【新生児】産まれたての赤ちゃんへのビタミンK投与について。


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SNSなどでも、話題になってはさまざまな意見が飛び交い、どれが正しい情報かわからないまま終わっていく。

そんな話題の1つとして生まれたての赤ちゃんへのビタミンKの投与についてがあります。

薬剤師の立場からビタミンKの正しい情報についてまとめました。

これから生まれてくる妊婦さんもぜひ知っておいてください。

ちなみに、妊婦さんにはワクチンや気を付けないといけない食べ物もあるので、下の記事も合わせてお読みください。

妊娠中のワクチン、薬、食べ物。大丈夫なものと注意が必要なもの。

2018年9月26日

止血に大切な役割を果たすビタミンK。

産後、病院や産院で赤ちゃんに飲ませるいわゆるケイツーシロップについてです。

ケイツーシロップの主成分、ビタミンK2

ケイツーを自分の赤ちゃんにいつのまにか飲まされていた
添加物が入っているから与えたくない(与えたくなかったのに)
いやビタミンK2は大事だ
逆に、ビタミンK2は毒だといううわさもあります。

実際のところはどうなんでしょうか。

薬剤師目線:赤ちゃんにビタミン K 投与は必要か?

日本の産科施設では、赤ちゃんが生まれて数回授乳ができたらビタミンK2のシロップ薬を飲ませます。

その後、退院の間際と生後 1 カ月の合計3回、必ず飲ませます。
くわえて、母乳だけで粉ミルクを飲まない子は、生後3カ月まで毎週1回ビタミンK2を飲ませることが推奨されています。

これは、ビタミン K が出血を止めるのに大切な役割を果たすためです。

ビタミンKの役割

血液を固めるビタミンK。
私たちの体は、絶妙なところでバランスを取っています。
意識をしていないものの、体中のどこ かで血管が破れたり出血が起こったりし、止血するために血液が凝固して、いつの間にか血管が修復され、できた血のかたまり(血栓)が溶解しています。

例えば、歯を磨くと微小な血管が壊れて歯肉から血が出ます。
うがいをして血が混ざっていないときでも、歯茎は細かい傷をつけられて出血しているんです。
重い荷物を背負った後、重さがかかっていた肩の点状出血に気づくこともあります。

そういった細かい出血が起こっても、止血したり血栓を溶かしたりする機能が働きます。
生きている間はそういった機能が常に体内で働いていて、 なかでも止血する働きを活性化させる重要な役割を持っているのがビタミンKです。

赤ちゃんが小さいうちは、その血を固めたり溶かしたりといったバランスをくずすと命に関わったり、その後の人生に影響が出たりします。
小児科では、乳児期に脳梗塞や出血を起こした症例が運ばれてくることがあります。

特に新生児医療では、生まれてきた子がすでに、あるいは生まれて間もない子が、脳梗塞や血栓症を起こしていたという症例を経験したりもします。
生命や機能に直接関係ない他の場所ならいいかもしれませんが、脳のような重要な場所で出血してそれを止めることができなかったり、血管が詰まってしまったりしたら大変なのです。

産まれたばかりの赤ちゃんはビタミン K が不足しやすい

赤ちゃんは止血をするためのビタミンKが不足しがちです。
ビタミンKは胎盤を通りにくいため、 妊娠中にお母さんから赤ちゃんに移行する量はわずかです。

ビタミンK2のシロップを飲むのに反対する人の中には、母親が納豆などビタミンKを多く含むものを食べれば大丈夫という人がいます。
もちろん、妊娠中にそういったものをお母さんが食べることは重要ですが、残念ながらそれだけでは足りません。
母乳中にも、ビタミンKは十分な量が含まれていません。

粉ミルクにはビタミンKが入っていますが、混合栄養の場合、どのくらいの量の粉ミルクを飲んでいれば、母乳を飲んでいてもビタミ ンK2シロップを飲む必要がないかという研究はされていません。
倫理的に今後も、そんな実験が行われることはないでしょう。

また、赤ちゃん自身が腸内細菌を使ってビタミンKを作る機能も未熟です。
ビタミンKが足りないと、ビタミン K 欠乏症になって体の中で出血を起こすことがあります。

小児のビタミン K 欠乏症は、

  • 出生後 24 時間以内
  • 生後 24 時間〜7 日まで
  • 出生後 2 週〜6 カ月まで

の間に発症するものに大別できます。

ビタミンK欠乏性出血は新生児の300人に1人の割合で起こると推計され、生後3カ月までのビタミンK欠乏症では8割が頭蓋内出血を起こします。
これが一番怖いためため、小児科医は、ビタミンK2投与をとても重要だと考えています。

添加物が気になる

今まで書いたような危険性があっても、ビタミンK2シロップを飲ませたくないという人はいます。

添加物がたくさんはいった薬を飲ませるのは心配。
子供の口に入れるものに気を使うのは親として当たり前ではないか。という意見もあります。

ケイツー(ビタミンK2シロップの商品名)の添付文書には、

添加物として安息香酸ナトリウム、 クエン酸水和物、ゴマ油、水酸化ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、D-ソルビトール液、パ ラオキシ安息香酸エチル、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 60、香料を含有する

とあります。

こういったものは安定性、保存性をよくするために入れてあり、もちろん安全性は確かめられています。

赤ちゃんに1回に与える量は2mg(1ml)です。
低出生体重児などでは、さらに少量のこともあります。

早産、低出生体重児については、下の記事も併せて読んでみてください。

新生児科、小児科。早産児について。

2018年9月16日

赤ちゃんに1回に飲んでもらう量はごくわずか。
さらにそれぞれの添加物の量は、微量です。

少しの添加物と子供が安全に成長することは、比較の対象にもならないのではないでしょうか。

お金もうけのため?

これを製薬会社と医師が結託して、お金をもうけようとしているなどという人がいます。

実際の薬価(薬の価格)を見てみると、1回のビタミ ン K2 シロップの薬価は26円。
これを最低3回、多くて11回だと、78円あるいは286円。

極めて安く、赤ちゃんの生命に比べたら。。。
比べるまでもないことは明白です。

製薬会社は、もうけるためと言うよりも、自社が製造をやめたら日本中の赤ちゃんが困るくらいの考えなのではないでしょうか。

まとめ

インターネットが普及してかなり経ちますが、様々な情報が容易に手に入るようになりました。

中には、医療のトンデモな情報もあります。

今回取り上げたビタミンK2についての話は、おそらく今後も繰り返されるでしょう。

妊娠初期に渡される母子手帳などに、もっと読みやすくわかりやすい説明があると、毎回医師が説明するという必要がなくなるのではないかとも考えます。

そして今回記載した内容は、日本小児科学会のHPにもガイドラインとしてより詳しく記載されています。

科学的な根拠を持った情報を元に、赤ちゃんをリスクから守りましょう。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!