薬剤師の視点で科学的に考える:チョコレートに健康や美容に効果はあるのか検証!


スポンサーリンク

そろそろバレンタインデーが近づいてきましたね。

実は以下のようにもつぶやきましたが、私、チョコレートが大好きであります。

バレンタインデーはデパートなどにもたくさんのチョコが並ぶので、見ているだけでも楽しくなる季節。

今年はいくつもらうことができるでしょうか。

ちなみに下の神戸スイーツはホワイトデーでも愛用している美味しいスイーツ屋さん。

ホワイトデーを買うときにはあまり、出歩かなくてもネット注文ができるのは利点です。

もちろんバレンタインデーのものもあるようです。

バレンタインは色々なエピソードがありますよね!

自分も子供と奥さんからもらって嬉しかったエピソードがあります。

それも含めてバレンタインの嬉しいエピソードをむらさき姫さんがまとめてくれています。

くわしくはこちらを!

ここからが本題です。

たくさんの人が好きなチョコレート、バレンタインといえばチョコレートですが、チョコレートが健康または美容にいいというエビデンス(根拠)はあるのかについて、調べてみました。

バレンタインデーのチョコを選びつつ、もらった方は食べつつ読んでいただけるとうれしいです。

薬剤師目線:チョコレートに美容や健康にいいという効果はあるのか?

Googleを使って

  • チョコレート
  • 健康

というワードでインターネット上を検索すると、「普段何気なく食べているチョコレートの驚くべき効能・効果」、「チョコレートの効果が美と健康の味方に」などといった見出しの記事が表示されます。

カカオポリフェノールと聞くと、なんとなく健康に良い印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

確かに、チョコレートに含まれているポリフェノール類には、抗酸化作用の増強、血小板機能および炎症反応の低下作用、血圧降下作用などが示されています。

とはいえ、こうした生理学的メカニズムと、臨床上のベネフィット(効果または利益)は同列に考えるべきではありません。

今回はバレンタインデーにちなんで、チョコレートの摂取と健康への影響について、幾つかの論文を整理して、その驚くべき効能・効果とやらを検証してみます。

チョコレートの摂取で心臓病や脳卒中は予防できるか

抗酸化作用や抗炎症作用、血圧降下作用等のメカニズムからいえば、チョコレートは動脈硬化の進展を抑止して、将来的な心血管疾患、脳血管疾患等の発症リスクを低下させる可能性を秘めています。

実は、チョコレートの摂取と心血管疾患や脳血管疾患との関連について検討した研究論文は多く、それらのメタ分析(多くの論文をまとめて解析したもの)も複数報告されています。

それによると、心不全に対する効果は曖昧であるにせよ、チョコレートの積極的な摂取で心血管疾患や脳卒中のリスクは統計学的にも有意に低下するという結果になっています。

また、カカオ含有量が豊富なダークチョコレートの摂取が健康状態に与える影響についての研究によれば、ダークチョコレート100gを毎日摂取することで、10年間で1万人当たり85例[95%信頼区間 60-105]の心血管イベントを減らすことが報告されています。

このような報告から考えられることは、適量の摂取であれば有害事象の懸念も少なく、チョコレートが心血管イベント予防に効果的であると言えなくもないという結論になります。

とはいえ、カカオ以外の成分である脂質や糖質も豊富なチョコレートを毎日摂取することは、糖尿病などの生活習慣病の発症につながらないかが疑問にのこります。

チョコレートで糖尿病は増えるのか

チョコレートは脂質や糖分を豊富に含んでいますが、理論的にはむしろ糖尿病の発症リスクを低下させる可能性が指摘されています。

チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには抗酸化作用があり、これがインスリン抵抗性を改善することによって、糖尿病の発症リスクを低下させるというものです。

その根拠となるものが次の論文です。

この論文は、日本人(男性5897人、女性7643人)を対象とした研究(高山スタディ)であり、英語ですが全文が無料で読めるので興味があればご一読ください。

この研究では、チョコレートの摂取だけでなく、コーヒー、緑茶、ウーロン茶、紅茶などの飲料摂取と糖尿病の発症リスクの関連を検討しています。

チョコレートの摂取と糖尿病発症については、男性でハザード比0.65[95%信頼区間0.43-0.97]と有意に低下しましたが、女性ではハザード比 0.73[同 0.48-1.13]となっており、統計的有意差を認めず、減少傾向が示されたのみでした。

