赤ちゃんの頭の変形:ヘルメット矯正が必要な場合も。「様子見」は注意が必要!


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薬剤師目線:赤ちゃんの頭の変形

生まれたての赤ちゃんはとてもかわいく、愛らしいものですよね。

将来のことを色々考えたりするのも、親としての楽しみかもしれません。

しかし、心配事も色々あることも事実。

実際、鉗子分娩で生まれた赤ちゃんは、生後すぐの時点では頭が変形していることがあります。

鉗子分娩とは、色々な理由によって赤ちゃんがお母さんの体内から出てこない場合、または早くお母さんのお腹から出してあげたいときに選択される分娩方法です。

時に、鉗子分娩で生まれた赤ちゃんは鉗子の跡が頭や顔の部分に残っている場合もあります。

親としては、頭の変形や鉗子の跡など今後大丈夫なの?と心配に。

お風呂場での浮き輪。事故につながることもあります。

2018年10月8日

大抵の場合、特に鉗子分娩で生まれた赤ちゃんの頭の変形や鉗子の跡は、時間経過とともに改善するので、安心してください。

しかし、実際には頭の変形を放置しておかないほうがいい場合もあります。

それが頭蓋縫合早期癒合症と呼ばれる疾患です。

最近、頭の変形を整えるためにヘルメットを装着している乳児が増えていることはご存知でしょうか。
これは頭蓋縫合早期癒合症に対する治療のひとつで、有名人などが自分の子供にヘルメットによる治療を受けさせ、その経過を報告したりしているため、知っている人もいるかもしれません。

頭蓋縫合早期癒合症

頭のサイズが大きい子供は生まれる時に、実は7枚の頭蓋骨を重ね合わせることで産道を通過してきます。そのため赤ちゃんの頭が変形して生まれます。

頭が変形しているすべての赤ちゃんが頭蓋縫合早期癒合症ではありませんが、そうでないかの判断は難しいのが現状です。

事実、小児科医は95%が保護者から頭のゆがみや寝ぐせに関する相談を受けたことがあるというデータもあります。そのうち85%は「様子を見ましょう」と対応しているとの調査結果もあります。

そのため海外に比べて、専門医への紹介が遅れがちという現状もあります。

また、頭蓋縫合早期癒合症の赤ちゃんは手や足にも先天性の異常がある場合もあります。

日本における頭の変形が見つかる頻度

では実際にどの程度の赤ちゃんに発生するのか、その頻度が気になるところですが、日本の現状ではまだまだ頭蓋縫合早期癒合症が十分に発見されているとは言い難く、正確な調査もありません。

一つの疫学調査(病気の頻度を調べるための調査)によると、日本で頭蓋縫合早期癒合症の治療を受けている1 歳未満の小児の数はおよそ年間100~200人程度と言われています。
現在の年間の赤ちゃんが生まれる数を100 万人として分母とすると1万人に1~2人の頻度となります。

そのため、そこまで心配する必要もないかもしれません。

しかし、海外では2000~3000人に1人程度との報告もあるので、日本人だけが頻度が少ないということは考えにくく、海外との診断頻度の差は相当程度あるのではといわれています。

実は日本では発見されていないため、本来はもっと多くいるのではないかともいわれています。

いつ頃専門の施設を受診すればいいの?

なかなか発見や診断されにくい疾患の一つである頭蓋縫合早期癒合症。

実際、日本ではどのくらいの時期に発見、または専門施設を受診するかというと。

頭だけでなく、手や足にも先天異常のある症候群性頭蓋縫合早期癒合症は、生後早期に発見されることがほとんどといわれています。

一方、頭だけに限局した非症候群性の頭蓋縫合早期癒合症の発見時年齢は1歳から2歳くらいといわれています。

自治体の健診マニュアルでも「頭蓋縫合早期癒合症」という記載があります。

頭の形が心配な場合は、 とにかく「経過観察」をせずに 専門医を一度受診したほうがいいです。

医師や医療従事者はどうしても患者に過度の 不安をかけないよう「様子を見ましょう」と言ってしまいがちですが、この疾患に関しては専門施設への紹介は早いほど良いと言われています。

専門外来はこちらから!

実際の治療法について

治療法は主に二つあります。

  1. ヘルメット療法
  2. 手術

ヘルメット療法

首が座った後であれば、ヘルメット療法が有効です。

ただ、このヘルメット治療も生後 6 カ月くらいで始めないと治療効果が乏しいと言われているため、早めに治療を開始することが推奨されています。

今、日本国内にいくつもの治療用ヘルメットがありますが、そのうちの一つが 2018 年に薬事承認を得ました。

ただ、このヘルメットを含めて、自費診療となるので、希望する場合はいろいろな施設の情報を調べた方がいいです。

手術

頭蓋縫合早期癒合症の手術時期は1 歳未満が望ましいと言われています。

そもそも、頭蓋縫合早期癒合症の手術の目的は、

  • 正常な脳発育を促すこと
  • 整容面の改善

の2 点です。

脳の成長が終わる 2 歳までの、少なくとも 1 歳までのできるだけ早い段階で手術を行うのがベストと言われています。
逆に2 歳以降だと、手術の効果があまり期待できなくなるようです。

海外の報告では、1500 例を対象に1 歳までに手術をした子供と、1歳以降で手術をした子供の就学時の知能指数(IQ)を比較した検討があります(Child Nerv Syst 2000; 16: 645-658)
これによる と、1歳までに手術をした群では就学時の IQ が正常であったのに対し、1歳以降の手術群では日常生活に支障はないものの、IQが正常範囲の下方であったことが報告されています。

また、年齢が小さいほどシンプルな手術が可能とも言われています。

まとめ

自分も小児科で勤務をしていますが、あまり知らない内容でした。

しかし、赤ちゃんの頭の変形に関しては意外とまわりでよく聞く話題であることも事実です。

ただの寝ぐせであればいいのですが、治療が必要な場合もあるので心配であれば一度専門の外来を受診することをおススメします。

小学校から中学校までの学力と睡眠時間、読書時間についても、ぜひご覧ください。

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2018年10月9日


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!