ワクチンのこれから:次世代ワクチン

病気の予防に重要なワクチン接種。

薬剤師の視点で世界のワクチン事情や新しいワクチン、また親の視点からワクチンについてきさいしていきます。

少し専門的な話になりますが、どうかお付き合いください。

病気の予防に重要なワクチンの知識入門

世界のワクチン5社と日本

現在、次世代ワクチン候補が続々と開発中されています。

米国研究製薬工業協会(PhRMA)によれば、米国で開発中のバイオ医薬品901剤(2011年)のうち、298剤はワクチン製剤であり、抗体医薬の300剤とほぼ同じ程度。

そのため、世界のワクチン市場規模は約2兆円(全医薬品の約 3%)から2023年には12兆円(1000億ドル)に成長すると見込まれています。

こんな内容ばかり書くとワクチンを金儲けのために、と言われてしまうかもしれませんが、そうではなくそれだけ必要とされているとご理解ください。

なお、2011年の世界市場はGSKやサノフィをはじめとする海外企業わずか5社で80%をシェアす
る独占状態であり、残念ながら国産ワクチンメーカーの存在は見る影もないのが実情です。

しかし、15年に開催された日本ワクチン学会のテーマは「オールジャパンでの新規ワクチン創製お
よび接種環境向上へむけて」
でありました。

日本がワクチン後進国(ワクチンギャップ)の段階からワクチン先進国へと舵を切ったターニングポイントでした。

次世代ワクチン開発のポイント

次世代ワクチン開発のポイントは以下の3つあります。

  1. 混合ワクチン
  2. 投与方法のイノベーション
  3. 製造法

1つ目は混合ワクチンについて

複数の感染症を予防(個人免疫)するとともに、接種率向上(集団免疫)を図ります。

そうすれば免疫不全や白血病などワクチン接種できない子どもたちも守ることができます。

また、通院回数が減るので母親の利便性が高まるばかりか、メーカーのコストも下がり、医療用廃棄物も減ります。

欧米(一部の途上国でさえも)は4~6種混合が主流となっています。

サノフィパスツールの5種混合 Penacel®(百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、ヒブ)や6種混合(+B型肝炎)があれば母親も医師も非常に助かります。

あの複雑極まりない定期接種スケジュールをこなすのは一苦労だと思います。

経験したことある親御さんは、共感していただけるかと。

15年12月に発売された第一三共の百日せき、ジフテリア、破傷風及びポリオを予防する「スクエ
アキッズ(R)皮下注シリンジ
」は、DPT ワクチンとサノフィの不活化ポリオワクチン(ソークワクチン)をプレフィルドシリンジに充填した4種混合ワクチンです。

2つ目は投与方法のイノベーション(投与経路・デリバリー)。

(1)経鼻型・噴霧型ワクチン(粘膜免疫)

(2)針なしワクチンと皮内型ワクチン、経皮ワクチン

の2つが注目されています。

(1)は、既に米国で鼻腔噴霧インフルエンザ弱毒生ワクチン(メドイミューン社/英アストラゼネカ)
として使用が開始されています。

第一三共は15年9月、同剤の国内ライセンス契約を締結しました。

一方、国立感染症研究所は安全性が高い経鼻不活化インフルエンザワクチン(新型インフルエンザ)を開発中。

生ワクチンの適応とならない乳児や高齢者も使えます

粘膜ワクチンは体液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導できるため、感染症予防のための次世代ワクチンとして期待されています。

(2)では、米国のPharmaJet社の「針なしインフルエンザワクチン」(18 歳から 64 歳まで)の評価が高いです。

Safe(安全)Easy(簡単)Cost-Effective(コスト効率の高い)Comfortable(苦痛がない)の4つのメリットがあるといわれています。

一方、国内では第一三共とテルモが開発した皮内投与型インフルエンザワクチンがあります。

メリットは2点。

1つは、痛みが少ないこと。
皮下組織の末梢血管及び神経に対するリスクを低減されました。

もう1つは皮下や筋肉投与より免疫効果が高いこと。
皮膚上層部には樹状細胞が多いため、皮内用なら効率的抗原が送達され、従来の皮下に比べ有効性が高いといわれています。

3つ目は、製造法。

日本のワクチンは製造に時間がかかるといわれている鶏卵培養ですが、世界では臨機応変に生産
でできる細胞培養が主流です。
卵アレルギーがある場合。。といわれるのもこのためです。

日本でもパンデミックインフルエンザに備え、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋中用(武田薬品など)が承認されました。

水痘多価ワクチン(国産の次世代高付加価値ワクチン)

