ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんだけではない!!


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MRICという情報サイトから配信されたメールマガジンにて取り上げられた内容です。

ヒトパピローマウイルス:HPVといいますが、ワクチン接種後の副反応の問題で日本では接種率が格段に下がりました。

マスコミの過剰報道の影響ももちろんありますが、医療者側も健康被害を訴える患者に対してきちんと向き合わなかったことが、この問題を大きく、また長期化させることとなったと思います。

ワクチンと神経症状などの副反応との因果関係(直接の関連性)は、現時点では否定されています

医療者も医療を受ける側も正しく理解したうえで、医薬品を使用することが一番大切と思い、今回まとめました。

世界で広がるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種

イギリス政府は、ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)が関連するがんを予防するために12~13歳の男児に HPVワクチンを接種することを決定した、と発表しました。

米国、ブラジル、カナダ、オーストラリアなど世界20カ国では、すでに男児への接種が推奨されています。

今回の発表により、イギリスも男女ともにHPVワクチン接種を推奨する国の一つに仲間入りしたことになります。

日本の女性での接種率が上昇しないとは反対に。

実際のところ、

「結局、HPV ワクチンって打った方がいいの?」

というのが素直なところだと思います。

結論からは、副反応との因果関係は証明されていないことや、子宮頸がんを防ぐことができる現時点で唯一の方法でもあるため、私からは断然推奨します。

こちらの記事も参照ください。

子宮頸がんワクチンは、断然接種推奨です。

2018年9月1日

ヒトパピローマウイルス(HPV)

最近、小学生の女の子がいる保護者は気になっている話題ではないでしょうか。

しかし実際のところ、HPV ワクチンの未接種、子宮頸がん検診にそもそも行ったことがない、または診療時間中に仕事または学校を休んでまで検査に行けない、などという女性が多いのが現状だと思います。

今回はHPVワクチンについて、世界における研究結果の紹介です。

はじめに、皆さんはHPVが男女問わず感染するということを聞いたことがありますか。

ウォマック・アーミー・メディカル・センターによる調査では、2013年から14年において、米国を代表する 18~59歳の男性1868人のうち、半数近い45%がHPV感染、25%が高リスクHPV感染を認めたと報告しています。

実は、性交渉の経験のあるヒトなら、誰でも一度はHPVに感染すると言われているのです。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の型

HPV には、100種類以上の型があります。

がんの原因になる高リスク型は少なくとも13種類あり、このうち、HPV16 型と18型の 2種類が、子宮頸がんの原因の7割を占めているといわれています。

HPV 感染したからといってすぐがんになるわけではなく、初期に感染した場合の多くは免疫力によって排除されます。

しかし、持続感染してしまうとがんになるのです。

最も一般的なのは、子宮頸がんです。

子宮頸がんのほぼ100%は高リスク型HPVが原因です。

子宮頸がんの疫学

子宮頸がんは、20代後半から40代前半の女性が発症しやすく、日本では毎年1万人が罹患(病気にかかり)し、約3000人が死亡していると推定されています。

母親が幼い子供を残して亡くなっていることから、「マザーキラー」とも呼ばれています。 ところが、子宮頸がんだけでなく、ほかのがんも、HPV感染が関連していることがわかってきました。

中咽頭がんはその一つです。

中咽頭がん

オーラルセックスを介して、喉の粘膜細胞に感染したHPVが周辺の細胞をがん化させるのです。

アメリカ疾病管理センター(CDC)が2011年から14 年のデータ解析を行ったところ、口腔部のHPVの罹患率は、18~69 歳の成人で7.3%であり、男性で11.5%、女性で3.3%でした。

また。高リスク型の口腔部HPVの罹患率は、18~69 歳の成人で4.0%であり、男性で 6.8%、女性で1.2%でした。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで行われた2010 年から 12 年 の調査によると、イギリスにおけるオーラルセックスの頻度は、25 歳から34歳の女性では79.7%、 男性では 80.0%。

かの有名なNature誌においては、オーラルセックスを介することによって、HPV 陽性の頭頸部がんが近年急増しており、1985年の16%から 2025 年には90%にまで 達すると推定されているとのこと。

