていなく、現状は各眼科医の経験によって決定されています。

手術の方が確実という考え方もあります。

デジタルデバイスの長時間使用という状況が変わらなければ、再発するのか?

この病気に関しては、再発しない保証はありません。

手術にせよボトックス注射にせよ、5年ほどは経過を追わなければ 再発リスクは分かりません。

また、どういった患者で発症リスクや再発リスクが高いのか、あるいは治療効果が得やすいのかはまだ分かっていません。

ただ、デジタルデバイスの過度な使用による後天共同性内斜視は、やはり元々近視の方で多い傾向があるようです。

近視の人が眼鏡をかけずに画面を見ようとすると、画面と眼の距離が近くなります

そのため、どうしても寄り目になります。

その状態で、画面から眼を離して遠くを見る と、眼が寄ったまま戻らないことがあります。

今起こっている急性共同性内斜視は、そういう病態ではないかと考えられています。

近視の少ない欧米人では考えづらい病態

急性共同性内斜視(AACE)に関しては、

  1. 遠視
  2. 脳腫瘍などの脳内病変
  3. 精神的ストレス
  4. 近視

以上の4つが原因になることが知られています。

眼鏡をかけていない近視は急に内斜視にな ることがあります。

そのため、現在問題になっている内斜視もスマートフォン使用には関係なく、

「近視を矯正していない患者が内斜視になった」

と考えることもできます。

スマートフォンの過度な使用との関連を調べるには、近視があってスマートフォンをあまり使用しない人と

近視があってスマートフォンを長時間使用している人

での比較が必要になります。

現在行われている調査では、元々の視力・視覚の状態と矯正の状況に加え、眼と画面の距離は何cmあるのか、 何時間見ているのか、座位か臥位か横臥位か、といったことも含めて調査されています。

全ての結果が出るまでには2年くらいかかると予測されています。

まとめ

2019年4月には、世界保健機関(WHO)が

「5歳未満の幼児は1日に1時間以上、座ってタブレットなどの画面を見るべきではない」

という勧告を出しました。

ただし完全に実証されたわけではなく、結論が出るのはまだまだ先だと考えています。

もちろん、6-7歳頃までは視機能の発達期なので、長い時間画面を見ていてよいわけはないですので、一定の根拠はありますが。

ここで批判的に吟味してみると、そもそも欧米では近視が少ないので、スマートフォンの長時間使用が原因となる後天共同性内斜視はにわかには信じ難い病態のようです。

人種の差は文化の差でもあり、日本人におけるきちんとしたデータを出す必要があります。

そして、

「デジタルデバイスの利用によって近視が進むのか」

という根本的な問題もまだはっきりしていません。

確かに近年、近視が増加していて、その増加の時期とスマートフォンが子供たちに普及してきた時期が重なっているのですのは事実です。

国レベルでのしっかりとした検討が必要だと思います。

長文、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!