インフルエンザの治療に漢方薬は使えるのか:薬剤師目線で解説

ようやく流行のピークを越えたインフルエンザ。

しかし、まだまだ油断は禁物です。

これからはインフルエンザB型が流行する時期。

A型にかかった方もB型にかからないように注意が必要です。

今回は私のコミュニティでも話題になった

インフルエンザに対する漢方薬の効果について

薬剤師の目線で解説していきます。

インフルエンザそのものの特徴や、医薬品ゾフルーザに関しては以下の記事もご参照ください。

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インフルエンザの診断と検査結果

まず、インフルエンザ感染症の診断は、迅速診断キットによる検査結果に基づくことが多いと思われがちです。

しかし、検査結果が陰性でもインフルエンザを否定できないケース(偽陰性)は少なくありません。

そのため、検査陽性ならば抗インフルエンザ薬を処方し、陰性ならば処方しないという画一的な診療は、推奨されません。

時にインフルエンザ検査が陰性であっても、そのほかの情報からインフルエンザの疑いが高ければ抗インフルエンザ薬を医師は処方することができます。

神戸大学大の岩田健太郎先生によるインフルエンザ診療方針の試案では、

重症・ハイリスク患者においては、迅速診断キットの結果に関係なく抗ウイルス薬の使用を考慮するとされています。

重症でもハイリスクでもない患者では、抗ウイルス薬か漢方薬かを患者に選択してもらいます。

抗ウイルス薬を希望した場合、検査前確率が50%未満であれば検査を行い、それ以上であれば行わない。

つまり、流行状況や臨床症状から目前の患者が50%以上の確率でインフルエンザに罹患して いると考えられれば、検査なしで抗ウイルス薬を処方する。

また、漢方薬の処方に際しては、検査前確率に関わらず検査は行わないとされています。

検査が信用できるかについては、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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インフルエンザ感染症に対する標準的な薬物療法は抗ウイルス薬だといえます。

今回は、インフルエンザ感染症に対する漢方薬の有効性について考えていきます。

補中益気湯でインフルエンザ予防ができるのか?

インターネットでインフルエンザに対する漢方薬関連の情報を検索すると、

[box class=”red_box” title=””]補中益気湯でインフ ルエンザが予防できるかもしれない[/box]

といった内容の記事を発見することができます。

もちろん医療用の補中益気湯にはインフルエンザ予防の適応はありません。

しかし、この薬はOTC薬として一般のドラッグストアやネット販売でも購入可能となっています。

補中益気湯のインフルエンザ予防効果に関して報告はいくつかあります。

一つ目の報告はBMJ(英国医師会誌)に掲載された、英国におけるA/H1N12009(2009年に世界的に流行した新型インフルエンザ)の流行状況と死亡率に関する論文です。

子の論文では、病院職員358人を対象に、2009年9月7日より、補中益気湯を服用した179人と、服用しなかった179人(グループ 1)の2群を比較して、インフルエンザの発症数を検討しました。

その結果、補中益気湯を投与された職員のうち 14 人が1週間後に服用を中止し(グルー プ 2)、さらに治療開始 4 週後までに103人が中止(グループ 3)しており、8 週間にわたり服用を継続していたのは62人でした(グループ4)。

9月7日~11月2日までの8週において、迅速診断検査によって確認された A 型インフルエンザ感染は8人であり、そのうち7人は補中益気湯を一度も服用していなかったと報告されています。

また、 グループ1とグループ2~4を比較してインフルエンザ発症者を比較したところ、統計学的な差が示されています(P<0.05)。

しかし色々なバイアス(統計学的な偏り)を考えると、この結果のみで補中益気湯のインフルエンザ予防効果を論じることには無理があります。

そもそもこの報告には、

予防効果について検証されるべき

という記載はあっても、

予防効果がある

とは書かれていません。

[box class=”yellow_box” title=”結論”]補中益気湯には、インフルエンザウイルスの細胞内侵入を防ぐ可能性が示されているが、2019年1月末時点において補中益気湯のインフルエンザに対する人での有効性(予防もしくは治療効果) を検討した報告は見付けることはできませんでした。[/box]

麻黄湯ではインフルエンザ予防効果はあるのか?

医療用として用いられている麻黄湯は、キョウニン、マオウ、ケイヒ、カンゾウから構成される漢方薬です。

インフルエンザ感染初期の症状緩和に保険適用があります。

麻黄湯には基礎的研究において抗ウイルス作用が示されていて、インフルエンザ治療における有望な選択肢となる可能性があります。

麻黄湯に関する報告は5つあります。

小児を対象に発熱に対する有効性を検討した2つの研究では、オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)と比較して、いずれも発熱持続時間が有意に短縮していた。

また、成人を対象に発熱に対する有効性を検討した3研究中2研究では、オセルタミビルと統計学的な有意差は認めなかった

一方、その他の1件の研究では、発熱期間がオセルタミビルと比較して麻黄湯で17時間ほど短いことが示されています。

タミフルなどと比較して効果に有意な差を認めないということは、抗ウイルス薬と麻黄湯がほぼ同等の効果を持つとも考えられます。

また、インフルエンザ感染症に対するアセトアミノフェン(カロナール他)の効果は限定的であり、早期に解熱を期待するのであれば、麻黄湯は有望な治療薬となり得るかもしれない。

実際のところ、インフルエンザに有効な漢方薬はないのか?

