病院薬剤師の一日:TDM

病院薬剤師の業務は様々なものがあります。

前に病棟業務と調剤について説明しましたが、薬剤師は薬のプロ!

今回は薬剤師ならではの仕事、TDMについて書いていきます。

病院薬剤師が行うTDM

TDMという言葉。

初めて聞く方もいるかもしれませんが、薬学部、または薬剤師でこの言葉を知らない人はいないといっても過言ではありません。

TDMとは、

Therapeutic Drug Monitoring

の略で、日本語では治療薬物モニタリングのことです。

簡単に言うと、投与されている薬物の血中濃度を測定して、薬物動態学的な計算を用いてそれぞれの患者さんにあった投与量を設定することです。

これだけ聞いてもなんのことかわかりにくいと思うので、さらに詳しく説明します。

TDM対象薬物

世の中には様々な薬物がありますが、その全てがTDMを行う対象薬物ではありません。

そもそもTDMが必要な薬物というのは、治療で用いられる量と、毒性いわゆる副作用が発生しやすい量が極めて近いものによく使われます。

例えば点滴ではバンコマイシンやゲンタマイシンなどの抗菌薬をはじめ、喘息に使われるテオフィリンや痙攣に使われるフェニトインなどがあります。

テオフィリンはアンサングシンデレラの漫画でも喫煙との関連を取り上げていました。

TDMに必要な採血

TDMを行うためには、薬学的な知識や計算能力もある程度は必要ですが、何より患者さんの血液を採血して得られる薬物の血中濃度の情報が必要です。

最近では、インフォームドコンセント。

いわゆる治療に対する説明と同意が患者さんと医療者の間に必要なため、採血を行う際にも薬の濃度を測るために。。。

と説明を受けたことがある患者さんもいるかもしれません。

それこそがTDMに必要な薬物血中濃度のための採血なのです。

薬物でもある程度服用期間が長いものは定期的に血中濃度の採血が必要ですし、入院中など急性期における治療の効果をみるため、また副作用が出ないようにするためにある程度頻繁に行われることもあります。

もちろん1回だけの採血でも評価することは可能ですが、薬物によっては2回やそれ以上必要なものもあります。

TDMの方法

それではいよいよTDMの方法。

いわゆるやり方についてです。

TDMには薬物動態学の知識が必要です。

分布容積や半減期などといった単語に代表される用語と、実際にそれらを求める計算式です。

より詳しく知りたい方は、実例とともに解説してくれるこのサイトをご参照ください。

上記のサイトではかなり専門的すぎるため、もっとかみくだいて説明します。

TDMの計算

TDMの計算は公式のようなものも存在しますが、実際は先ほど説明した血中濃度を採血した時間帯と薬物の投与された時間の関係をもとに計算します。

それぞれTDM対象薬物には、目標血中濃度といわれる目指すべき数値が過去の研究結果から導き出されています。

その目標血中濃度にするために、いろんな計算式や計算ソフトを駆使して薬物の投与量や投与間隔(1日で何回使うか)を決めます。

ただ、何事にも裏技があるようにこのTDMについてもすべてに適応はできませんが、ある程度カバーできる裏技もあります。

TDMの裏技

難しい公式や、用語を覚えて計算することも大切ですし、世の中にあるTDM用の計算ソフトへ値を代入して評価することも重要ですが、実際現場で使われている裏技の一つが比例を用いた計算方法です。

これは、投与間隔(1日で何回その薬物を使用するか)が同じであれば血中濃度を2倍にしたければ投与量も2倍にすればいいというもの

もちろんすべてがこれで解決するわけではありませんが、投与間隔が同じであればある程度対応可能な裏技です。

詳細はぜひ質問でも受け付けていますので、サイトから直接でもTwitterからでもお問い合わせください。

TDMは薬剤師の武器

ここまで説明してきたTDM。

実際は医師でも理解している人は一握りです。

抗菌薬のTDMは広くガイドラインなどでも認知されていますが、感染症の専門家であっても詳しいTDMの内容や方法は薬剤師任せなところが大きいのが事実です。

ましてや看護師や検査技師、放射線技師などなど、多職種の中でも薬剤師が最も理解できている分野であるからこそ、武器でもあります。

薬学部で基本的な薬物動態の考え方や計算方法は習いますが、実臨床で使えてこその知識と技能なので、薬学性も頑張ってください。

TDMは薬剤師国家試験でも必須の問題

薬学部では薬物動態学以外にもさまざまな学問を習いますが、薬物動態学の問題は薬理学とともに重要な位置づけです。

薬剤師国家試験も近年かなり問題の出題形式は変更されていますが、それでも薬物動態学の問題、TDMに関する問題はほぼ毎年何かしらの形で出題されています。

それくらい重要視されている学問が薬剤師の武器にもなります。

まとめ

今回は薬剤師の知識を発揮できるTDMについて記載しました。

薬学生または薬剤師向けな内容かもしれませんが、病院薬剤師が実際に行っている業務の一つとして認識してもらえると嬉しいです。

薬学部の入学や実際の学生生活については下記の記事でも触れているので、ぜひ見てください。

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病院薬剤師の1日:病棟業務

薬剤師は薬の専門家

薬の専門家である薬剤師ですが、その専門性が求められる場面の一つとして、病院での病棟業務があります。

病棟業務とは、簡単に言えば病院内の一つの病棟に行き、そこで患者さんへの服薬指導を行なったり、医師や看護師などからの質問に答えたりします。

病棟業務の実際

病棟業務の中でも患者さんに対して行う薬剤師の仕事は、単純に出ている薬を説明するだけではありません。

場面ごとに確認することは異なるためここでは、その場面ごとに分けて説明します。

入院時

入院時に患者さんに対する薬剤師の仕事としては大きく分けて問診と持参薬確認、治療薬の説明があります。

問診

問診とは患者さんとの面談を通して、現在の病状や過去に服用したことがある薬、その中で副作用などなかったか、食べ物のアレルギーはないかなど、聞くべき項目は多岐にわたります。

