花粉症の正しい薬の使い方:薬剤師目線


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寒さも収まり、暖かくなってくるとあの季節の到来です。

そう、くしゃみや鼻水に悩まされる花粉症!!

花粉症の時の正しい薬の使い方を薬剤師の視点から解説します。

実は花粉症患者が薬の使い方を間違えているかもしれません。

花粉症患者のうち8割の人は、1種類だけの薬では効果が不十分な可能性があります。

花粉症で薬が効かない理由

東京都ではスギ花粉は3月まで、ヒノキ花粉は5月のGWまで飛散するといわれています。

花粉症の人は数ヵ月にわたり、つらい日々が続きますよね。

私も今年ついに発症した様子で、目がかゆかったりくしゃみが出たりと大変です。

今年は例年よりも飛散量がやや多め、という報告もありそのせいで私も発症したのかもしれません。

花粉症対策の情報はメディアやインターネトなどで例年掲載され、実際に対策を行っている人は多いと思いますが、それでも花粉症の症状に苦しまされるのはなぜでしょうか?

花粉症の薬が効かない人は、処方と使い方が適切でない可能性が

マスクをつけて、室内に花粉を入れないように心掛け空気清浄機も使い、薬も飲んでいる。

それなのに花粉症の症状に苦しむのは、どうしてでしょうか?

薬が効かない、効き目が不十分

という話をよくよく聞いてみると、たいていの人は薬が適切に処方されていない、あるいは薬を適切に使えていない場合がほとんどです。

もちろん両方に当てはまる方もかなりいるといわれています。

花粉症に対する薬としては、昨年4月に皮膚に貼る新しいタイプのアレルギー性鼻炎治療薬が発売されて、薬の選択肢が増えました。

上手に薬を使えばよほどの重症例を除いて、日常生活に支障が出ない程度まで効果を抑えることは可能です。

ただし、風邪薬とアレルギー性鼻炎薬の両方の側面を持っている市販薬は、長期的な服用はおすすめしません

市販薬には、眠気などの副作用や長期的に服用することのリスクが指摘されている第一世代の抗ヒスタミン薬が含まれています。

また、眠気を覚ます目的のカフェインなど様々な成分も含まれているからです。

長期的服用が、身体に何らかの悪影響を及ぼすかもしれません。

ちなみにここまでの話はごく軽症の場合についてです。

問題は花粉症患者の8割以上は、重症度でいうと中等症以上であるということです。

花粉症患者の 8 割以上は 2 種類以上の薬の併用が必要

私自身は軽症の部類に入るとは思いますが、およそ8割の花粉症患者が中等症とは驚きです。

2011年5月11~18日に「花粉症と思われる症状がある」などの条件に該当する3382人を対象にインターネット調査を行った結果から判明しました。

性別では関係なく、20歳以上では実に9割以上が中等症以上だったのです。

軽症であれば、1種類の花粉症の薬でも症状を抑えることは可能です。

軽症であれば、下記のようなサプリメントでも対処は可能かもしれません。

ところが、中等症以上の花粉症は1種類の薬では対処できません。

2種類以上は必要であり、そのためには市販薬では不可能であり、医療機関を受診しないと手に入れられません。

理想を言えば、自分の花粉症が軽症、中等症、重症・最重症のどれに該当するのかを知ると、より適切な薬を医師も処方できますし自分でも選びやすくなります。

ただそれを知らなくても、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが頻繁に起こるようなら、1 種類の薬で対処可能な軽症ではなく、2種類以上の薬が必要な中等症や重症と考えるべきです。

では、なぜ 2 種類以上の薬が必要なのか

花粉症の主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻詰まりです。

くしゃみや鼻詰まりが特に苦しい人には、 抗ヒスタミン薬とともに鼻噴霧用ステロイド薬がよく効きます。

ステロイドと聞くと危険視して飲みたがらない人もいますが、鼻噴霧用ステロイド薬は非常に安全な薬なので安心して使うことができます。

また、鼻詰まりが特に苦しい人にはこれらの薬に加えて、ロイトコトリエン拮抗薬やプロスタグランジンD2・トロンボキサンA2拮抗薬がよく効きます。

抗ヒスタミン薬ひとつですべての症状に効く! というわけにはいきません。

なお、鼻炎用のスプレーが市販されていますが、これはステロイド薬ではなく当然ながら、処方する鼻噴霧用ステロイド薬とは全くの別物です。

そして鼻炎用のスプレーを花粉症に対して使用することはおすすめしません。

市販の鼻炎用のスプレーは血管収縮薬であり、長期的に使うと下鼻甲介腫脹という症状が起こりかえって鼻詰まりがひどくなるからです。

これを薬剤性鼻炎と呼んでいます。

症状がひどい時だけ飲むはダメです、継続使用しないと効き目は落ちます

花粉症に対して薬を適切に使えていないとはどういうことか考えてみましょう。

例えば、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬を処方されたとしましょう。

その時の自分の行動を想像してみてください。

症状がひどい時だけ飲むということをしていませんか?