日本でインフルエンザ(流感)に保険適用がある漢方薬には、麻黄湯以外に柴胡桂枝湯、 竹じょ温胆湯があります。

しかし、論文や研究報告を検索しても、これら漢方薬のインフルエンザ感染症に対する有効性を検討したものを見付けることはできません。

インフルエンザ感染症に対する漢方薬の有効性を検討した比較的規模の大きい研究は2011年に報告されています。

インフルエンザ感染症に対する漢方薬の有効性を検討した質の高い報告であるこの研究は、15~69歳のインフルエンザ患者410人(平均19.3歳、男性60%)を対象としたもの。

被験者を、

[box class=”black_box” title=””]

  1. オセルタミビル 75mg1 日2回5日間の投与(102人)
  2. 麻杏甘石湯と銀翹散の併用 1日4回5日間の投与(103人)
  3. 麻杏甘石湯、銀翹散とオセルタミ ビルの併用投与(102人)
  4. 薬物の投与なし(103人)

[/box]

の4群に割り付け、解熱までの時間を比較しました。

その結果、解熱までの時間中央値は、治療なし群の26時間と比較して、オセルタミビル群で20時間、麻杏甘石湯と銀翹散併用で 16 時間、 オセルタミビル、麻杏甘石湯と銀翹散の併用で15時間という結果でした。

薬剤師目線で考える

研究の問題などを考えると、漢方薬の有効性は現時点では決して高いものではないという結論に至ります。

ただ、そもそも漢方薬はインフルエンザ症状という”現象”に対する治療であり、その治療対象はインフルエンザウイルスではありません。

もちろん、基礎的研究において抗ウイルス作用が示唆されている生薬成分もあるとは思いますが、それが臨床症状の改善をもたらすかどうかについての因果は現時点で証明されていないのです。

そして、“現象”に対する治療であれば、インフルエンザウイスルが存在するかどうかはどうでもよい問題でもあります。

このように記載すると無責任な気もしますが、このどうでもよさが、必要性の低い検査や不適切な抗ウイルス薬投与を減らすことにつながるかもしれません。

まとめ

インフルエンザの診断と治療薬の選択について記載しました。

色々な研究があり、白黒はっきりしないのが現状です。

まずできることは、

[aside type=”warning”]

  • 医療者は、インフルエンザの可能性は低いのに念のため抗インフルエンザ薬を処方しておくということをしない。
  • 患者としては、むやみに薬を希望しない

[/aside]

これらのことが抗インフルエンザ薬の適正使用につながるのではと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

インフルエンザの検査は信用できるのか:痛い、辛いインフルエンザ検査について。

新年明けて寒暖差の激しい日が続いています。

暖かくなったと思ったら、雪が降るほどさむくなったり。

昨年のインフルエンザシーズンは1999年の統計調査開始以来、最大のインフルエンザの流行を記録。

今年もそれを上回るほどの流行が話題になっています。

今回はインフルエンザの中でもその検査に注目して記載していきます。

薬剤師目線:インフルエンザの検査は信用できるのか。痛くて辛い検査の詳細を説明します。

インフルエンザ検査の重要性と信頼性

インフルエンザかどうか、検査してください

と、クリニックや病院を受診される方はたくさんいます。

すぐに結果がわかるものの、鼻の中に綿棒を入れ、鼻の粘液をとってインフルエンザかどうかを判定する迅速検査は、痛くて辛い検査です

カナダのモントリオール大学の報告によると、

感度(インフルエンザに罹患している人の中で、検査が陽性である人の割合)は62%、

特異度(インフルエンザに罹患していない人の中で、検査が陰性である人の割合)98%。

実は、陽性が出ればインフルエンザであると確定できるのですが、陰性であったとしても、インフルエンザではない、とは言い切れない検査なのです。

インフルエンザの検査、結論から言ってしまうと実は、

陽性が出ればインフルエンザは確定できるのですが、陰性であったとしてもインフルエンザではない、とは言い切れない検査なのです。

インフルエンザワクチンとインフルエンザ治療薬

そもそもインフルエンザの感染や重症化を予防するための予防接種をされた方はどれほどいるでしょうか。

また、今年のインフルエンザで話題になったのは新しい抗インフルエンザ薬である、

ゾフルーザ

実際にこの薬を処方された方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。

従来よりも多くのゾフルーザが処方されているとの見方もあります。

ゾフルーザは、たった1 回服用するだけでよく、ウイルスの減少効果はタミフルよりも早いなどのメリットもありますが、最近ではゾフルーザ耐性株の存在が報告されたりもしています。

ゾフルーザについての詳細は以下の記事をご参照ください。

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販売開始から1年も経たずに耐性が報告された背景としては、使いすぎもあるのかもしれません。

インフルエンザ

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染しておこる感染症です。

咽頭痛や鼻汁、咳といった上気道の炎症による症状の他に、38 度以上の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身の症状がみられます。

稀にではありますが、子供では急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人は肺炎を合併するなど、重症化することもあります。

風邪とは違う?インフルエンザ

そもそも風邪とは違うのですか?

という声も多く聞かれます。

俗に言う風邪はかぜ症候群と呼ばれ、ライノウイルスやコロナウイルス、RS ウイルスやアデノウイルスなどが主な原因ウイルスとなります。

インフルエンザも同じウイルスが原因ではありますが、風邪の場合、インフルエンザほど高熱にはならず、咽頭痛や鼻汁、咳といった上気道の炎症による症状が中心で、重症化することはあまりありません。

インフルエンザウイルス

インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型があります。

そのうち、ヒトに感染し流行を引き起こすのはA 型とB 型です。

インフルエンザの流行には季節性があり、日本では、毎年12月から3 月にかけて流行します。

では、どうして毎年流行するのでしょうか?