内容については、医師や看護師からの問診でわかるものもあるので、全てを聞くわけではなく、多職種から得られる情報から薬剤師として確認すべき内容を中心に患者さんへ聞いていきます。

持参薬確認

現在飲んでいる薬がない場合には不要ですが、飲んでいる薬が一つでもある場合にはそれを入院時に持参してきてもらい、実際に目で見ながら患者さんに話を伺い、持参薬確認を行います。

今では、入院前に薬剤師が確認している病院もありますが、やることは同様です。

入院の目的によって、飲んでいる薬でも一時的に休む必要がある薬がないかどうか。

残っている薬から、日常しっかりと薬を服用できていたかなども確認します。

短期入院でない限りは、現在は患者さんが持参した薬は入院中服用せず、病院内で調剤したものを服用してもらうため、普段飲んでいる薬と病院内である薬を照らし合わせて、医師へ処方を依頼します。

治療薬の説明

問診と持参薬確認が終わったら、病院で行う治療で使われる薬の説明を行います。

入院目的にもよりますが、ほとんどの患者さんが薬を使うため、内服薬に限らず注射薬など使用される全ての薬の説明をします。

説明内容は、

  • 効能効果
  • 用法用量
  • 副作用
  • 服用する際に注意すべき点
  • 薬の管理方法

などについてです。

患者さんに合わせて、入院中は自己管理もしくは看護師管理になるため、それに合わせて説明内容も少し変えたりします。

入院中

入院中は、開始になった新しい薬の効果や副作用について、実際に患者さんに会いに行って、時には診察をしながら確認します。

患児さんが教えてくれる様々な情報から、実際に副作用を発見できることも少なくはないです。

また、その際にはちゃんと飲めているか、飲みづらい薬はないかなども確認します。

そして、治療期間にもよりますが退院に向けて患者さんと家族、地域の医療サービスなどとも連携しながら、退院後も薬を負担少なく服用できるように、準備を行います。

退院時

退院が決定した際には、治療内容に合わせて持ち帰る薬の調整を医師と行います。

もともと飲んでいた薬に関しても、退院時に処方して持ち帰るのか、もともとのかかりつけからもらうのかも確認をして、服薬が途切れないようにサポートします。

退院処方の日数も、次回外来まで足りるのか、退院後施設に帰る場合はどの程度の期間の退院処方が必要かも確認し、医師へ処方を依頼します。

実際の退院日には、患者さんや家族に対して退院指導を行います。

退院後服用継続が必要な薬や、もともと飲んでいた薬との関係、飲み方や管理方法が特別なものに関しては、特に注意をしながら説明を行います。

患者さんが服用している薬を管理しやすくするためのお薬手帳にも、処方内容だけでなく、入院中の副作用や服用状況なども記載して、病院外の調剤薬局と連携を取れるようにします。

患児さんの薬のトータルマネージメント

病院薬剤師の病棟業務を、患者さん中心に記載しました。

薬のことは薬剤師に!

入院前から退院後までの薬物治療に関するトータルマネージメントを、病院薬剤師は行っています。

 

病院薬剤師の1日

薬の専門家である薬剤師

薬剤師と一言で言っても、なるためにはいくつかの関門を突破しないとなれません。

大学受験、薬学部入学、薬剤師国家試験合格を経て、はれて薬剤師になります。

薬剤師になることは一つの目標かもしれませんが、ゴールではありません。

そして、薬剤師と一言で言っても仕事の仕方や業種は様々あります。

  • 病院薬剤師
  • 調剤薬局薬剤師
  • 製薬会社MR
  • 製薬会社開発、研究担当
  • 大学教員
  • 卸業者薬剤師
  • 研究所所属薬剤師
  • 公務員薬剤師

簡単にあげるだけでもかなりの数がありますが、実際にその中でやっていることや業種を細分化するとさらに多くなります。

他の仕事や業種のことはよくわからないので、ここでは病院薬剤師のことについて記載していきます。

病院薬剤師の1日

病院薬剤師の1日。

まずは平均的な平日の勤務についてお話します。

朝起床してからそれぞれの通勤経路で、病院へ。

大きな病院、小さな病院、色々ありますが、大抵の病院では朝の朝礼があります。

私の勤めている病院も朝、仕事始めの前に朝礼があります。

1日の始まりは朝礼から

朝礼では全体へのお願いや、新しい医療関係の情報の集中、ヒヤリハットやインシデントの報告があります。

また、当直がある病院とない病院がありますが、私の病院は当直があるため当直者から引き継ぎがあります。

朝礼にあまり時間をかけてはいられないため、全体的に重要な内容のみ申し送りや連絡されて、あとは各薬剤師が登録しているメーリングリストなどを使って情報を共有したりもしています。

朝礼が終わったあとは、それぞれの場所で働くことになります。

私の働いている病院では、大きく分けて調剤部門と病棟部門があります。

調剤部門は、なぜかセンター業務と言われているため、これからはセンター業務として書いていきます。

調剤部門のセンター業務

センター業務と一言で言っても、やることはたくさんあります。

分野に分けても、

  1. 内服・外用の調剤
  2. 注射調剤
  3. 製剤業務
  4. 外来化学療法での調製と説明
  5. 入院化学療法の調製
  6. 薬務といわれる薬品管理
  7. 麻薬調剤