ほかにも、膣がんや外陰がん、肛門がんや陰茎がんも HPV 感染が関連していることがわかってきました。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

HPV ワクチンを接種することは、パートナーへHPVを感染させないだけでなく、男性も HPV感染による頭頸部がんや肛門がんのHPVに関連したがんを予防できるメリットがあるのです。

HPVワクチンの有効性は、世界的にみとめられています。

そして、副反応で話題となった神経障害などとのワクチンの関連性も証明されていません。

2018 年5月、イギリスに本部のある非営利組織コクランは、様々な臨床試験の評価結果として「子宮頸がんの前段階の予防効果には高い確実性がある」との見解を公表しました。

2016 年に米国疾病予防管理センターは、米国でHPVワクチン接種開始から6年間で、米国の若年女性のHPV感染率が大幅に低下したことを報告しています。

実際のデータとしては、14~19歳の女性は64%、20~24歳の女性は 34%もHPV感染率が低下したというもの。

ワクチンの副反応

ワクチン接種による副反応は様々なメカニズムで起こっている可能性があって、明快な答えは出ていません。

実際、WHO は2017年に複合性局所疼痛症候群・体位性頻脈症候群は, 承認前後の報告でワクチン接種との直接の関連を認めなかったと副反応について声明を出しています。

また、 日本産科婦人科学会は、HPVワクチンの接種勧奨が中止され5年間が経過した間に、国内外において、数多くの研究がなされ、ワクチンの有効性と安全性を示す科学的なエビデンスが、数多く示されたとの見解を 2018 年6月に出しています。

日本のHPVワクチン接種の現状

日本は、平成6~11年度生まれの女子のHPVワクチン接種率が70%程度であるに対して、平成25年6月の接種の積極的勧奨中止などの影響により、平成12年度以降生まれの女子では接種率が劇的に低下してしまいました。

なんと平成14年度以降生まれの女子では1%未満の接種率となっています。

一方、米国疾病管理予防センター(CDC)の2013年の発表によると、13歳から17歳の女性への接種率は2012年では33.4%。

欧州における接種率は、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の2012 年の報告書によると、 イギリス80%、イタリア65%、フランス24%、ポルトガル84%と日本に比べると高い接種率が並んでいます。

今の状態が続くと国際社会において日本だけが、子宮頸がんの発生率が増加するのではないかと懸念されているのです。

そしてこのままではワクチン接種の重要性や必要性が判明したころには、時すでに遅しのような状態になってしまいます。

世界的には接種して当たり前だ、という意識が強いHPVワクチン。

自分だけではなく、愛するパートナーや子供を守るために、今一度、HPV ワクチンについてしっかりとした情報をもとに理解する必要があると思います。

ノーベル医学生理学賞受賞者からのメッセージ

m3.comからの引用です。

このサイトは医療情報全般を網羅、薬剤師はもちろん医療従事者であれば登録していて損はないサイト内容となっています。

2018年ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授は、現地時間の12月8日13時半より、ストックホルム市内のホテルにてノーベル・スピーチ後、初となる記者会見を開きました。

会見の最後にNHKの記者が、子宮頸がんワクチン問題を含む日本の医療政策における課題に関するコメントを求められると本庶氏は、

「NHKさんがこの問題を取り上げることは非常にいいことだと思う。マスコミはきちんとした報道をしていただきたい」

と述べました。

また、

「子宮頸がんワクチンの副作用というのは一切証明されていない。
日本でもいろいろな調査をやっているが、因果関係があるという結果は全く得られていない。
厚労省からの(積極的接種)勧奨から外されて以来、接種率は70%から1%以下になった。
世界で日本だけ若い女性の子宮頸がんの 罹患率が増えている。
一人の女性の人生を考えた場合、これは大変大きな問題だ。
マスコミはワク チンによる被害を強く信じる一部の人たちの科学的根拠のない主張ばかりを報じてきた」