インフルエンザが流行する理由

インフルエンザウイルスには、型だけでなく、株とよばれるさらに細かな分類があります。

インフルエンザウイルスの表面の突起物であるHAと呼ばれる構造の違いを分類したものです。

私たちのカラダの免疫システムは、このHAの構造を記憶しているのです。

しかしながら、HA の遺伝子は毎年のように変異を起こします。

そうすることでインフルエンザウイルスは、我々の免疫システムから逃れ、毎年流行し続けているのです。

こうしたことから、予防接種をすることがインフルエンザの一番の対策となります。

アメリカのFDAでも、

FDAが承認したインフルエンザを治療する抗インフルエンザ薬はいくつかあるが、年に1度の予防接種の代わりにあるものはない

と述べています。

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンは、現在、A型とB型ともに2種類の株、つまり4 種類の株に対応できるように作られています。

その際、WHOを中心として、どの株が流行するかが予想されており、これまでに予想が外れてワクチンが効かなかったという事態はほとんど生じていません。

また、インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンであり、病原体となるウイルスの感染能力を失わせたものが原材料となります。

そのため、ワクチンを接種して得られた免疫は時間とともに弱まります。

インフルエンザワクチンの場合、3カ月程度しか効果は持続しないため、流行のシーズン前に接種する必要があります。

インフルエンザワクチンの有効性

米国疾病管理センター(CDC)のインフルエンザワクチンの有効性の報告によると、

65歳未満の健常者ではインフルエンザの発症が70~90%減少

65歳以上の老人施設に入居されていない高齢者では肺炎やインフルエンザによる入院が30~70%減少

老人施設に入居されている方は、インフルエンザの発症が30~40%減少

肺炎やインフルエンザによる入院が50~60%減少

死亡リスクが80%減少したといいます。

また、1歳から15歳の子供にも、インフルエンザの上気道症状に対して77%から91%有効であったとのことでした。

インフルエンザになってしまったら

インフルエンザの予防には、日々の手洗いうがいと予防接種が欠かせませんが、インフルエンザに感染してしまった場合、どうすればいいのでしょうか。

こまめに水分を摂って、ウイルスの侵入経路である喉を潤し、よく休んで体力を回復させ、ウイルスを増殖させないようにし、軽いうちに自力で抑え込むことが大切です。

併せて大切なのが、人にうつさない行動をとる、つまり自宅で休養することです。

アメリカのCDC は、65歳未満のハイリスクでない成人は、検査も治療も必要としません、と言います。

インフルエンザが疑われるときは、息が苦しい、意識がおかしいといった状況でない限り、早期の受診を促すのではなく自宅療養でいい、ということです。

ほとんどの人は、抗インフルエンザ薬の使用の有無に関わらず、5 日から7 日ほどで軽快します

喉が痛い、熱が出た、節々が痛い、体がだるい……そういった症状が出たら、何かしらのウイル
スが体に侵入して闘っているということを意味します。

それが、インフルエンザウイルスなのか、風邪のウイルスなのか(場合によっては細菌感染もあります)、軽症の場合、区別はつきません。

まとめ

インフルエンザに限らず検査はほとんどの検査において、100%の信頼性があるものはありません。

インフルエンザの流行も下火になってきましたが、これからはインフルエンザB型が流行する時期です。

咳エチケットなどの予防も重要ですが、体調が悪いときは無理せずしっかり休むことも重要です。

最後に、インフルエンザについての興味深い知識を一つ。

ニューヨークにあるコロンビア大学が1975年から2008年にかけて40カ国78都市で調査した結果、

インフルエンザウイルスは、乾燥していて寒い気候を好むだけでなく、湿度が高くて雨が多い気候も好むこと

がわかっています。

実際に、一年を通して気温が高い東南アジアでは、雨季にインフルエンザが流行しているのです。

日本でも東南アジアと同様に、亜熱帯に属している沖縄では夏にもインフルエンザが流行しています。

温暖化が進めば、今後本州でも夏にインフルエンザが流行する、なんてこともあるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございます。

インフルエンザの新薬:ゾルフーザの利点と懸念

先駆け審査指定制度によって、今年の3月に販売開始となった抗インフルエンザ薬のゾフルーザ。

1日1回服用のメリットなどもあり、これからのインフルエンザのシーズンに処方されることが考えられます。

昨年のインフルエンザについてと、ゾルフーザのメリットについては、下記の記事も合わせてお読みください。

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今回は、日本感染症学会インフルエンザ委員会から出された提言をもとに、 新薬ゾフルーザの利点と懸念について紹介します。

結論としては、以下の2点です。

  • 利便性は高く、アドヒアランス(1回飲めば治療が完結するため)に優れる
  • アミノ酸変異株の出現の影響は不明

薬剤師目線:抗インフルエンザ薬~ゾルフーザ~

日本感染症学会インフルエンザ委員会は10月1日に、ゾフルーザの評価と使用に関する提言を発表しました。

ゾフルーザの作用機序は、従来薬タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害薬とは異なり、キャップ依存性エンドヌクレアーゼというウイルスの増殖に必要な酵素の働きを阻害することによりウイルスの増殖を阻止します。

要するに、今までの薬とは違った効き方でインフルエンザに効果を示します。

提言の中では、

「臨床的な有効性はタミフル(一般名オセルタミビル)と同等だが、1 回の内服で治療ができることから、利便性が高くアドヒアランスは優れている

と総括されています。

ゾフルーザは期待されていたインフルエンザ治療におけるガイドラインなどへの位置付けは見送られました。

それは、ゾフルーザで治療することによって薬があまり効きにくくなる低感受性変異ウイルスが発生することが報告されたため、 薬剤の効果への影響や周囲への感染性が不明となったからです。