以上の7つが、あります。

薬剤師というと調剤業務が一番知られているとは思いますが、調剤と一言で言っても色々な調剤や厳密には医薬品を混ぜたらする調製も行っています。

調剤の流れ

調剤は簡単にいうと、医薬品を患者さんごとに的確に供給することです。

薬剤師が調剤を行うためには、必ず医師の処方せんが必要になります。

医師が処方した処方せんを、薬剤師が確認。

用法用量や、それぞれの薬の相性、患者さんにとって安全に使用できるものかを確認します。

その確認業務のことを鑑査といいます。

処方せんに問題がないことが確認できたら、それぞれの薬を集めたり、計ったり、分包したりして、患者さんが使用しやすいように袋に入れて払い出します。

薬を入れる袋:薬袋

薬を入れる袋のことを、薬袋と書いて、

やくたい

と読みます。

薬袋には、その薬の効果の説明や、1日何回どんな時に使うかが記載されています。

内服や外用、注射と全てにおいて薬袋は作成して、患者さんの元や病棟の看護師のもとへ搬送されます。

製剤品の調製

センター業務の中の一つとして、製剤品の調製があります。

これは、既存の製剤に何かを混ぜたらするものと、新しく製剤を作成するものがあります。

既存の製剤に混ぜたりすることは、点滴から栄養を取るために使われるTPN(中心静脈栄養)と抗がん剤の調製があります。

それぞれ医薬品として販売されている薬品に他の薬品を溶かして入れたり、測って入れたりします。

TPNは中心静脈といった太い血管に直接薬液を点滴するため、無菌室やクリーンベンチを用いて、調製します。

逆に抗がん剤の調製は、調製する薬剤師が抗がん剤に曝露しないために、安全キャビネットというものを用いて混ぜたり溶かしたりします。

調剤部門のセンター業務の人員

今まで書いてきたような業務を、調剤部門担当の薬剤師は行います。

人員については、病床数や病院の大きさによって違いますが、最近では病棟での薬剤師業務が拡大されているため!調剤部門として1日従事する薬剤師は大体5から6人程度です。

もちろんそれでは全ての調剤を終えることはできないため、病棟部門の薬剤師がヘルプを行うなどして対応しています。

病棟部門については次回、記載します。

薬剤師の基本である調剤も、奥が深くやることはたくさんあります。

薬学部の新設校:私立薬科大学は59校になります

  • 薬学部が6年制になる時が一番多かった新設校。

来年度の2020年はオリンピックイヤーですが、その年に新設になる薬学部が2校あります。

それぞれ特色ある大学ですので、初年度から志願者は多くなりそうな予感。

新たに認可申請された二つの大学の薬学部について記載します。

薬学部の2020年新設校

オリンピックイヤーの2020年に新たにできる薬学部は二つです。

  • 岐阜医療科大
  • 国際医療福祉大

文部科学省の大学設置・学校法人審議会によって、2020年度の開設を予定する大学・学部の認可申請に関する答申が行われました。

そこで、岐阜医療科学大国際医療福祉大が認可申請していた薬学部の設置が二つとも可と判断されました。

薬学部志願者定員割れの中での新設校

全国の私立薬科大・薬学部は現在受験者数が減っています。

薬学部のある大学の過半数が定員割れとなる一方で、さらに2020年に2校、入学定員としては220人分の枠が拡大されます。

また、薬学部以外では第一薬科大が看護学部を新設します。

薬学部以外で認可判定が可となったのは、大学設置が2校(私立2校)、学部設置が9校(公立1校、私立8校)、大学院設置が2校(私立2校)、学部・学科の収容定員増が大学17校・短大1校となっています。

岐阜医療科大学薬学部薬学科

学校法人神野学園が運営する岐阜医療科学大学。

2020年に岐阜県可児市に薬学部薬学科(入学定員100)を開設します。

薬学部のある場所は、名古屋市に移転した名城大都市情報学部の跡地を活用しています。

実際、岐阜県内には公立の岐阜薬科大がありますが、県内だけでははなく、薬学部のない長野県や、愛知県なども含む広域から学生を確保する予定です。

当初は19年度開設を計画していたが、ほかの学部で入学超過となったことで1年延期となり、2020年に開設されます。

国際医療福祉大学の薬学部

国際医療福祉大学は、栃木県大田原市のキャンパスにすでに薬学部を設けています。

今回の新設は、同じ大学の中で2カ所目となる福岡薬学部薬学科(入学定員120)というものです。

場所は、福岡県大川市に開設されます。

大川市が事業費の一部を補助しています。

福岡県内には既に九州大、福岡大、第一薬科大の3つの薬学部がありますが、いずれも福岡市内で、大川市などの福岡の南部や隣接する佐賀県には薬学部がないため、こうした地域での薬剤師不足の解消を狙ったものです。

国際医療福祉大学は、2020年に成田に新病院も開院するため、今勢いがすごいです。

将来的には新設校から卒業した薬剤師が、成田病院で働く、ということもあるかもしれません。

もちろんかなり遠方にはなりますが。

志願者獲得を目指した開設ですが、日本私立薬科大学協会が全国57の私立薬科大・薬学部を対象に、19年度の学生の充足状況をまとめたところ、過半数の29校で入学者数が定員を下回っていました。