というとバレンタインをもらう男性は糖尿病発症も低下できていいのかも!!
と浮かれず、他の報告も見てみましょう。

2010年以降の報告

2010年以降、幾つかの研究報告がされています。

2015年に報告された米国の男性医師1万8235人を対象とした研究では、チョコレートの摂取で糖尿病の発症リスクがわずかに低下する可能性が示されています。

平均9.2年の追跡で、ハザード比は0.83[95%信頼区間 0.69-0.99]でした。

ただ、信頼区間上限は0.99であり、あまり明確な効果とは言えない印象もあります。

このハザード比や相対危険度は1をまたぐと差がないという解釈になるからです。

2017年の報告:チョコレートと糖尿病、心臓病との関連性について

次の論文は、2017年に報告されたチョコレートの摂取と心血管アウトカム、糖尿病発症との関連を検討した観察研究のメタ分析(解析対象14研究50万8705例)です。
研究の規模としては、かなり大きいデータを解析しています。

この研究では、その量反応関係まで検討しており、どの程度の摂取量で、どれほどのベネフィット(効果・利益)が見込めるのかを考える上で、貴重な情報を提供してくれています。

メタ分析の結果、チョコレートの摂取により冠動脈疾患(相対危険 0.90[95%信頼区間 0.82-0.97])、脳卒中(同 0.84[同 0.78-0.90])、糖尿病(同 0.82[同 0.70-0.96])に関して、いずれも有意なリスク低下が示されました。

ただ、信頼区間上限を見ると、いずれの結果も「1.0」に近く、交絡の影響を考慮すれば、やはり明確なリスク低下とは言えない印象もあります。

量反応関係に関する解析では、冠動脈疾患、脳卒中共に、週3回(1 回分は30g)以上チョコレートを摂取しても、リスクがさらに低下することは示されませんでした。

糖尿病については、週2回の摂取で最もリスクが低く(相対危険 0.75[95%信頼区間 0.63-0.89])、摂取量が増加するに従って、徐々にリスクが増加傾向を示し、週 6 回以上の摂取では統計学的に有意なリスク低下は示されなくなりました。

このことから、チョコレートの摂取量と糖尿病の発症リスクの関係について、適量の摂取が良い影響を与えるとも解釈でき、適量を摂取できる人はそもそも健康的であるとも解釈できます。

簡単にまとめると

チョコレートをほとんど摂取しない人は、もともと健康状態が優れておらず、チョコレートを摂取しないということはあり得る。

例えば、寝たきりであるとか、経管栄養や中心静脈栄養を受けている人たちは、そもそもチョコレートを積極的に摂取する機会はあまり多くないことが予測されます。

また、習慣的に過量にチョコレートを摂取している人では、食習習慣が乱れていて喫煙や飲酒の機会も多い、潜在的に心血管リスクが高い集団かもしれないという考え方です。

論文情報を生かす薬剤師の視点

観察研究で示された関連を解釈するに当たって注意が必要なのが、healthy user effectと呼ばれるバイアスである。

例えば、コレステロール値を下げるような予防的薬物療法を受けている患者では、そうでない患者に比べて、よりバランスの良い食事を摂取し、タバコを吸わないなど、薬物療法を受けていない人と比較して、健康的な行動を取る傾向にあると言われます。

実際、薬を開始した患者ではそうでない患者に比べてインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、骨密度検査など、予防に関連する医療サービスの利用頻度が高いという研究が報告されています。

チョコレートの摂取と糖尿病との関連で言えば、観察研究で示されたリスク低下について、Healthy user effect ならぬ healthy consumption effect の可能性は常に付きまとうと言えます。

そして、こうした意識の差の存在は心血管疾患や脳血管疾患についても言えてしまいます。

要するに
チョコレートの適量摂取が原因で患者の予後が改善しているのか、チョコレートを適量に摂取するような人がそもそも健常者で潜在的に予後が良好な人なのか、観察研究の結果のみでは判別が困難であるということです。

まとめ

チョコレートの摂取と健康への影響について複数の論文を検討しました。

しかし、最初に紹介したインターネット上の記事のような驚くべき効果のようなものは、明確には示されていないことが分かりました。

根拠が示されているのはむしろ、驚くほど曖昧もしくは微妙な効果であるといえます。

確かに、効果がないということではないのかもしれませんが、少なくとも驚くべきなどと言うようなものではありません。

とはいえ、これは何もチョコレートに限った話ではありません。

前にも記事で書いたグルテンフリーはじめ、サプリメントや健康食品の多くについても根拠をひも解いていくと、その効果はとても曖昧もしくは微妙であり、驚くべき効果が示されることはまれであることが分かります。

グルテンフリーについては詳細は以下の記事もお読みください。

日本人にとって、【グルテンフリー】は本当に必要?

2018年9月7日

信じるか信じないかはご自身次第ですが、何よりも健康を気遣う心がけや習慣が一番なのかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


スポンサーリンク

1 個のコメント

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

    ABOUTこの記事をかいた人

    薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!