最後に提言では

「今後の臨床症例を蓄積して、ゾフルーザの位置付けを決めていく必要がある」

と結論されています。

ゾルフーザの特徴

発売前の臨床試験でわかったゾフルーザの特徴をまとめると以下のようになります。

なお、プラセボとは「この薬を飲んだら効く」という心理的な要因を排除するために使う、何も効果のない薬のことです。

プラセボより罹病期間が有意に短い

第3相試験(T0831。対象は 12 歳以上 65 歳未満)によると、主要解析である罹病期間(中央値)の比較では、ゾフルーザ群が53.7時間、プラセボ群が80.2時間と、ゾフルーザ群が有意に短かった(P <0.001)。
→インフルエンザに罹っている期間が、ゾフルーザで治療したほうが何も治療しないより短い。

このゾフルーザ群の優越性は、青少年(12~19 歳)群(プラセボ群との差[中央値]:38.6 時 間、P=0.006)と成人(20~64 歳)群(同 25.6 時間、P<0.001)の両方で観察された。
→青少年でも成人でもゾフルーザの使用でインフルエンザに罹っている期間が短くなった。

しかし、成人(20 歳以上 65 歳未満)を対象に行ったタミフル群との罹病期間(中央値)の比較では、 ゾフルーザ群(53.5 時間)とタミフル群(53.8 時間)の間に有意差はなかった(P=0.7560)。
→タミフルとゾルフーザの比較では、インフルエンザに罹っている期間に差はなかった。

副作用はタミフルより有意に少ない

ゾフルーザの副作用として、成人(12 歳以上の小児を含む)の臨床試験(安全性評価試験)では、臨床検査値の異常を含む副作用は5.4%(49/910 例)に認めました。
下痢と肝機能マーカーである ALTの上昇が主なものでした。

また、12 歳未満の小児を対象とした臨床試験では、3.8%に副作用が認められた。

これらの結果から提言では、

「小児も成人も、現時点では問題となる副作用の報告はない

と結論しています。

一方、第3相試験(12 歳以上 65 歳未満)で治験レジメンと関連性があると見なされた有害事象の発現頻度は、タミフル群(8.4%)がゾフルーザ群(4.4%、P=0.009)やプラセボ群(3.9%)より高いという結果だった。
効果は同じだが副作用の出現が少ないという点は、ゾフルー ザ使用の利点となります。

抗ウイルス作用は有意に高い

感染性ウイルス量の減少速度は、ゾフルーザ群がプラセボ群およびタミフル群を有意に上回っていた。
投与開始から 1 日後の感染性ウイルス減少量(中央値)は、ゾフルーザ群が4.8log10 TCID50/mLだったのに対して、タミフル群では2.8log10 TCID50/mL、プラセボ群では1.3log10 TCID50/mL だった。

この点について提言では、

ウイルス感染価を早期に大幅に低下させるので、治療効果と同時に、周囲への感染防止効果も得られる可能性がある」

と指摘。

さらには、同様に抗ウイルス作用の高いゾフルーザでも、

家族内感染の機会を減らすこと が期待できる」

といわれています。

アミノ酸変異株について

ゾフルーザの利点を紹介してきましたが、留意すべき点もあります。

それは、提言が治療戦略上の位置付けを見送った理由でもある、治療後にアミノ酸変異のあるウイルスが高率に検出されたことです。

小児を対象とした国内第3相試験では、ゾフルーザ投与患者のうち、投与前後に塩基配列の解析が可能だった 77例のうち18例(23.3%)で、アミノ酸変異株が検出されています。

変異株を認めたのは、全てA型インフルエンザの患者でした。
また、成人と12歳以上の小児を対象とした臨床試験でも、370例中36例(9.7%)で、同じような変異株が検出されています。

アミノ酸変異の有無別に見た有効性

対象はゾフルーザを投与され、かつRT-PCRの結果に基づきインフルエンザウイルス感染が確認された被検者の集団(ITTI 集団)。

ここでいうアミノ酸変異は、インフルエンザウイルスの複製を担う蛋白質(RNA ポリメラーゼ)で見つかりました。

RNA ポリメラーゼはPA、PB1、PB2の3つのサブユニットから構成されます。
しかし、そのうちPAの遺伝子の38番目のアミノ酸イソロイシン(I)がトレオニン(T)に置き換わっていました(フェニ ルアラニン[F]やメチオニン[M]への置換も見つかっています)

PAにはゾフルーザが作用するキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性があるため、この変異ウイルスが出現したことで、インフルエンザウ イルスのゾフルーザに対する感受性(効き目)は約50倍低下していたといわれています。

アミノ酸変異株の影響

それでは、こうした変異株の出現は、臨床上あるいは公衆衛生上、どのように評価されるのか。

委員会の結論としては、

アミノ酸変異による臨床効果への影響は不明であるとし、これからの検討が必要」

との結論に落ち着きました。

12歳以上65歳未満の患者を対象とした臨床試験(T0831)によると、罹病期間(中央値)は、変異なし群(419 例)が52.4時間だったのに対して、変異あり群(36例)が63.1時間と延長していた(有意差の検定は行われていません)。

ちなみに、 変異あり群の罹病期間が、プラセボ群(80.2 時間)を超えることはなかった。
→アミノ酸変異があっても、何も治療しない場合と比べてインフルエンザに罹っている期間がながくなることはなかった。

また、6カ月以上12歳未満の患者を対象とした臨床試験(T0822)では、罹病期間(中央値)は、変異なし群(86例)が43.0時間、 変異あり群(17 例)が 79.6 時間だった(有意差の検定は行われていません)。

どちらも変異あり群で罹病期間の延長が見られたが、ウイルス感染力価の再上昇を認めた時期となる、投与開始から5日目または6日目以降の「インフルエンザ症状なし」並びに「発熱なし」の症例の割合は、変異の有無別で大きな差を認めていません。