今回の2校が加わることで全国の私立薬科大・薬学部は59校に増えることで、受験者確保はより難しくなりそうです。

第一薬科大学は看護学部を開設

都築学園グループの第一薬科大学は、薬学部ではなく看護学部看護学科(定員80人)を、福岡市に開設します。

さらに日本薬科大は埼玉県北足立郡伊奈町のキャンパスに薬学研究科薬学専攻の大学院(定員3人)をそれぞれ開設する予定です。

来年度以降の薬学部入学に向けた情報収集の一助となれば幸いです。

薬剤師の調剤の自動化:医薬品自動入庫払い出し装置

ITやシステムがどんどん進化する中、将来はなくなる職業なんて特集も組まれていたりもします。

薬剤師の仕事の基本である調剤業務

今は自動化が進んでいます。

国内でも2社目が医薬品自動入庫払い出し装置を導入しました。

調剤業務の自動化に向けて医薬品自動入庫払い出し装置を導入

鹿児島で薬局を経営する文寿は鹿児島調剤薬局に医薬品自動入庫払い出し装置を導入しました。

これは日本ベクトンディッキンソン社の機械で、ロボットアームが医薬品の入庫や払い出しを素早く行う装置のことです。

導入薬局は国内では2社目。

安全性の向上や業務の効率化などを目的に導入されました。

文寿では5年以内に4店舗全てに同装置を導入する方向とのこと。

ついに薬剤師という職業にも自動化の波が押し寄せてきました

医薬品自動入庫払い出し装置

今回が導入されたのはBD Rowa Smart システムという機械です。

装置内部のロボットアームが医薬品の入った箱やボトルを自動で棚に並べ、処方箋に基づき、薬をピックアップして払い出すというシステムのもの。

すでに日本BDの医薬品自動入庫払い出し装置は2019年3月に、薬局経営のメディカルユアーズが大阪市に新設した梅田薬局に日本で初めて導入しました。

鹿児島調剤薬局は梅田薬局に続く導入で国内2例目であり、九州の薬局では初めてとなります。

鹿児島調剤薬局というのは鹿児島大病院の門前薬局です。

1日およそ180枚の処方箋を受け付け、備蓄薬の種類も門前薬局ならではで多数あります。

処方箋1枚当たりの薬は平均で10種類。

多い場合は40種類になることもあるため、調剤室の備蓄薬は2700種類

6000とかなり膨大な薬の種類と量を管理しています。

医薬品自動入庫払い出し装置導入のメリット

大きな病院の門前薬局など、多くの種類と量の医薬品を扱う薬局では、薬剤師も調剤する際に薬を探すのが一苦労です。

薬剤師全員を動員しても投薬口と調剤室を1300往復しているとのデータもあります。

自動化することで安全性を高める。

そして更に効率化も。

装置のサイズは高さ2.5メートル×1.6メートル×奥行き4.6メートル。

中には2500種類・計4800を超える医薬品を収納するこもができます。

薬の払い出し口はカスタマイズ可能。

基本的には四箇所あれば十分かと。

運用をどうするかは薬局時代ではありますが、基本的に薬剤師は最終監査のみで行うのが効率的です。

厚生労働省が薬剤師の監督下で薬剤師以外の者が行える業務の基本的な考え方を示したことによって、薬剤師だけでなく事務さんにさせることができる業務も広がりました。

事務さんだけでなく、それに機械を加えることで薬剤師の作業量と作業内容に格段の違いが出ます。

薬剤師が本領発揮できる肉体労働から頭脳労働が主体となります。

自動化導入で待ち時間も短縮

薬剤師の業務軽減だけでなく、患者さんの待ち時間も短縮されています。

実際に導入した薬局では装置内でロボットアームが動く様子を常時撮影し、待合室のディスプレーで見られるようにしています。

装置の導入によって、患者の平均待ち時間は15分から10分弱へと従来の3分の2以下に短縮しているとのこと。

さらにロボットの動きをみせることで、実感する待ち時間はさらに短くなっているのではないでしょうか。

調剤の自動化によって薬剤師の時間確保

機械を導入することで、最初は機械に合わせてきちんと動く必要はあります。

一番良いのは薬剤師に時間ができることです。

こうして確保された時間を指導や在宅業務などに拡充することもできます。

今は錠剤のピッキングどけの自動化ですが、今後散剤の一包化、軟膏の練り、錠剤の半割なども自動化が進めば、薬剤師はより患者さんのそばで自らの職能を発揮できます。

調剤は機械に、薬の選択や副作用管理は薬剤師にお任せ!

なんて未来もそう遠くないかもしれません。

重大な副作用、副反応として添付文書追記

医薬品を使用する上で重要な添付文書。

これは言わば薬の説明書のようなもの。

よくゲーム機やおもちゃにも説明書がついてきますが、医薬品に関しては添付文書に載っている情報はとても重要です。

今回は薬剤師っぽく、最近添付文書が改訂された医薬品について記載していきます。

重大な副作用に追記を指示、添付文書改訂

ゼルヤンツ錠の重大な副作用に静脈血栓塞栓症が追加

厚生労働省医薬・生活衛生局は8月22日に新たな重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示しました。

ファイザーのJAK阻害薬ゼルヤンツ錠(一般名:トファシチニブクエン酸塩)では、添付文書の重大な副作用に静脈血栓塞栓症を追記しました。

心血管系事象のリスク因子を有する患者にこの薬を投与する時に静脈血栓塞栓症が現れるおそれがあるというもの。

そのような患者には、他の治療法も考慮するよう求める内容にするようです。

今回の改訂の背景にあるものは、心血管系事象のリスク因子を有する50歳以上の関節リウマチ患者を対象とした海外臨床試験(A3921133試験)です。

TNF阻害薬群と比較して、ゼルヤンツ10mg1日2回群で肺塞栓症及び死亡リスクが高い傾向が指摘されました。

これを踏まえて、今回の改訂になりました。

また、ゼルヤンツ以外にも重要な副作用の部分が改訂になった薬剤があります。

ゼルヤンツ含め、今回改訂となった薬のまとめです。

トファシチニブクエン酸塩(製品名:ゼルヤンツ錠)

重大な副作用に、静脈血栓塞栓症が追記されました。

また効能又は効果に関する注意に、心血管系事象のリスク因子を有する患者に本剤を投与する際に、他の治療法を考慮するような内容を効能共通で追記されました。

さらに特定の背景を有する患者に関する注意に、心血管系事象のリスク因子を有する患者の項が新たに設けられました。

そして、静脈血栓塞栓症の徴候及び症状の発現に関する注意及び他の治療法を考慮し、特に10 mg1日2回投与の必要性については慎重に判断する旨などが追記となったようです。