と続けました。

医学や科学の問題について論じる際にマスコミ関係者に注意してほしい点として、

「科学では『ない』ということは証明できない。
これは文系の人でも覚えておいてほしいが、科学では『ある』ものが証明できないことはない。
『証明できない』ということは、科学的に見れば、子宮頸がんワクチンが危険だとは言えないという意味だ」
と述べ、
「なぜこれを報道しないのか。先日学会でも講演し たが、ルワンダなど(リソースの少ない国)でもワクチンを導入して子宮頸がんが減っている」
とコメントしました。

「このことに関し、はっきり言ってマスコミの責任は大きいと思う。
大キャンペーンをやったのは、 朝日新聞、毎日新聞、読売新聞。メジャーなところが全部やった。
そしてNHKも責任の一端があると思う。
今からでも遅くないから、きちんと報道してほしい。
実害が生じている」
と述べ、主要報道機関が誤った情報を広げたことにより、日本人女性が必要なワクチンの接種を差し控えている現状について警鐘を鳴らしたといわれています。

本庶氏は10月5日に藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)で行われたノーベル賞受賞決定後の初講演でも子宮頸がんワクチン問題について取り上げ、

「国際的にみても恥ずかしい状況」

とコメント。

10月11日には根本厚労大臣を訪問し、子宮頸がんワクチンの積極的接種の勧奨再開の要請を行った。

しかし、12月11 日現在、この問題に触れたメディアはありません。

まとめ

冒頭にも書きましたが、現に症状があって日常生活がままならない健康被害にあった患者がいるのも事実です。

その現状を受け止め、健康被害に対する対応を真摯に行えば、日本のワクチン接種率は今後上昇してくるのではと思います。

ちなみに、子宮頸がんワクチンで今一番有効とされるのは9価のHPVワクチンである「ガーシダル9」です。

9価とう数字は大きい方がさまざまなHPVの型をカバーすることができます。

しかし、日本で承認されているガーダシルは4価のもの。

本当の意味で国民の健康を考えるのであれば、ガーダシル9を承認して日本国内でも適応内で使用するという動きも、HPVワクチン接種率上昇には必要だと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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2 件のコメント

  • 女の子の母親として、とても興味深く読ませていただきました。子供がワクチンを打つ頃に、周りの女の子はどうしたか、気になり、何人かに聞くと打つ派がおおかったので、打つことにしました。でも中には、3人の女の子を持つお母さんが、
    打たない、副作用が怖いから、と言われていました。その時はそんな選択肢もあるのかと思いながら、聞き流していました。その直後に、ワクチンによる副作用の女の子がテレビにでていて、打たなければよかった、たまたま、副作用が出なかっただけで、明日は我が身では、なかったのか、とも思いました。その後で、何年かたってから、ワクチンによる因果関係はないと、訴えていた名古屋市の集団も起訴を取り下げたとか、ネットで見て、こんな大事な事を知らなかった自分が恥ずかしくなりました。あと、副作用の時は大々的に流していたマスコミも、あれは間違っていたの一言もなく、素人の私達は、何を信じていいのか、わからなくなってきました。でも、最近始めたツイッターなどで、医師や、薬剤師さんなどが、発信してくれる情報を見て、もっと、勉強しなくては、と思うようになりました。随分話が逸れましたが、この様な正しい情報をどんどん発信して欲しいです。また、受け取った側も(私達)周りにそれを伝えていかなければならないと思います。
    これけらもよろしくお願いします。

    • ミポリンさん
      コメントありがとうございます。

      実際に女の子を持つ親としては、とても気になる内容ですよね。
      もちろん、医学に絶対はないのでワクチンでの健康被害が絶対ないとは言えません。
      健康被害にあった患者さんやそのご家族のアフターケアも医療従事者の役割だと思います。
      そこが十分でなかったために、以前のような騒ぎになってしまったのかもしれません。

      現在でも健康被害の原因はわかっていないことも事実です。
      そういった内容も含めて、実際の効果や副作用を説明することは薬剤師の重要な役割と考えています。
      薬剤師としてもしっかりと向き合い考える必要があると思い、この記事を記載しました。

      正しい情報発信をこれからも継続していこうと思います。
      よろしくお願いいたします。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!