しかし、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の判断は

アミノ酸変異が臨床に与える影響は不明である

でした。

理由としては、アミノ酸変異株の病原性や伝播性に関する情報、さらには治療開始時のアミノ酸変異を有するインフルエンザウイルス感染者に対するゾフル ーザの有効性に関する情報が得られていない、というものだった。

また、ウイルス力価の再上昇が認められたことについては、公衆衛生上の留意が必要とし、

経年的なインフルエンザウイルスの耐性動向調査を継続的に実施し、得られた情報を医療現場に適切に提供する必要がある」

と結論しています。

まとめ

現時点での抗インフルエンザ薬、ゾルフーザの評価として、

メリット:1回の経口投与で済むため、利便性が高く、アドヒアランスは優れている

懸念事項:アミノ酸変異の発生率が高く、それによる治療への影響や公衆衛生的な課題もある

ということでした。

これからのインフルエンザは流行期に入ります。

治療薬の正しい知識とともに、ワクチン接種がまだの方は積極的にワクチンを接種しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

インフルエンザの脅威!!予防の大切さをアメリカの経験から。

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それでは、インフルエンザの話です。

昨年のインフルエンザのシーズンでは、アメリカでは約8万人が死亡したといわれています。

それは、過去40年の間で最も死者数の多いシーズンであったと、アメリカの公衆衛生局が明らかにしています。

日本でも2017/18のシーズンでは、ワクチンが不足したり流行が早くから始まったりと、いろいろ問題のあったシーズンではありました。

今年のシーズンもすでにちらほら、学級閉鎖など始まっている地域もあると聞きます。

さらに、詳しい内容は下の記事も参考にしてみてください。

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薬剤師目線:昨年のアメリカでのインフルエンザ

昨シーズンには特に病原性が高いといわれている、H3N2インフルエンザウイルスが米国全土で猛威をふるい、米疾病対策センター(CDC)のデータでは死亡者数や入院者数が史上最多となりました。

米公衆衛生局では、

「昨年はインフルエンザワクチンの接種率が低下し、インフルエンザに感染しやすい状態の人が多かったことも事態を悪化させた」

と説明をしています。

また、公衆衛生局の関係者達は記者会見で、自分や家族をインフルエンザ感染から守るために毎年ワクチンを接種するよう、米国民に対して強く呼びかました。

昨シ ーズンのインフルエンザやその合併症による死亡者数は8万人と推定されていて、CDCが統計を取り始めた1976 年以降で最も多い結果となりました。

それまでは5万6,000人が死亡した2012/13 シーズンが最悪でしたが、同シーズンも主に流行したのは H3N2インフルエンザウイルスだったのです。

CDCの推計では、2017/18シーズンにはインフルエンザによる小児の死亡者数も180人と2012/13 シーズンの171人を上回っています。

ワクチン接種の有無

実は、死亡した小児の大多数はワクチンを接種していませんでした。

また、昨シーズンはインフルエンザによる入院者数も90万人と史上最多を記録し、病人で溢れかえった病院の様子がメディアでも報じられました。
さらに、全ての年齢層で重症度の高さが記録された初めてのシーズンだったのです。

しかし、インフルエンザによる打撃を受けたにもかかわらず、米国におけるワクチン接種率は2年前の59%から昨シーズンには57.9%と1.1ポイント低下していました。

特に感染弱者であり、感染すると周囲にも感染が広がりやすい特定の年齢層で接種率が低下したことが状況を悪化させたといわれています。
例えば、 生後6カ月~4歳の乳幼児で接種率の低下がみられました。

「これらの年齢層の子供は、それまで健康であったとしても病気になると重篤な合併症を発症しやすい」と

指摘されています。

また、ほかのアメリカの医師も

「低年齢児が感染すると、免疫系の働きが低下した祖父母などの家族間や学校で感染が拡大する可能性もある」

と説明しています。

妊婦のワクチン接種率

昨シーズンは妊婦のワクチン接種率も低下していました。

ワクチン接種についてはもちろん、食べ物などにもまとめてある下の記事も読んでみてください。

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米マサチューセッツ総合病院の医師は、

「妊婦は免疫が低下しているためインフルエンザに感染しやすい。また、妊娠中に高熱が続くと子供に 先天異常が起こる可能性が高まることが分かっている」

と指摘しています。

さらには、日本でもインフルエンザのワクチン接種は6か月未満の子供にはできません。

しかし、妊婦がワクチンを接種することで胎児にも抗体が移行します。
そのため、出生後に感染から守ることができます。

妊婦にもインフルエンザワクチンは接種推奨なのです。

まとめ

今回はアメリカのシーズンから学べることを記事にしました。

ここは日本だ!!といわれる方もいるかもしれませんが、アメリカでおこったことが日本でおこることはよくあることです。

日本でもインフルエンザに対する新しい薬としてゾフルーザが発売になりました。

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これからのシーズン

もちろん、インフルエンザにかからないようにマスクや手洗いは重要ですが、ワクチン接種も予防になります。

特に、小さい子供や妊婦さんなどはインフルエンザにかかった時のリスクを考えると、積極的なワクチン接種が推奨されます。

インフルエンザの重要ポイント

インフルエンザについて

そろそろ夏も終わり、秋から冬にかけて流行するインフルエンザ
2017年、The Lancetでのインフルエンザセミナーのまとめについてです。
かなり有名な国際学会ですが、医療関係者はもちろん、それ以外の方にも参考になるポイントがありました。
有名な医師が専門的な説明をしてはいますが、ここでは、簡潔に噛み砕いて記載します。

