日本の子宮頸がんの罹患率。
いわゆる子宮頸がんになる人が2000年を境に増えてきていることがわかりました。
大阪大学では日本における子宮頸癌の動向を解析した結果です。
子宮頸がんの数が増加
日本では子宮頸がん検診の受診率が非常に低く、HPVワクチンの積極的勧奨は一時中止され5年間以上が経過しています。
子宮頸がんの将来の罹患率や死亡者数を減少させるためにも、日本における子宮頸がんの疫学的傾向を理解することが重要と言われています。
最近では、子宮頸がんが増加していることは知られていますが、子宮頸がんの
- 種類別
- 年齢層別
- 進行ステージ別
- 治療方法別
罹患率や生存率の推移といった詳細な解析はこれまで行われていません。
また、子宮頸がんの治療に同時放射線化学療法(CCRT)が導入さましたが、治療成績の長期的な傾向や詳細な解析が十分には行われていませんでした。
がん登録データから子宮頸がんの罹患率を分析
今回、1976~2012年の間に登録された大阪府がん登録のデータを利用して、子宮頸がんの種類別、年齢層別、進行ステージ別、治療方法別の罹患率を解析がされました。
その結果から、10 万人あたりの年齢調整罹患率は1976年からは減少してましたが、2000年以降は増加していることがわかりました。
次に、扁平上皮がんと腺がんの年齢層別の年齢調整罹患率を調べたところ、近年扁平上皮がん、腺がんとも増加していますが、検診での発見が難しく治療抵抗性のある腺がんは30歳代以下の若年層で一貫して増加していることが判明しました。
また、サバイバー(がんになった患者の)生存率を調べたところ、診断から1年生きることができた場合の5年生存率、 診断から2年生きることができた場合の5年生存率と生存年数が上がるにつれ、サバイバー生存率は有意に上昇していました。
サバイバーについての詳細は、こちらの記事も併せてお読みください。
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さらに、がんのステージ別に調べてみると、子宮頸部に臓器に限定される「限局性」および、隣接する臓器にがんが広がっている「隣接臓器浸潤」のケースでは、10年相対生存率が2003年以降に著しく改善していました。
この結果は、1999年以降のCCRTの導入や2000年以降の治療 GLの普及が有効であった結果ではないかと言われています。
一方で、がんの遠隔転移を伴うような進行した子宮頸がんのケースでは、有意な予後の改善は見られませんでした。
この限局性のケースにおいて主治療として手術が行われた群では、年齢による相対生存率の違いはみられませんでした。
放射線を含む治療が行われた群では、若年層では相対生存率が低い傾向にありました。
この結果から、若年層は放射線治療が効きにくいことが考えられるとしています。
まとめ
今回の研究の結果から、子宮頸がんが近年増加していることが明らかになりました。
今後の、子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待されています。
子宮頸がんワクチンにも種類があります。
詳細はこちらを参照ください。
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また子宮頸がんの治療では、若年層では治療抵抗性の腺がんが特に増加していて、加えてがんの遠隔転移といった進行症例において予後の改善が認められなかったことから、治療のさらなる改善が必要であるといわれています。
さらに、若年層では子宮頸がんの治療法として手術より放射線治療が効きにくいことが判明し、これらの結果は今後治療選択を行う上での有益な情報になると言われています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。