子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスです。
性交渉を全くしない女性がいるとするなら、ワクチン接種や検診は子宮頸がんだけを考えれば必要ないのかもしれませんが、実際にそのような女性はなかなかいません。
今までに子宮頸がんワクチンについて、このブログの中でも触れてきました。
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ワクチン自体にも日本では9価のものが未承認であることや、副反応が少なからず起きてしまうといった解決すべき問題はまだ残っていますが、がんの予防としてのワクチンの必要性は変わりません。
国によっては、ワクチン接種を女性に限らず男性にも推奨している国もあります。
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しかし、ワクチンだけ接種していれば絶対子宮頸がんにならないわけではありません。
ワクチン接種とともに検診も受けることが重要と言われています。
がん検診の必要な年齢と利益
20 歳代では子宮頸がんの罹患率や死亡率が低く、子宮頸がん検診から得られる利益は相対的に小さいといわれています。
世界各国で子宮頸がん検診が行われていますが、各国の事情を反映して検診の開始年齢は違いがあります。
ですが共通して言えることは、最近ではどの国においても検診開始年齢が引き上げられているということです。
たとえばオーストラリアでは18歳から25歳に、ニュージーランドやスコットランドでは20歳から25歳に、それぞれ引き上げられました。
理由はいくつか考えられますが、一つはがん検診の利益と害について理解が進んだことがあるといわれています。
死亡率は低いとはいえ25歳未満の女性が子宮頸がんで亡くなることもあります。
がん検診とワクチン接種の必要性
検診自体の必ずしも無害なわけではありませんが、検診の害を容認し日本やアメリカ合衆国のように20~21歳から検診を開始するという方針も間違いではありません。
とくに日本では若い世代の子宮頸がん死が増加傾向にあるからなおさらです。
がん死を防ごうとすると検診の害が増え、検診の害を抑えようとすると検診で防げたかもしれないがん死が生じます。
ここにはジレンマがあります。
HPV ワクチンはジレンマを軽くできます。
残念ながら現在のワクチンは高リスクタイプのHPVが対象で、すべてのタイプのHPVの予防はできませんので、HPVワクチンを接種していても検診は必要です。
HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんの罹患率・死亡率の減少が期待でき、検診開始年齢を引き上げることができます。
子宮頸がんの前がん病変
HPV ワクチンが前がん病変を減らすことは複数の研究で示されています。
検診で前がん病変が発見されば円錐切除術といった治療が必要になります。
進行した子宮頸がんの治療と比べると侵襲性は小さいですが、それでも治療自体が体の負担になりますし、早産や流産のリスクを増やします。
ワクチンが進行した子宮頸がんを減らすことはまだ証明されていませんが、前がん病変の治療に伴う負担やリスクを減らせることは証明されたといってもいいのかもしれません。
ワクチンと検診はセット
たまに
ワクチンを接種してもがん検診が必要ならワクチンは意味がない。検診だけやっていればいい
という意見がありますが、これには大きな誤解があることがわかると思います。
検診をするからワクチンはいらない
というのは、
シートベルトをするからエアバッグはいらない
というようなもの。
検診とワクチンの併用が子宮頸がん予防の両輪で、国際標準です。
検診にむけて
しかし、いきなり検診といっても様々な医療機関から自分にとって都合のいい検診先を見つけることは困難です。
特に子宮頸がんの検診が必要な年代の方々は、時間を作るのが難しいことも事実です。
インターネットを用いると色々なクリニックや病院が出てきますが、それらを網羅して予約できるサイトがあります。
ここでは子宮頸がんだけでなく、全身検索してくれる医療機関もあり、自分のニーズに合った検査が行えます。
かかりつけなどがある場合は別ですが、決まった場所がない場合などに活用いただければ幸いです。