インフルエンザの重要ポイント

重要な項目として、10点あります。
  • 世界的流行を起こすのはインフルエンザA、インフルエンザBが起こす可能性は低い。
  • 昨年の流行はインフルエンザAのH3N2とH1N1。特にH3N2は死亡率が高い。
  • 2峰性発熱(一度解熱後の再発熱)はインフルエンザ後細菌性肺炎疑った方がいい。
  • インフルエンザの平均再生産数は1.281人がインフルエンザになると1.28人にうつす)と言われている。
  • 医療者は、インフルエンザ診察時はサージカルマスク着けることは必須。気管支鏡検査時ではN95まで使用すべき
  • ウイルス排出は発症初期12日がピーク、この時期に検査を行うことがベスト。
  • タミフル、リレンザ、ラピアクタは発症48時間以内が効果的、健康人で症状を1日未満短縮。
  • タミフル、リレンザ、ラピアクタは重症患者で肺炎になるリスク、入院期間を減らす。
  • 予防に最も効果的なのはワクチン!65歳以上、妊婦、小児、免疫不全、医療者で推奨!
  • ワクチン株と流行株が一致すればワクチン有効率は50-60

インフルエンザワクチンの重要性 

インフルエンザ予防に最も効果があるのはワクチンです。
かつて日本では、インフルエンザに対し、1960年代から1980年代後半まで小中学校で強制的にインフルエンザのワクチン接種が行われていました。
しかし副反応の事例にマスコミ、市民が過剰反応し、1987年以降、任意接種となりました。
どこかで聞いたような流れですね。。。。。
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このような日本の過去の事例に関して、米国の研究者によってある論文が発表されました。
2001年のThe New England Journal of Medicineという海外の有名な論文です
この論文には日本人の共同研究者の名前もあります。
論文というと難しい話になると思うので、要点をまとめると、
 
 次の3つです。
  1. 日本でインフルエンザワクチン接種は1962-1987年まで学校で強制的に行われた。
  2. 1987年の中止により日本の全死亡率及び老人の肺炎死亡率が上昇した。
  3. ワクチン強制接種は免疫により老人死亡率を抑制していた。
つまり、小中学生がワクチン接種によりインフルエンザにならなかった。
それにより老人もインフルエンザにはかからなかった。
そしてこれにより。老人の肺炎死亡を抑制していた。
という内容です。
 
2001年に論文は発表となりました。通常ではインフルエンザワクチンの必要性が議論されてもいいはずです。
しかし、マスコミはこの論文を完全に黙殺し、一切話題にはなりませんでした。

インフルエンザの重要ポイントの解説

1.世界的流行を起こすのはインフルエンザAでありBは起こさない。

 インフルエンザは過去100年に4つのpandemics世界的大流行)を起こしました。
なおendemicepidemicpandemic等の言葉の定義は次の通りです。
  • Endemic : 風土病。特定の地域で発症する病気
  • Epidemic : 流行病。地域で一時期に多数の発症
  • Pandemic : 世界的流行病。国中または世界中で発症
 インフルエンザABepidemic (流行病)を起こしますが、Aは散発的にpandemic(世界的流行)を起こします。
驚くべきことに歴史的にインフルエンザBは、世界的流行(pandemic)は起こさないことです。
 
過去、世界的流行には下記4回がありました。いずれもインフルエンザAです。
  • 1918年 H1N1 Spanish influenza, 世界で20004500万人死亡。1977年再発生したが pandemicにならなかった。
  • 1957年 H2N2 Asian influenza
  • 1968年 H3N2 Hong Kong influenza:中でも罹患(インフルエンザにかかる)率、死亡率が最も高い。
  • 2009年 H1N1 swine influenza

2.昨年の流行はインフルエンザAのH3N2とH1N1。特にH3N2は死亡率が高い

現在、世界で流行しているのは、1968年のH3N2 influenza Aと、2009年にpandemicを起こしたH1N1 swine(豚) influenza Aで、Influenza Bとともに流行しています。
インフルエンザ株の記号の意味は次の通りです。
【ウイルスのタイプ(AB/最初に分離された場所/株の番号/年号/HANAの亜型】
 
A/シンガポール/GP1908/2015(H1N1)pdm09
A/香港/4801/2014H3N2
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)
  

3.2峰性発熱はインフルエンザ後細菌性肺炎疑った方がいい。

2峰性発熱とは、一度解熱したあとに再度発熱することです。
インフルエンザと診断された患者、もしくはインフルエンザを疑う患者がそのような発熱を示した場合、インフルエンザの後の細菌性肺炎を疑い、抗生剤の使用を考える必要があるようです。


4.インフルエンザの平均再生産数は1.28。(1人がインフルエンザになると1.28人にうつす)

インフルエンザの流行は平均再生産数(1人が平均何人に感染させるか)1.28で、発病率は10-20%だそうです。
つまり、インフルエンザ患者1人が平均1.28人に感染させるという意味です。
これ実際どれくらいすごい、やばいんだろうと思いませんか。
わかりにくいので、参考までに最近話題になった麻疹についてみてみると。
 
麻疹は1人いると、16人から21人に感染するのです。
 
麻疹のほかにもムンプス、百日咳の感染力はすごいんです。
そう、やばいんです。
麻疹患者が1人いると麻疹や水痘は空気感染します。
空中に漂っていますから近づくだけで感染するのです。
インフルエンザは、人口の50-67%が免疫を持っていないと、流行を抑えられません。
ワクチン接種がとても重要です。
 

5.医療者はインフルエンザ診察時はサージカルマスク着けることは必須。気管支鏡検査の場合はN95マスク

 インフルエンザウイルスはヒトヒト感染が基本です。。
感染は空気感染、飛沫感染、接触感染の3つによります。
くしゃみや咳で直径0.1100の感染粒子が排出されて飛沫感染が起こります。
 
