乳幼児期の接種が特に重要なワクチン。
接種するかしないかは、本人が選ぶことはできず保護者である親の選択次第でワクチン接種するかしないかが決まってしまう。
親が反ワクチンになる理由について
ソーシャルメディア上にはワクチンに反対する意見や情報が数多く見られますが、あるアメリカの研究から反ワクチン派の人たちがワクチン接種に対して批判的な考えを持つ理由は必ずしも一つではないことが分かりました。
Vaccineの3月21日オンライン版に発表されたもの。
今回の研究は、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を呼び掛けるある動画に対して投稿された攻撃的なコメントを検証したもの。
HPVワクチンについては、下記の記事もご参照ください。
[kanren postid=”649″]
ワクチン接種を呼びかける動画は米ピッツバーグの小児科クリニックがFacebook上に公開したもので、投稿から1カ月後に反ワクチン派の目に留まりそれから1週間もたたないうちに、投稿をバッシングするコメントが大量に寄せられたとのこと。
今回の研究では、これらのコメントを寄せた人たちからランダムに197人を抽出し、プロフィールを詳細に調べた。
その結果、コメントした人の89%は女性で居住地は米国36州および8カ国に及んでいた。
半数以上がトランプ政権の支持者でしたが、バーニー・サンダース支持者も11%いて、思想的にリベラル派または保守派の一貫性はみられなかった。
その中でさらにコメントした人たちは、陰謀論者からワクチンの安全性に不安を抱いたり、代替医療に関心があったりする親まで様々であることが分かった。
親がワクチン接種に批判的になった理由
今回の分析から、これらの人たちがワクチン接種に批判的になった要因は様々であることも明らかになりました。
例えば科学者への不信感や、ワクチン接種の義務化により個人の自由が脅かされることへの不安感を示す人たちがいる一方で、政府や団体が国民から真実を隠そうと共謀していると信じる人もいました。
さらには例えば、ポリオウイルスは実際には存在しないと主張する人もいたと述べられています。
ワクチン接種をためらう親の特徴
この研究では典型的なワクチン接種をためらう親の特徴に一致する人たちも見られました。
ワクチンの安全性について懸念を抱き、ワクチン接種はモラルに反する行為と考える人たちもいたほか、ワクチンに含まれる化学物質を避けるためにホメオパシー(同種療法)などの代替医療に関心を持っている人たちもいたとのこと。
この結果から、
[aside type=”warning”]
子供のワクチン接種をためらう理由の多様性を考慮し、それらに対応した情報を医師や公衆衛生当局が発信する必要性が示された [/aside]
と説明している。
インターネットが普及して、様々な情報が容易に手に入るようになりました。
それによって、本来正しくない情報を信じてしまう場合もあります。
そのような環境の中で、親がワクチン接種を躊躇し、疑問を持つのは当然のことなのかもしれません。
しかし、もし懸念を抱いているのなら、ソーシャルメディアなどではなくかかりつけ医に相談すべきです。
そして医療者側もこうした親たちには、ワクチンは安全で有効だと漫然と伝えるのではなく、ワクチンに含まれている成分の具体的な働きについて説明することが重要です。
近年では、米国では麻疹(はしか)や流行性耳下腺炎(おたふく風邪)、百日咳など、かつて大流行した子供の感染症が再び流行するようになり、ワクチン接種をためらう親たちの存在が問題視されています。
日本も他人事ではなく、2019年はしかが大流行しています。
[kanren postid=”864″]
このような中で、ワクチン接種することは自分を守るだけでなく、周囲の家族や友人を守るためにも重要です。
まとめ
ワクチン接種を拒否する動きは公衆衛生上の危機をあおっていると指摘されています。
ただし、これだけ情報が多量にある中で、医療従事者や公衆衛生局からのメッセージだけでは反ワクチン派の考えは変えられないのではないかと危惧されています。
実際アメリカでは、医学的な理由以外での予防接種の免除を禁止している一部の州があります。
不本意ではありますが、これからは半ば強制的にワクチン接種をする環境を作ることは、日本でも必要なのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。