実際ゼルヤンツの使用した上での報告では、直近3年間の静脈血栓塞栓症関連症例は6例(死亡1例)でした。

その中で、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は0例。

医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は0例でした。

ドパミン受容体作動薬の重要な基本的注意に薬剤離脱症候群が追記

薬剤としては、たくさんあります。

  • ロピニロール塩酸塩
  • プラミペキソール塩酸塩水和物
  • タリペキソール塩酸塩
  • ロチゴチン
  • カベルゴリン
  • ブロモクリプチンメシル酸塩
  • ペルゴリドメシル酸塩
  • アポモルヒネ塩酸塩水和物

これらの薬剤の重要な基本的注意に、急激な減量または中止により薬剤離脱症候群が現れることがあることが追記されました。

また、その他の副作用に薬剤離脱症候群が追記。

異常が認められた場合は投与再開または減量前の投与量に戻すなど適切な処置を行うことと記載されています。

ちなみに直近3年間の薬剤離脱症候群の国内報告数はありません。

改訂となった理由です。

国内と海外の症例が集積したことと、ドパミン受容体作動薬における薬剤離脱症候群の想定されている機序を踏まえた結果、ドパミン受容体作動薬全体で薬剤離脱症候群について注意喚起を行うことが適切との考えに至ったようです。

カベルゴリン(製品名:カバサール錠など)の基本的注意も改訂

カバサール錠などの商品名で販売されている、パーキンソン病治療薬のカベルゴリン。

この薬剤に関しては、重要な基本的注意にトルコ鞍外に進展する高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者に対する髄液鼻漏に関する注意喚起についての記載が追記されました。

カベルゴリン服用中の高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者に視野障害などの異常が認められた場合は、減量や中止などの適切な処置を行う必要があるというもの。

ここは薬剤師の腕の見せ所かもしれません。

さらに慎重投与の部分に下垂体腫瘍がトルコ鞍外に進展し、視力障害などの著明な高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者に改められました。

ちなみに直近3年間の国内報告数は以下の通りです。

髄液鼻漏関連症例3例(死亡0例)であり、医薬品との因果関係が否定できない症例は3例。

視野障害の再発関連症例2例(死亡0例)であり、医薬品との因果関係が否定できない症例は1例です。

BCGワクチンの副反応に髄膜炎を追記

子を持つ親であれば経験のあるBCGワクチン。

この薬剤に関しても重大な副作用に追記がありました。

添付文書の重大な副反応の部分に全身播種性BCG感染症及び骨炎、骨髄炎、骨膜炎がBCG感染症と改められ、さらに髄膜炎があらわれることが追記されました。

ちなみに、直近3年間の国内報告数は結核性髄膜炎が1例(死亡0例)であり、医薬品との因果関係が否定できない症例は1例でした。

改訂とはなり髄膜炎は怖い感染症の一つではありますが、だからといってワクチンを接種しないというような誤った判断にならないように注意が必要です。

薬剤師としても正しい情報発信が大事ですね。

ワクチンのこれから:次世代ワクチン

病気の予防に重要なワクチン接種。

薬剤師の視点で世界のワクチン事情や新しいワクチン、また親の視点からワクチンについてきさいしていきます。

少し専門的な話になりますが、どうかお付き合いください。

病気の予防に重要なワクチンの知識入門

世界のワクチン5社と日本

現在、次世代ワクチン候補が続々と開発中されています。

米国研究製薬工業協会(PhRMA)によれば、米国で開発中のバイオ医薬品901剤(2011年)のうち、298剤はワクチン製剤であり、抗体医薬の300剤とほぼ同じ程度。

そのため、世界のワクチン市場規模は約2兆円(全医薬品の約 3%)から2023年には12兆円(1000億ドル)に成長すると見込まれています。

こんな内容ばかり書くとワクチンを金儲けのために、と言われてしまうかもしれませんが、そうではなくそれだけ必要とされているとご理解ください。

なお、2011年の世界市場はGSKやサノフィをはじめとする海外企業わずか5社で80%をシェアす
る独占状態であり、残念ながら国産ワクチンメーカーの存在は見る影もないのが実情です。

しかし、15年に開催された日本ワクチン学会のテーマは「オールジャパンでの新規ワクチン創製お
よび接種環境向上へむけて」
でありました。

日本がワクチン後進国(ワクチンギャップ)の段階からワクチン先進国へと舵を切ったターニングポイントでした。

次世代ワクチン開発のポイント

次世代ワクチン開発のポイントは以下の3つあります。

  1. 混合ワクチン
  2. 投与方法のイノベーション
  3. 製造法

1つ目は混合ワクチンについて

複数の感染症を予防(個人免疫)するとともに、接種率向上(集団免疫)を図ります。

そうすれば免疫不全や白血病などワクチン接種できない子どもたちも守ることができます。

また、通院回数が減るので母親の利便性が高まるばかりか、メーカーのコストも下がり、医療用廃棄物も減ります。

欧米(一部の途上国でさえも)は4~6種混合が主流となっています。

サノフィパスツールの5種混合 Penacel®(百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、ヒブ)や6種混合(+B型肝炎)があれば母親も医師も非常に助かります。

あの複雑極まりない定期接種スケジュールをこなすのは一苦労だと思います。

経験したことある親御さんは、共感していただけるかと。

15年12月に発売された第一三共の百日せき、ジフテリア、破傷風及びポリオを予防する「スクエ
アキッズ(R)皮下注シリンジ
」は、DPT ワクチンとサノフィの不活化ポリオワクチン(ソークワクチン)をプレフィルドシリンジに充填した4種混合ワクチンです。

2つ目は投与方法のイノベーション(投与経路・デリバリー)。

(1)経鼻型・噴霧型ワクチン(粘膜免疫)