この飛沫は急速に乾燥して5以下になり数分から数時間空中を漂います。
これを吸入して感染するのが空気感染(air transmission)です。
結核、麻疹、水痘は空気感染で、くしゃみ、咳をされなくても部屋に
入っただけで感染します。
 
インフルエンザは空気感染も起こり飛行機内で数時間換気システムが壊れ53人中、38人(78%)が発症した報告もあります。
 
空気感染で有名なのは、特に結核、麻疹、水痘です。
医者の間で覚え方は「ケツに麻酔(結、麻、水)」というらしいです。
下品ですが、一発で覚えられるかと。
但し、結核は空気感染だけですが、麻疹と水痘は飛沫感染、接触感染も起こしえます。
 
結核は空気感染なので、個室隔離が必要です。
患者にはサージカルマスク、医療者はN95マスクを着けて入室します。
しかし、飛沫感染や接触感染はないので、ゴム手袋や、ゴーグル、ガウンテクニックは不要といわれています。
 
くしゃみ、咳で出た大きな粒子は、周囲2,3mに付着し、インフルエンザは接触感染も起こします。ウイルスは手の表面でも短時間残存します。
周囲のすべすべした表面なら48時間位感染力があるそうです。
 
通常、インフルエンザ患者のケアでは医療者にサージカルマスク着用を推奨しています。
換気がよければサージカルマスクで伝染はたいてい防げるそうです
インフルエンザ患者に接する時は、サージカルマスクを着けましょう。
気管支鏡、挿管では医療者はN95マスクが必要です。病院内限定での話にはなりますが
 

6.ウイルス排出は発症初期の12日がピーク、この時期に検査することが重要。

 インフルエンザの症状は、潜伏期1-2日で、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、倦怠感(malaise)、食欲不振があります。
発熱が最も重要な症状で、最初の24時間で最高41度にもなります。
発熱などの全身症状は典型的には3日続きますが8日まで長引くことがあります。
 
呼吸器症状としては、乾性咳嗽、鼻汁、咽頭痛。
眼科症状には、羞明、結膜炎、流涙、眼球運動痛があります。
熱が治まっても咳、倦怠感は2週間続くことがあります。
 
小児では成人より発熱は高いことがあり熱性けいれんも起こります
小児ではふくらはぎの激しい筋肉痛や、筋炎を起こしやすいとのことです。
 
インフルエンザの身体所見は顔面紅潮、粘膜発赤、透明鼻汁、結膜充血、頸部リンパ節腫脹があります。
 
インフルエンザの診断はその症状の多彩さから、症状からの診断は困難です。
流行していて発熱と咳があり見た目が重ければ疑います。
ウイルス排出(viral shedding)は典型的には潜伏期から始まり、発症の最初の
1-2日にピークがあり減少し1週で消失、臨床症状の激しさとよく相関します。
無症候性の場合、ウイルス排出はよくわからないそうです。
 
インフルエンザテストはウイルス排出の多い初期に検査を行います。(経験者はわかるあの鼻の奥までキットをつっこむあれです)
感度は59-93%といわれています。
インフルエンザで肺炎も起こりますが、筋炎、横紋筋融解も稀におこり、歩行困難、腎不全に至り4-6週続くとのことです。
  

7.タミフル、リレンザ、ラピアクタは発症48時間以内が効果的、健康人で症状を1日未満短縮。

抗ウイルス薬には5種類あります。
タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビル、そしてゾフルーザ。
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2007-2008年に発生したInfluenza A  H1N1に対してタミフル耐性株が出現しました。
タミフル、リレンザ、ラピアクタは発症48時間以内の早期投与が一番効果があります。
そしておそらく、ゾフルーザも。
研究ではこれにより健康成人で臨床症状は1日未満短縮します。
「えっ?」と思いませんか。
そう、基本的にインフルエンザは薬を使わずともヒトの免疫で治るといわれています。
本当の意味で抗インフルエンザ薬が必要な患者は限られているといわれています。
日本はタミフルの最大消費国です。
抗インフルエンザ薬も適正使用が重要ですね。

8.タミフル、リレンザ、ラピアクタは重症で肺炎になるリスクと入院期間を減らす。

 上に書いた限られている患者。それが重症患者です。
重症患者においては、薬を使わなかった時と比べて肺炎になるリスクが下がり、入院期間も短縮したという報告があります。
 
つまりタミフル、リレンザ、ラピアクタは、健康成人では1日未満症状を減少させるに過ぎない。
しかし、入院するような重症患者では、肺炎と入院期間短縮には効果がある。
ということです。

9.予防に最も効果のあるのはワクチン!65歳以上、妊婦、小児、免疫不全で推奨!

 インフルエンザ予防に最も効果のあるのはワクチン接種であり、医療機関ではワクチンの接種率を100%に近づけようと日々努力しています。
なかなか理解が得られない部分もありますが、ワクチンは特にハイリスクグループである65歳以上、免疫不全、小児、
妊婦、医療者で推奨されます。
 
ワクチンは日本でも6ヶ月未満では認可されていませんのでそのような子供がいる母親のワクチン接種が乳児の予防につながります。
しかし母親は副作用を恐れて接種したがらない現状もあります。
特に妊婦さん。
いろいろな情報があり、妊婦さんなのにワクチンを副作用の怖さから接種しない方がいます。
妊婦のワクチン接種で母体、胎児で副作用は増加しません。
胎児の不育や流産とも関係がないこともわかっています。
つまり、妊婦への接種を推奨しましょう。

