HPVワクチンの今後の課題:9価ワクチン導入と子宮頸がん早期発見が必要


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ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、副反応の問題が生じ厚生労働省も接種の積極的勧奨を差し控えました。

子宮頸がんワクチンについては、下の記事でも記載していますのでご参照ください。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんだけではない!!

2018年12月17日

元々、HPVワクチンは中学1年生から高校1年生の女子に定期接種となっています。

積極的勧奨が再開されたとしてお現状の日本では課題が多くあります。

今回はm3.comで紹介された研究から、HPVワクチンの今後について書いていきます。

薬剤師目線:HPVワクチンの積極的勧奨再開後の課題と対応策

大阪大学の研究の結論としては、

積極的勧奨が再開されるだけでは不十分

としています。

大阪大学は12月21日、現在停止状態であるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨が今後再開された場合に直面する課題への対応策を提言としてまとめ、発表しました。

この研究成果は、英科学誌「Lancet Oncology」2018年19巻に掲載されたものです。

HPVワクチンの接種は、厚労省による積極的勧奨の一時差し控えによって、2013年6月以降停止されています。

HPVワクチン接種者と非接種者の比較検討

安全性については、厚労省の調査でワクチンを接種していない女子においても、接種者に見られる症状と同様の多様な症状が認められることが示されました。

また、名古屋市の調査ではワクチン接種との関連が懸念された24種類の多様な症状が、接種者と非接種者で頻度に有意な差が認められなかったことが報告されています。

HPV感染のリスクと子宮頸がん発症のリスクを減らすためには、HPVワクチンの接種が重要であり、厚労省の積極的勧奨が再開された場合には、以下の2点の課題があるといわれています。

  1. HPVワクチンの積極的勧奨一時差し控えによる子宮頸がん罹患リスク上昇の軽減
  2. 積極的勧奨が再開された場合のHPVワクチン再普及

今まで、この課題に対する対応策についての報告ありませんでした。

HPVワクチン接種の課題に対する対応策

今回、研究グループは、厚労省の積極的勧奨が再開された場合の課題とその対応策を検討して、以下の6点を提言としてまとめました。

  • ワクチン接種を見送って対象年齢を超えた女子へ接種を行うこと
  • 子宮頸がんの8-9割が予防できると考えられている9価ワクチンを導入すること
  • HPVワクチンを見送った女子と同年代の男子へ接種を行うこと
  • 子宮頸がん検診の受診勧奨等による、積極的勧奨一時差し控えによる健康被害を軽減すること
  • 行動経済学的手法を駆使した接種勧奨にてワクチンの再普及を図ること
  • メディアに正確な情報を提供すること

HPVワクチン接種についての提言

はじめの三つについては、ワクチン接種についての提言です。

HPVワクチンは、感染前に接種することで予防効果を得ることができますが、感染した状態であったとしても、HPVには100種類以上の型があるため、ワクチン接種を行うことで、感染したウイルス型以外のHPVの予防効果が期待されています。

また、現在日本で接種可能な2価ワクチンと4価ワクチンに加えて、9価のワクチンが開発されており、海外では認可され始めています。

これを用いることで、子宮頸がんの8~9割の予防が可能と考えられていることから、この9価のワクチンを日本で導入することがすすめられています。

さらに、HPVワクチンを見送った女子と同年代の男子へも接種を行うことで、HPVのリスクを減らすことが可能になるとしています。

HPVワクチンの情報・意識についての提言

最後の三つは、情報・意識についての提言です。

厚労省のHPVワクチンの積極的勧奨が再開されると同時に、子宮頸がん検診の受診を勧奨することで、子宮頸がんの早期発見につながることが期待されています。

そして、ワクチンを打つことによって得られるメリットを、行動経済学的手法を駆使して、科学的かつ効果的に発信することを挙げています。
要約するとワクチンを打つという行動を起こすことで得られる病気の予防効果による経済的な影響を発信することです。

そして、これらの情報を正確にメディアに発信することが重要であるとしています。

まとめ

この研究では、最後に

HPVワクチンはいわゆる副反応報道と積極的勧奨一時差し控え継続により、接種はほぼ停止状態であり、ワクチンを接種せずに対象年齢を越えて性交渉を持ち始める女子が次々に出現している。
今後、厚労省によって積極的勧奨が再開されるだけでは不十分と言わざるを得ない。
少しでも積極的勧奨一時差し控えの負の影響を軽減する必要がある

としています。

まだまだ理解が広まらないHPVワクチン接種について。

HPVワクチン接種の必要性については、下の記事でも記載をしています。

もっと深く知りたいという方は、ぜひご覧ください。

子宮頸がんワクチンは、断然接種推奨です。

2018年9月1日

今後医療者側も、副反応症状に苦しむ患者に目を向けつつ正しい情報を発信することが重要です。

癌患者が増える中、抗がん剤治療も進化していますが、まず癌にならないための予防の重要性をもう一度再認識する必要があります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!