(2)針なしワクチンと皮内型ワクチン、経皮ワクチン

の2つが注目されています。

(1)は、既に米国で鼻腔噴霧インフルエンザ弱毒生ワクチン(メドイミューン社/英アストラゼネカ)
として使用が開始されています。

第一三共は15年9月、同剤の国内ライセンス契約を締結しました。

一方、国立感染症研究所は安全性が高い経鼻不活化インフルエンザワクチン(新型インフルエンザ)を開発中。

生ワクチンの適応とならない乳児や高齢者も使えます

粘膜ワクチンは体液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導できるため、感染症予防のための次世代ワクチンとして期待されています。

(2)では、米国のPharmaJet社の「針なしインフルエンザワクチン」(18 歳から 64 歳まで)の評価が高いです。

Safe(安全)Easy(簡単)Cost-Effective(コスト効率の高い)Comfortable(苦痛がない)の4つのメリットがあるといわれています。

一方、国内では第一三共とテルモが開発した皮内投与型インフルエンザワクチンがあります。

メリットは2点。

1つは、痛みが少ないこと。
皮下組織の末梢血管及び神経に対するリスクを低減されました。

もう1つは皮下や筋肉投与より免疫効果が高いこと。
皮膚上層部には樹状細胞が多いため、皮内用なら効率的抗原が送達され、従来の皮下に比べ有効性が高いといわれています。

3つ目は、製造法。

日本のワクチンは製造に時間がかかるといわれている鶏卵培養ですが、世界では臨機応変に生産
でできる細胞培養が主流です。
卵アレルギーがある場合。。といわれるのもこのためです。

日本でもパンデミックインフルエンザに備え、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋中用(武田薬品など)が承認されました。

水痘多価ワクチン(国産の次世代高付加価値ワクチン)

最後に、メーカーのワクチン開発では子を持つ母親の視点がますます重要になります。

その理由は二つあります。

一つは、乳児や子どもにとってワクチンがない感染症がまだたくさんあることです。

  • りんご病(伝染性紅斑)
  • 手足口病
  • ヘルパンギーナRSウイルス感染症
  • 突発性発疹
  • 乳児ボツリヌス症

あげるだけでもきりがありません。

もう一つの理由は、副反応を過剰に恐れているワクチン嫌いの母親は世界中にいることです。

裏返せば、日本を含む世界のワクチンメーカー(特に独占5社)にとって、最大の脅威は

母親の厳しい目―副反応(訴訟)や供給不足―であるともいえます。

その供給不足が日本で起きました。

15年12月時点で、化血研が製造するワクチン(日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎)が不足しました。

同社のワクチン10製品と血液製剤12製品の不正製造が発覚して厚労省が行政処分(出荷自粛)されたためです。

ワクチンを製造/供給するには時間がかかる(鶏卵培養の場合)。

そのため、臨機応変に製造できる細胞培養が必要なのです。

子を持つ母親の視点

複数の感染症を予防できる水痘多価ワクチン(おたふくかぜ、麻疹、風疹抗原遺伝子含む)は、わが
国の期待の星になる可能性を秘めています。

言い換えれば、1 種類の生ワクチン接種で複数のウイルス抗原に対する免疫能が誘導され複数のウイルス感染に対する防御効果が期待できるワクチンです。

このワクチンは国が推進する次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェクトが取り組む次世代高付加価値型ワクチンの 1 つで、世界から評価されている阪大微研(以下、ビケン)が開発した岡株水痘ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)をベースとした組換え多価ワクチン。