最後に、メーカーのワクチン開発では子を持つ母親の視点がますます重要になります。

その理由は二つあります。

一つは、乳児や子どもにとってワクチンがない感染症がまだたくさんあることです。

  • りんご病(伝染性紅斑)
  • 手足口病
  • ヘルパンギーナRSウイルス感染症
  • 突発性発疹
  • 乳児ボツリヌス症

あげるだけでもきりがありません。

もう一つの理由は、副反応を過剰に恐れているワクチン嫌いの母親は世界中にいることです。

裏返せば、日本を含む世界のワクチンメーカー(特に独占5社)にとって、最大の脅威は

母親の厳しい目―副反応(訴訟)や供給不足―であるともいえます。

その供給不足が日本で起きました。

15年12月時点で、化血研が製造するワクチン(日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎)が不足しました。

同社のワクチン10製品と血液製剤12製品の不正製造が発覚して厚労省が行政処分(出荷自粛)されたためです。

ワクチンを製造/供給するには時間がかかる(鶏卵培養の場合)。

そのため、臨機応変に製造できる細胞培養が必要なのです。

子を持つ母親の視点

複数の感染症を予防できる水痘多価ワクチン(おたふくかぜ、麻疹、風疹抗原遺伝子含む)は、わが
国の期待の星になる可能性を秘めています。

言い換えれば、1 種類の生ワクチン接種で複数のウイルス抗原に対する免疫能が誘導され複数のウイルス感染に対する防御効果が期待できるワクチンです。

このワクチンは国が推進する次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェクトが取り組む次世代高付加価値型ワクチンの 1 つで、世界から評価されている阪大微研(以下、ビケン)が開発した岡株水痘ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)をベースとした組換え多価ワクチン。

水痘ワクチンゲノムのクローン化を世界で初めて大腸菌内で行い、生ワクチンとして最適なベクターを選出した。

たしかに1回接種で終生免疫が獲得できる優れものだが、コスト高と組み換えウイルスの安全
性(倫理問題)の解決が今後の課題です。

男性型脱毛症(AGA)の治療:毛髪再生医療の可能性

IPS細胞で一躍脚光を浴びた再生医療。

その中でも、社会的関心が高いのが毛髪の再生医療です。

毛髪の再生医療

現在でも地域は限られていますが医療機関では、HARG(ハーグ)療法と呼ばれている毛髪再生医療もあり、さらなる研究開発が進んでいます。

毛髪再生医療実用化のカギとなるものは、毛根の周囲にあって毛髪をつくる毛包という器官にあります。

脱毛症は、毛包が傷ついたり弱まったりして発症するといわれているため、2種類の細胞を混ぜて毛包のもと(原基)を人工的に生み出すという極めてシンプルな手法です。

今回は、薬剤師の立場から実際に毛髪の再生医療について現時点で行われている研究について、書いていきます。

毛髪の再生医療の研究の背景:AGAの原因

すでに各種脱毛症の原因が毛包にあることはよく知られています。

例えば男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンの影響で毛包が徐々に小さくなります。

抗がん剤の副作用の場合、毛包は維持されているものの細胞が正常な働きをしません。

このため抗がん剤投与を中止すれば症状が改善することがあります。

AGAには後頭部の毛包を移植する植毛療法が存在します。

しかし、いかにホルモン影響の少ない後頭部とはいえ、大量に毛包を移植するのは負担が大きいと考えられています。

そこで、現在行われている研究では

毛包を増やしてから移植できる方法について進められています。

AGAに対する毛髪再生医療の手法

すでに理化学研究所が過去に器官原基法という手法を編み出しています。

そもそも毛や歯、内臓を含む人体の器官は、もとをたどれば上皮系幹細胞間葉系幹細胞から生まれます。

そこで、成体マウスの毛包からこの2種類の幹細胞を取り出し2層構造で培養し毛包原基をつくることに成功したのです。

そして現在行われている研究はさらにその先をいくものです。

途中まで同じですがが培養方法が違います。

簡単にいえば、

2種類の幹細胞を混ぜて放置するだけで毛包原基が大量にできる

というものです。

毛包原基が大量にできる理由

培養プレートに工夫があります。

通常は樹脂製のものが多用されますが、栄養となる酸素を通しやすいシリコーンゴム製のプレートに変更されました。

そこに2種類の幹細胞の混濁液を流し込むとくぼみの中で塊を形成し、その中で各細胞が自然と二手に分かれます。

こうして毛包原基が完成するというもの。

所要時間は約3日間といわれています。

開発がすすむ毛髪再生医療:毛包培養

理研や京セラも毛包培養に取り組んでいます。

現在の一番の課題は、仕組みを自動化することだと。

現状では一つひとつ手作業で毛包原基をつくる必要があり、自動化の意義はとても大きいといわれています。

これには印刷技術が応用できると考えられ、すでに関連企業と共同研究が始まっています。

毛髪再生医療実用化に向けて

現状はマウスの毛包をマウスに移植した段階。

要するに動物実験の段階です。

患者自身の毛包から幹細胞を取り出し、毛包原基を大量培養して自家移植するのが最終的な目標となっています。

現在日本で行える再生医療としては、HARG療法(ハーグ療法)というもの。

これは、Hair(毛髪)Re-generative(再生) theraphy(治療)という言葉の略称で、再生医療の技術を薄毛治療に応用した毛髪再生医療のことです。

成長因子と有効成分を含むHARGカクテルを頭皮に直接することで毛包を蘇らせ、毛母細胞を刺激して、発毛を促進し毛髪を再生させるというものです。

テレビ、タブレット、スマホが子供に与える影響

急激なITの普及によってどこにいても映像を見ることが可能になりました。

子供を静かにさせるために、タブレットやスマホで映像を見せることがあまりよくないのではないかともいわれています。

その一方で、幼いころから多様な刺激を与えることで脳の活性化や発達を促進するのではとも言われています。

子供にテレビやタブレットは良いか悪いか?