10.ワクチン株と流行株が一致すればワクチン有効率は50-60

ワクチン株と流行株が一致していれば有効率は50-60だそうです。
ワクチンの効果は100%ではありません。
こう書くと「それなら意味ないじゃん」といわれるかもしれませんが、すべての薬において効果が100%の薬はありません。
ですが、だからといって風邪のときの解熱剤などを服用しないことはないと思います。
それと同じで、ワクチンも防げるのであればという考えで接種を考えるべきです。

インフルエンザのまとめ

  • 世界的流行を起こすのはインフルエンザA、インフルエンザBが起こす可能性は低い。
  • 昨年の流行はインフルエンザAのH3N2とH1N1。特にH3N2は死亡率が高い。
  • 2峰性発熱(一度解熱後の再発熱)はインフルエンザ後細菌性肺炎疑った方がいい。
  • インフルエンザの平均再生産数は1.281人がインフルエンザになると1.28人にうつす)と言われている。
  • 医療者は、インフルエンザ診察時はサージカルマスク着けることは必須。気管支鏡検査時ではN95まで使用すべき
  • ウイルス排出は発症初期12日がピーク、この時期に検査を行うことがベスト。
  • タミフル、リレンザ、ラピアクタは発症48時間以内が効果的、健康人で症状を1日未満短縮。
  • タミフル、リレンザ、ラピアクタは重症患者で肺炎になるリスク、入院期間を減らす。
  • 予防に最も効果的なのはワクチン!65歳以上、妊婦、小児、免疫不全、医療者で推奨!
  • ワクチン株と流行株が一致すればワクチン有効率は50-60

以上の重要ポイントを頭にいれて、今年のインフルエンザの対策につなげられたらいいなと思います。

もちろん、手洗いと咳エチケットも重要ですよ。

最後まで、おつきあいいただきありがとうございました。

人がマスクをする理由。予防のため。風邪をひいてないのに。

風邪をひいていなければマスクなんて要らない?

インフルエンザ

まだまだ残暑厳しいですが、夏が過ぎて秋、そして冬になるにつれ寒くなると共に気になるのが今年のインフルエンザ。

昨年は、ワクチンの供給が間に合わないなどの問題もあり、早期の予防接種が難しかったのは記憶に新しいところです。
例年、流行は11月から2月くらいと言われていますが、流行期に決まって指令が出されるマスク着用。

病院の中では、流行期は必ずマスク着用が励行されほとんどのスタッフがマスクをしていると思います。
「風邪ひいてないのにマスクなんて要らないじゃん?」というような声もあります。

確かに、マスクをすると顔の表情がみえにくくない、「匿名性」が高くなります。いわゆる「冷たい感じ」。
院内のスタッフの中には、患者さんを安心させるためマスクは邪魔と言われる方もいることは事実。
確かにごもっとも!!ではあります。
しかし、顔全てを見せなくても笑えば目じりなどで、マスクの下の表情は伝わります。
特に最近はネット社会。情報ネットワークも強大化していることで、病院ではマスクをしていなければむしろ叩かれるなんてこともあるかもしれません。

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マスクの重要性

少し前に、SARS(重症急性呼吸症候群)という死亡率の極めて高い疾患が東南アジアを中心に大流行しました。
この時、治療に関わっていた医療スタッフに感染予防上、もっとも効果的だったツールはいったいなんだったと思いますか?

そう、それがマスクだったのです。
インフルエンザは、SARSほどの病原性はないものの、感染経路(どのように人から人へうつるか)はよく似ています。
自分を守るために、インフルエンザ流行期には風邪をひいてなくてもマスクは重要です。

しかもただマスクをつけるのではなく、正しくマスクを使用することが大切であり効果もあります。
たまに見かける鼻出しマスクはNG!

もう一つのマスクの推奨理由は、ウイルス潜伏期の問題です。
ウイルス排泄がもっとも活発なのは、一般的に発症(病気になる)直前です。
咳やくしゃみなどをして、ウイルスてんこ盛りの飛沫(つばや唾液)を飛ばしたり浴びたりしないためには、マスク着用がものすごく効果的です。
秋から冬にかけて、忘年会などのシーズンで大勢が集まる宴会などで、周りの人にうつしてしまわないよう、咳エチケットとしてマスクをつけましょう。

「マスクは行き苦しくてイヤじゃん」というあなた!!
同じマスクを何回も使いまわしていませんか?
ほとんどのマスクは不繊布でできています。掃除のときに床を拭いてゴミを集める素材と同じ。
最近では、もっとハイテク素材もあるかもしれませんが、だいたいはそうです。
ウイルス粒子を含む目に見えないゴミですぐに通気口が塞がってしまうので、ためらわずどんどん新品を使いましょう。マスクは毎日交換が基本です。
そして最近のマスクは良心的に安いものが多いです。

最近のマスク。
かなりファッション性のあるものもあります。予防はもちろんのこと、つけててオシャレと思わせてくれるようなマスクを知っている方。ぜひご連絡ください。

これからの流行期。いまはまだ早いと思っている方。
マスクは家においていてもいいかもしれません。

予防という意味では、インフルエンザワクチンも重要です。
マスクでウイルスから自分を守り、万が一体内にウイルスが入ってきてもワクチンを打っていれば防げることもあります。
マスクの準備とともに、インフルエンザワクチンも重要と思います。
特に小さいお子さんなど。
6か月以上、13歳未満は免疫獲得の関係で2回接種が推奨です。

ワクチンは注射なので、うちに行くのも大変。
その気持ちはとてもよくわかります。
しかし、インフルエンザになってしまってはもっと大変。
学校や、保育園、幼稚園などは薬1週間程度強制的に休まされます。

もちろん、インフルエンザワクチンを打てば必ずインフルエンザにならないわけではありませんが、備えあれば憂いなし。
予防は大事ですね。

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