感染症の予防と治療~アデノウイルス感染症~


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アデノウイルスは、さまざまな感染症の原因となるウイルスのうちの一つです。

感染経路としては、飛沫・接触・経口と多岐にわたります。

基本的にウイルスなので、これから記載する感染症に抗菌薬は効きません。

アデノウイルス感染症の予防と治療について書いていきます。

アデノウイルスが原因で起こる、流行性角結膜炎については、以下の記事も参照ください。

流行性角結膜炎で出勤、出席停止に!!

2018年9月19日

薬剤師目線:アデノウイルスについて

アデノウイルスは 50 種類以上の型が報告されていて、それぞれの型によって

  • 咽頭炎、扁桃炎、肺炎などの呼吸器疾患
  • 結膜炎などの眼疾患
  • 胃腸炎などの消化器疾患

上記に示すような、多彩な症状を引き起こすことが知られています。

感染経路は、患者のせきやくしゃみで飛び散るウイルスを含む粒子による「飛沫感染

患者の皮膚や粘膜などに直接触れたり、患者が触れてウイルスが付着した物体に触れたりすることによる「接触感染

手洗いが不十分であることなどで患者の便中のウイルスを経口摂取する「経口感染」など多様です。

体の外に排出された後でも、感染力を長時間維持できる強いウイルスなので、感染した人が触った物や、プールの水も感染源になります。

日常よく見られるアデノウイルス感染症について簡単に説明します

呼吸器感染症

扁桃に白いうみを伴う、急性の咽頭扁桃炎があります。

38~40 度以上 の高熱が 3~7 日間続き、のどの痛みで水分が取れなくなり、ぐったりした様子で外来を受診する患者がいます。
上気道の感染がほとんどで、下気道の感染は非常にまれですが、アデノウイルス7型で重症の肺炎を発症したという報告もあります。

流行性角結膜炎

充血や目やにのほか、「涙が流れる」「まぶしい」といった症状が出ます。

症状が重く感染力も強いので、子供だけでなく大人も注意が必要です。

角膜混濁が数カ月続くこと もあり、眼科での早期診断と適切な治療が重要となります。

咽頭結膜熱

急性咽頭扁桃炎の症状に結膜炎を伴うものです。

主にアデノウイルス3型が原因です。
プール熱とも言われ、夏に流行します。

プールで流行するのは、プールの水が直接目に入ることやタオルの貸し借りが原因と考えられるので、プールに入った後には、

  • 十分にシャワーを浴びる
  • 症状がある場合はプールに入らない

といった注意が必要です。

急性胃腸炎

発熱、嘔吐、下痢などの症状が出ます。

乳幼児に多く、保育園や幼稚園などの集団生活をおくる場所での流行が見られることがあります。

特徴の一つとして、ロタウイルスと同じように白色の下痢が見られます。

便の中にウイルスが排泄されるので、患者だけではなく、おむつ交換をする保護者の方や保育園や幼稚園の先生なども含め、感染予防の手洗いをしっかり行うことが重要です。

アデノウイルス感染症の治療

アデノウイルス感染症は、外来で10分以内に調べられる迅速キットというものがあります。

そのため、症状や身体所見から疑わしい場合は検査をすることがあります。

アデノウイルスには抗生物質は効きません
また、アデノウイルスに対する抗ウイルス薬もありませんので、治療は、症状を和らげる対症療法が主体になります。

対症療法とは、症状を和らげる治療のことであり、せき、鼻水、のどの痛みを和らげる風邪の薬や、熱を下げたり、痛みを和らげたりする解熱鎮痛剤を使うことです。

感染した場合は、自宅で安静にし、十分な水分を摂取することが重要です。

水分が摂取できずに 尿の量が少ない、口が乾燥しているなど、脱水症状が見られる場合は点滴が必要となりますので、 早めに医療機関を受診することが重要です。

咽頭結膜熱(プール熱)と流行性角結膜炎は、学校保健安全法施行規則で出席停止期間が決められています。

プール熱は「主要症状が消退した後 2 日を経過するまで

流行性角結膜炎は「医師が感染のおそれが無いと認めるまで

です。

医療機関をしっかりと受診するようにしましょう。

まとめ

感染症の原因はさまざまですが、アデノウイルスによる感染症は比較的身近で、かつ感染力が強いのが特徴です。

中には、学校や職場を休まなければならない感染症もあります。

疑わしい場合は、登校や出勤する前に必ず医療機関を受診するようにしましょう。

ウイルスが原因の感染症はほかにもたくさんあります。下記の記事もよかったら、お読みください。

風邪や疲れが原因で繰り返す単純ヘルペスウイルス:抗ウイルス薬が有効です

2018年12月28日

水痘と帯状疱疹。原因ウイルスは同じ。今はワクチンもあります。

2018年11月20日

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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ABOUTこの記事をかいた人

薬学部卒業後、そのまま大学院へ。 医療薬学を学び、患者さんのために最新の医療を実践するために病院薬剤師へ。 薬剤師で医学博士。 ここでは患者さんからの質問を調べつつ、役立つ情報を発信していければと思います。 専門は感染制御や救急、小児。お問い合わせもお気軽にどうぞ!!