特に、鼻噴霧用ステロイド薬はそういう使い方をしている人が珍しくありません。

花粉症の治療薬は、花粉の飛散量が多い日も少ない日も関係なく毎日、決められた回数使用することが基本です。

花粉症の点眼薬も同様です。

1日4回点眼するとされている点眼薬を、1日2回しか使わないのは間違った使い方です。

花粉はシーズン期間中、飛散量は変化するものの毎日飛んでいます。

薬を今日飲んで明日は飲まないというやり方では、血中の薬物濃度が一定にならず、効き目も落ちるのです。

花粉症の薬だからといってその都度使用するのではなく、高血圧などの薬と同様指示された用法用量を守ることが重要です。

スギ花粉に反応する人は3月末まで、ヒノキ花粉にも反応する人は5月のゴールデンウイーク明けまで継続して飲む

継続することが、正しい花粉症対策の薬の使い方になります。

薬の止め時は、新聞やニュースの花粉情報で飛散量が少なくなっており、かつ、症状も落ち着いているタイミングです。

眠気が少ない薬を使っても、効果は低くならない

花粉症の薬を飲むと眠気に襲われ、仕事にならないという人もたくさんいます。

その時に考えてほしいのは、使っている抗ヒスタミン薬はどの世代のものかということです。

抗ヒスタミン薬は

  • 第一世代
  • 第二世代

とあり、第二世代はまた前期(鎮静性)と後期(非鎮静性)の 2 タイプに分かれます。

ヒスタミンは花粉症にとってはですが、脳にとってはなくてはならないものです。

ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬は、どれくらい脳のヒスタミンを抑えるかによって眠気の程度が変わります。

第一世代の抗ヒスタミン薬は脳のヒスタミンを70~80%抑えるため、 眠気が強くなります。

しかし、第二世代後期(非鎮痛性)の抗ヒスタミン薬は20%以下に統一されています。

そのため眠気が少なくなります。

20%以下の中でも薬によっては0%に近かったり、10%程度だったり20%に近かったりするものがあります。

今使っている抗ヒスタミン薬がどの世代のものかをチェックし、第二世代後期のものであってもそれでも眠いという場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。

第二世代後期の中でもより眠気が少ない薬を紹介してくれるでしょう。
そもそもどの世代かわからない場合は、ぜひ薬剤師に尋ねてみてください。

薬の確認も重要ですが、眠気が本当に抗ヒスタミン薬によるものかは確認が必要

単なる寝不足かもしれませんし、睡眠環境が悪い、アルコール摂取による睡眠の質の低下、または睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が何度か停止する病気)をはじめとする何らかの病気が関係しているかもしれないからです。

眠気が少ない薬は、効果も低いように思っている方が中にはいるかもしれません。

かつてはそう言われた時もありました。

しかし今は違います

第二世代後期の薬は、眠気が少なく効果も高いといえます。

残念なのは、今でも第一世代の抗ヒスタミン薬を出している医師が思っている以上にいることです。

インターネットによる医師調査で明らかになった結果です。

注意

第一世代の抗ヒスタミン薬は眠気や口の渇きといった副作用だけでなく、この薬の服用によって眠りの質を下げることが明らかになっています。
催眠作用を求めて第一世代を使う人もいると聞きますが、かえって眠りの質を下げることにつながるのでやめるべきだと思います。

貼るタイプ花粉症薬も登場

貼るタイプの花粉症の薬も登場し、夜に貼って朝の症状に備えることも可能となりました。

世界で初めての経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤で、商品名はアレサガテープ(一般名:エメダスチンフマル酸塩貼付剤)です。

これまで抗ヒスタミン薬は飲む薬(経口薬)、点鼻薬しかありませんでした。

しかし飲むのが苦手な人や、飲み薬では服用を忘れてしまう人などがいます。

そこで開発・販売されたのが経皮吸収型、つまり貼るタイプの抗ヒスタミン薬です。

食事による投与タイミングの制限がないのも特徴の一つです。

アレルギー症状は一般的に朝出やすいと言われますが、夜から貼って朝の症状に備えるという使い方もできます。

今は成人に対してのみ承認が下りていますが、飲み薬を嫌がるお子さんにも使えるのではないかと、今後は臨床試験が行われる見通しです。

まとめ

花粉症の薬を適切に用いれば、症状はかなり抑えられます。

また、貼り薬も登場し治療の選択肢が増えました。

花粉症には手術や免疫療法などの手段もありますが、手術はハードルが高く、免疫療法は治療期間が年単位と長く、どれだけ効果を得られるかは人それぞれで治療が終わらないとそれが分かりません。

花粉症の現実的な治療としては、薬物治療が最も大切だと思います。

昔は花粉が飛散し始める2週間前から薬を服用しないと効かないとも言われていましたが、 今の薬は飛散してから服用しても効果があります。

それでも飛散量が少ないうちから飲み始めた方が、花粉症の症状で苦しむ期間は短いことは間違いありません。

まずは医療機関を受診し、どの症状に最も困っているかを伝えて薬を処方してもらいましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!