水痘ワクチンゲノムのクローン化を世界で初めて大腸菌内で行い、生ワクチンとして最適なベクターを選出した。

たしかに1回接種で終生免疫が獲得できる優れものだが、コスト高と組み換えウイルスの安全
性(倫理問題)の解決が今後の課題です。

男性型脱毛症(AGA)の治療:毛髪再生医療の可能性

IPS細胞で一躍脚光を浴びた再生医療。

その中でも、社会的関心が高いのが毛髪の再生医療です。

毛髪の再生医療

現在でも地域は限られていますが医療機関では、HARG(ハーグ)療法と呼ばれている毛髪再生医療もあり、さらなる研究開発が進んでいます。

毛髪再生医療実用化のカギとなるものは、毛根の周囲にあって毛髪をつくる毛包という器官にあります。

脱毛症は、毛包が傷ついたり弱まったりして発症するといわれているため、2種類の細胞を混ぜて毛包のもと(原基)を人工的に生み出すという極めてシンプルな手法です。

今回は、薬剤師の立場から実際に毛髪の再生医療について現時点で行われている研究について、書いていきます。

毛髪の再生医療の研究の背景:AGAの原因

すでに各種脱毛症の原因が毛包にあることはよく知られています。

例えば男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンの影響で毛包が徐々に小さくなります。

抗がん剤の副作用の場合、毛包は維持されているものの細胞が正常な働きをしません。

このため抗がん剤投与を中止すれば症状が改善することがあります。

AGAには後頭部の毛包を移植する植毛療法が存在します。

しかし、いかにホルモン影響の少ない後頭部とはいえ、大量に毛包を移植するのは負担が大きいと考えられています。

そこで、現在行われている研究では

毛包を増やしてから移植できる方法について進められています。

AGAに対する毛髪再生医療の手法

すでに理化学研究所が過去に器官原基法という手法を編み出しています。

そもそも毛や歯、内臓を含む人体の器官は、もとをたどれば上皮系幹細胞間葉系幹細胞から生まれます。

そこで、成体マウスの毛包からこの2種類の幹細胞を取り出し2層構造で培養し毛包原基をつくることに成功したのです。

そして現在行われている研究はさらにその先をいくものです。

途中まで同じですがが培養方法が違います。

簡単にいえば、

2種類の幹細胞を混ぜて放置するだけで毛包原基が大量にできる

というものです。

毛包原基が大量にできる理由

培養プレートに工夫があります。

通常は樹脂製のものが多用されますが、栄養となる酸素を通しやすいシリコーンゴム製のプレートに変更されました。

そこに2種類の幹細胞の混濁液を流し込むとくぼみの中で塊を形成し、その中で各細胞が自然と二手に分かれます。

こうして毛包原基が完成するというもの。

所要時間は約3日間といわれています。

開発がすすむ毛髪再生医療:毛包培養

理研や京セラも毛包培養に取り組んでいます。

現在の一番の課題は、仕組みを自動化することだと。

現状では一つひとつ手作業で毛包原基をつくる必要があり、自動化の意義はとても大きいといわれています。

これには印刷技術が応用できると考えられ、すでに関連企業と共同研究が始まっています。

毛髪再生医療実用化に向けて

現状はマウスの毛包をマウスに移植した段階。

要するに動物実験の段階です。

患者自身の毛包から幹細胞を取り出し、毛包原基を大量培養して自家移植するのが最終的な目標となっています。

現在日本で行える再生医療としては、HARG療法(ハーグ療法)というもの。

これは、Hair(毛髪)Re-generative(再生) theraphy(治療)という言葉の略称で、再生医療の技術を薄毛治療に応用した毛髪再生医療のことです。

成長因子と有効成分を含むHARGカクテルを頭皮に直接することで毛包を蘇らせ、毛母細胞を刺激して、発毛を促進し毛髪を再生させるというものです。

お餅やケーキは乳腺炎の原因にならない!

2019年も始まり早くも数ヶ月が経過しました。

平成から令和へ元号もうつり、令和ベビーの話題がニュースなどを賑わせています。

赤ちゃんにとって大事な母乳。

完全母乳育児をしているママも、ミルクと混合で育てているママも一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。

今回はよく耳にするお餅やケーキの生クリームが乳腺炎の原因になるかについて記載していきます。

お餅やケーキによって血液がドロドロになって乳腺炎になりやすいは嘘!!

インターネットなどで調べてみると、お餅やケーキを食べると乳管がつまって乳腺炎になるという記載があり、その原因は血液がどろどろになって血液からできている母乳もドロドロになるというもの。

結論から言うと、これには明確な根拠はありません

お正月の縁起物であるお餅。

お正月に食べるお餅は古くから縁起物とされていて、鏡餅を飾るのも平安~鎌倉時代からの風習です。

鏡開きは、神様の霊力が宿ったお餅を家族皆でいただくという意味があるそうです。

しかし授乳中のママの中には、お餅を食べると乳腺炎になりやすいらしいから我慢している、なんて人もいるかもしれません。

そしてお祝いごとや誕生日などで出されるケーキ。

これに関しても生クリームは乳腺炎になりやすいから、せっかく美味しいケーキも少しだけ。。。なんて我慢していることも。

実際に日本では、乳腺炎になりにくい食事としてお餅やを避けることや、脂肪分の少ない和食を食べることなどが指導されることも多いです。

でも、実は食事内容が乳腺炎のリスクになるという根拠はありません

血液がドロドロになって、母乳もドロドロに!?

そもそも乳腺炎とは、乳房が詰まって痛みを伴って腫れることに加え、発熱など全身症状が起こる病気です。

授乳中のママの2~10%がかかると言われています。

その原因は授乳間隔が空いてしまったり、赤ちゃんの吸着が適切でないことなどにより、母乳がうっ滞することです。

そこでよく耳にする乳腺炎になりやすい食べ物。

特定の食事、例えばお餅やケーキなどによって、母乳の出口である乳管が詰まりやすくなる、という経験談はまだまだ根強いようです。

その理由としては

[aside type=”warning”]
血液がドロドロになり、その血液から作られる母乳がドロドロになるから[/aside]

