日本人にとって、【グルテンフリー】は本当に必要?


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薬剤師目線:グルテンフリーについて

この夏は本当に暑いですね。
まだまだ残暑も続いていますので、体調管理お気をつけて。

ホームベーカリー、皆さん使ったことはありますか。

ごくたまにですが、私もホームベーカリーを使って家でパンを焼くことがあります。パンというのは気温などに出来栄えが左右されるため、夏場などは暑いせいかパンがうまく膨らまないということもあります。
単純に技術が未熟なだけかもしれませんが。

材料の水を冷たくしたり、部屋にエアコンをガンガンきかせて涼しくしたりしてみましたが、なかなかうまくいかず、困ることもしばしばあります。

パンといっても色々種類があります。
レシピを検索してみると、 「グルテンフリーのパンの作り方」が出てきました。

グルテンフリーとは??

そもそもグルテンフリーとは何か知っていますか。

簡単に調べてみると、小麦などに含まれるたんぱく質の一つにグルテンがあるようです。
ということで、グルテンフリーというのは、蛋白質の一種グルテンを避けることです

海外のスポーツ選手や芸能人が薦めたことで、「ダイエットや健康に良い」というイメージが広まりました。 やはり有名な人物の影響力は素晴らしいですね。
健康に直結する食生活。
食品に気をつけることは、もちろん大切ですが正しい知識に戻づいて行う必要があると思います。

出産前後の体形維持や、お子さんの食生活を考える中で、健康にいいといわれると、気になるという人も多いのではないでしょうか。

色々と調べてみると、「海外では健康に気を使う人のグルテンフリー食が常識だけれど、日本は遅れている」とか、「グルテンの悪影響は頭痛、めまい、イライラ、関節痛、疲労感、やる気喪失、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、抑うつ症状など、不調は多岐に及ぶ」と記載のあるページが上位に出てきました。

そこで、薬剤師として医学や薬学的にグルテンを評価、検証している論文を調べてみました。
今回使用したのは、日本語で書かれた論文を検索するサイト、医中誌。
個人で契約するとかなり費用がかかります。
そこは職場の利を利用して。

そこでグルテンフリーを調べるとセリアック病をはじめとする珍しい病気に関するものとしか出てきません。「健康にいい」とか、「グルテンがあらゆる体調不良の原因になる」というようなことを書いた論文はみつかりません。

セリアック病

セリアック病とは、北欧系の人に見られる遺伝的な病気の一つです。
セリアック病では、グルテンを食べると腸の炎症が起きます。 それが、子供だと腹部膨満や臭いにおいのする下痢、大人では下痢、体重減少などの症状を起こし ます。アメリカの一部の地域では 250 人に 1 人の割合で持っていることがあるのですが、日本では 極めてまれな病気です。
まれな病気を希少疾患と呼びますが、日本の定義では5 万人以下にしかない病気です。「日本人 の 0.7%(87.5 万人)がセリアック病」という数字をネットで見ますが、根拠を示しているものは見つかりません。
そもそおそんなに居たら、医療上では「まれな病気」と呼ばれず、普通の医師も日常診療でも出会うはずですし、薬剤師としても接する機会があってもおかしくはないです。

アレルギー

子供にとってのアレルギー。
アレルギーは軽症のものもあれば、呼吸停止など重症に至るものもあるため、注意が必要です。
自己判断はしないほうがいいので、自分やお子さんがセリアック病だとは思っていないけれど、小麦アレルギーかもしれないからグルテンフリーにしている、という人がいるかも知れません。
小麦アレルギーは製粉業、製パン業者 に多い Baker‘s asthma(パン屋のぜんそく)として昔から知られていますが、症状はせきやゼイゼイ、息切れ、発熱、鼻づまり、皮膚のかゆみや発疹です。 また、小麦は運動誘発性アナフィラキシーを起こすことで有名です。
アナフィラキシーは吐き気、 じんましん、血管性浮腫、鼻炎、呼吸困難、ぜんそく、意識障害といった重い症状を起こし、死亡 することもあります。 自分や子供が小麦アレルギーかもしれないと疑ったら、自己判断でグルテンフリーにせず、小児科や内科を受診しましょう。
グルテンフリーを勧めるサイトでは、「3 週間小麦を食べなかったら体調が良くなった、食べたらてきめんに肌が荒れた」というものもありましたが、小麦アレルギーでもセリアック病でもなければ、 それは気のせいだと思います。病気やアレルギーがなければ、グルテンをとってもなにも問題ありません。しかも避けることでより健康になるわけではありません。ダイエット効果もありません。

〇〇フリー、本当に必要?

広がる「○○フリー」、一見聞くときれいな響きで、とてもいいことのように聞こえます。

私だけかもしれませんが、「なんとかフリー」と聞くと、その「なんとか」を避けたほうがいいもののように感じる人が多いようです。
確かに、子供の肌を拭く製品にアルコールが入っていることで肌が荒れたり、人によっては真っ赤になったりします。
アルコール禁の人には、アルコールフリーの製品を選ぶ意味があるでしょう。

脂肪や砂糖をとりすぎると生活習慣病などの原因になることから、ファットフリー、シュガーフリーと書いてあるものを手に取りたくなるかもしれません。でも子供の場合、脂肪は成長発達にある程度必要です。砂糖が急激に血糖値を上げて子供をキレやすくするというのは全く根拠はありませんので、砂糖(シュガー)をとらないことを目指す必要はありません。

ディートフリー、シリコンフリー、ケミカルフリーという言葉もありますね。

  • ディートは、昆虫を寄せ付けないための薬です。6 カ月未満の子供には使えませんが、それ以上の年齢の子供には、蚊などを避ける効果がハーブやアロマよりも確実にあります。
  •  ヘアケア・スキンケア製品でシリコン(シリコーン)が入っていないことを示す、シリコンフリーと書いてあるものがあります。「シリコンが毛穴をふさいで頭皮をベタつかせる」とか、「抜け毛の原因 になる」という説があるらしいのですが、どちらも根拠はありません。シリコンは安定性の高い素材で、実は 日用品や食品、工業や医療の分野で使われています。体に悪いと誤解して、ヘアケア・スキンケア 製品にだけ、シリコンフリーのものを使う意味はありません。
  •  ケミカルとは、英語で「化学的な」という意味ですが、複数形で化学物質・薬品のことで、オーガ ニック(添加物のないもの)の対義語のように使われます。皮膚科領域では紫外線吸収剤をケミカルと 呼びます。日焼け止めクリームなどでかぶれる子供には、紫外線吸収剤の入っていないものがいい でしょう。
    その他に、石油由来の美容成分、化学的合成した美容成分をケミカルと呼んだり、「化学式で表せ るものはケミカル」という極論があったりします。

化学式で表すことのできるH2Oは水ですが、水が入っていたら避けるべきでしょうか?そんなことはありません。
「水フリー」なんてものは存在しませんし、人間から水をなくすことはできません。
着るもの、食べるものをすべて手作りで天然成分だけでということはムリだし、敵視して避けることに意味はありません。なんでもフリーならいい訳ではないのです。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!