というような記載がされていました。

しかしこれまでの医学研究からは、母親の食事によって母乳の糖分や脂質の量が大きく影響されることはないことがわかっています。

母乳と食事内容に関する研究

2012年に発表された論文では、フィリピンのセブ市で102人の授乳中の母親を対象に調査を実施。

研究者たちは、1 日の食事内容をインタビューして脂質・蛋白質・糖質をどのくらい摂取しているかを調査しました。

さらに母乳のサンプルを集めて成分を分析し、食事内容との関係を調べました。

すると、母親の食事の糖分や脂肪分が多かったからといって、母乳中の糖分や脂肪分が増えるわけではないという結論に至りました。

この論文の中では、様々な国で母乳の成分を調べた研究結果もまとめられています。

それによると、

  • 母乳中の脂質は100ミリリットル中2.8~4.78グラム
  • 糖質は6.5~8.0グラム
  • 蛋白質は0.9~1.5グラム

ほどの範囲になっています。

世界中に授乳中のママはいて、様々な文化の中で色々な食事を食べています。

しかし一番ばらつきが大きい脂質を考えてみても、100ミリリットル中に小さじ半分ほどの違いしかありません。

このことからも、食事内容によって母乳がドロドロになるのは考えにくいことだとわかります。

お餅やケーキが原因と勘違いしているのかも

そもそも、お餅やケーキを食べたからといって、血液がドロドロになるわけでもありません。

もし本当にそうなるのであれば、乳腺炎に限らずお餅やケーキを食べた人達が脳梗塞心筋梗塞になっていてもおかしくありません。

食べ物を食べると栄養分がそのまま血液に入るわけではありません。

血液中の糖分や脂肪分の量はコントロールされているのです。

例えばお餅はもち米を蒸して杵でついたもので、100 グラム中約50グラムは糖質、約45グラムは水分です。

糖質が多い食べ物なので、食べれば血糖値は上がりますが、正常な人の血中の糖分は血液100ミリリットル中0.2グラム以下に調整されています。

これほどまでに少量の糖分によって血液がドロドロになるはずはありません。

おっぱいが張る、もしくは熱を持つ。

そんなときは生活を振り返ることが必要です。

お正月にはよくお餅を食べますが、来客があったり帰省したりと、普段と違う過ごし方をする場合も多いです。

授乳間隔が空いてしまったり、ママの疲れがたまってしまうこと乳腺炎になったとしても、お餅が原因と勘違いされてしまうのだと思います。

結論としては、お餅やケーキなどを禁止する合理的な理由はありません。

もちろん、授乳中は蛋白質やビタミン・鉄分など、十分な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

夜泣きや長時間の抱っこなどによってママの体調も優れなかったり、睡眠不足が続くことも母乳にはよくありません。

なかなか料理から必要な栄養素をとれない場合は、サプリメントを使用することもいいことかもしれません。

この母乳の泉は、防カビ剤や保存料、香料なども含まない無添加の製品であり、厚労省が推奨する栄養素をしっかりカバーしています。

ここから購入すると30日間の返金保証もあるため、一度試す価値はあると思います。

まとめ

今回は、子育て中のママが一度は悩んだことのある乳腺炎の原因について記載しました。

意外と実しやかに言われていることも、科学的には根拠のないことであったりもします。

正しい知識を得てることで、我慢しなくていい美味しいものを食べることができるようになることもあります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

【現役薬剤師が解説する奨学金】薬学部の学費と奨学金、教育ローンについて。

国公立大学よりも私立大学。
文系よりも理系の方が一般的に学費はかかると言われています。
特に医療系の学部は学費が高いのは、有名なこと。
今回は薬学部の学費とそれを補うべく、奨学金についてまとめました。
薬学部は国家試験を取得することを考えると、6年制を選択しなければなりません。
私学だと6年間の学費は1200万程度かかるともいわれています。
実際の私の体験も併せて見て頂ければと思います。
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薬剤師目線:日本の奨学金事情について

厚労省の調査によると、実際に奨学金を利用している学生の87%は生活保護世帯といわれています。
大学生全体を調べた別の調査では利用率は49%という結果で、年々増加しているとも言われています。
中でも、返済が必要な貸与型奨学金の利用がほとんどで、困窮世帯の子供が事実上の借金を背負い、不利な状況に置かれる「貧困の連鎖」につながる恐れがあります。
この調査は2017年4月1日時点で大学や短大、専門学校などに在籍している学生で、生活保護の家族と同居している4445人を対象に実施されました。
そのうち回答が得られたのは、2025人。
奨学金利用の内訳(複数回答)は貸与型が69%で、給付型が9%などとなっています。
年間の平均受給額は貸与型で116万4千円、給付型では37万7千円でした。
年間の収入を種類別に見ると、親ら家庭からのお金が一般学生では 118 万1千円だった一方、生活保護世帯の学生は5万5千円という驚きのデータもあります。
そのため、残りは奨学金とアルバイトで賄っており、奨学金の額は一般学生の2.8倍、アルバイトによる収入も1.8倍でした。
受験で塾や予備校などを利用した学生は11%どまりで、60%は「学校の教材を使用して一人で勉強した」と答えています。

奨学金の種類

奨学金と一言で言ってもいろいろな種類があります。
大きく分けると貸与型と給付型。
日本の奨学金事情でも少し触れましたが、貸与型は返済の義務がありますが給付型は返済義務なし、もしくは一定の条件を満たせば返済しなくていいものを言います。
さらに、大学や地方公共団体による奨学金、民間の奨学金制度もあります。
奨学金が何らかの理由で借りられない
または、奨学金だけでは足りない場合は教育ローンというものもあります。
教育ローンも無理な場合は、
  • 入学時特別増額貸与奨学金
  • 生活福祉資金貸付制度
  • 母父子寡婦福祉資金貸与金

などがあります。

日本学生支援機構

日本で一番メジャーな奨学金を貸し出している、独立行政法人です。
第1種と第2種にわかれていて、第1種は無利息であるのに対し、第2種は利息がつきます。
世帯の年収などで借りられる奨学金が決まります。
詳細はこちらを。

大学や地方公共団体による奨学金

大学・地方公共団体による奨学金はこちらから検索できます

民間の奨学金

民間の奨学金は、条件さえ合えば給付型として奨学金を運営している場合もあるので、一度はチェックしてみてもいいかもしれません。
返還の義務がない民間の奨学金検索はこちらから。
薬学部の目線で考えると、帝人奨学会
薬学独自のものとしては、私自身もお世話になった鈴木万平記念薬学奨学基金もあります。

教育ローン

世帯年収などの各種条件のある教育ローン。
利息はあり、奨学金は学生の期間は返済義務がないのに対して、教育ローンは借りた次の月から返済が始まります。
もちろん、救済措置として学生期間中は利息のみ払うことも選ぶことができます。
また、借主は国の教育ローンの場合は保護者。
子供の学力は不問です。(国の教育ローンの場合)
詳しくは、こちらを参照ください。

入学時特別増額貸与奨学金

1種か2種の奨学金を受けている人で、教育ローンが受けれなかった人のみが受けれる奨学金の制度です。

生活福祉資金貸付制度

市区町村の社会福祉協議会が窓口となります。
低所得世帯や他から借り受けることが困難な世帯(市長身民税非課税程度)が対象となります。
この制度の場合は無利子で借りることが出来ます。

母子父子寡婦福祉資金貸与金

市区町村の福祉担当が窓口となります。
母子家庭・父子家庭が対象で、こちらも無利子で借りることができます。

まとめ

学生が利用できる奨学金と教育ローン、その他の制度についてまとめました。

世帯の年収や、学年の条件などによってい利用できる制度に差はありますが、薬学部の高い学費を払うためには、ぜひとも給付型の奨学金を得たいところです。

大学として薬学部を目指した時点で、奨学金事情はチェックしておいたほうがいいかもしれません。