テレビやタブレットを子供に見せていいのかどうか。

この問いに明確な答えを持っている保護者は、多くはないかもしれません。

テクノロジー企業のトップが、

自分の子供にはスクリーンを見せる時間をきっちり制限していた

という話や、

教育的な内容であれば大丈夫

2歳までは見せてはいけない

などと、いろいろな意見があって実際に何が正しいのかよくわからないのが本音です。

科学的な側面から考えようとした場合、実際の研究では、どんなことがわかっているのかを今回は取り上げてみます。

テレビっ子のほうが語彙力は高い!?

ワシントン大学による研究

対象の期間は、1994年から2000年

対象年齢は5~7歳の子供です。

それらを調査した結果、6~7歳時点での読解力・語彙力テストや短期記憶のスコアは、3 歳未満の時にテレビを見ていた時間が多ければ多いほどわずかに低下していた。

しかし、語彙力については、3~5歳時点でのテレビ視聴時間が多いほど、わずかに上昇していた。というもの。

年齢によってテレビの影響に違いがあるのは、子供たちの理解力が異なるからだと考えられています。

なぜなら、子供が教育番組の意味をきちんと理解できるのは、2〜3歳以降と言われています。

コネチカット大学による研究

この研究では、15~24カ月の子供48人を対象に、テレビ番組を通して新しい言葉を教えることができるかが調べられました。

すると、大人が目の前で実物を見せて教えた場合の正解率は67%、大人が物の名前を言うビデオを見せた場合は53%でしたが、教育番組を見せて教えた場合は40%でした。

まだ内容を理解できない年齢の子供にとってはたとえ教育的なプログラムであってもただの映像や音であり、教育的な効果はあまり期待できないとのこと。

一方で、3歳から10代にかけては、教育番組を見ていると男の子は高校の成績がよくなるという研究もあります。

良い内容のコンテンツであれば、2〜3歳以降にテレビやタブレットを利用するのは良い影響があるかもしれません。

テレビのつけっぱなしはいいの?悪いの?

テレビやタブレットを見せるのではなく、リビングでつけっぱなしにしているのは、 子供にいい影響を与えるのか、はたまた悪い影響を与えるのかを考えていきます。

マサチューセッツ大学による研究

2008年に、テレビを流しっぱなしにすることの影響を調べた結果、

12カ月の子17人、24カ月の子16人、36カ月の子17人を集め、1時間おもちゃで遊んでもらいました。

そのうち30分は、部屋のテレビをつけておき、残り30分は消しておきました。

すると、子供たちがテレビを見るのは6分間に2~10回程度、テレビを3秒以上見ていたのはそのうち30%で、ずっとテレビを見ているわけではありませんでした。

また、テレビを付けた状態だと、おもちゃで遊ぶ時間は5%減少し、集中して遊ぶ時間も減少していたことがわかりました。

おもちゃを別のものにみたてたり、おままごとのようなロールプレイを含んだりするような複雑な遊びの時間は、テレビがついているかどうかではっきりした差がありませんでした。

つまり、テレビがついていると、やはりわずかに気を散らしてしまうという影響はありますが、 本当に集中しておもちゃで遊ぶような時間は、あまり変わらないという結果でした。

すべて“ダメ”にするのはよくない

直接体験とともに赤ちゃんや2歳頃までの子供は、教育番組から何かを学ぶのは難しいかもしれません。

しかしテレビやタブレットを見せることがとても悪いということではなく、人との関わりや直接体験することを通して、学ぶ時間が確保されているかどうかが大切です。

テレビやタブレット、スマートフォンは、それ自体が良いもの、悪いものというものではなく、一つの道具です。

2020年からは小学校のプログラミング教育が必修化され、ICT教育も普及が進む流れにあります。

子供の年齢に合わせて、良い使い方を考えていく必要がありそうということです。

タブレット、スマートフォンの使用時間について

では、実際にテレビやタブレット、スマートフォンを使う時間はどうなのか。

これについては、長いとあまり体には良くないイメージがあるかと思います。

実際にスマホ関連病とも言われる病気は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの使い過ぎが原因と疑われる心身の不調のことです。

使用時間を減らすのが改善の早道であることは言うまでもないですが、若年者では不調の自覚がないことが多く、指導が難しい場面が多いといわれています。

眼の異常に無関心な子供の言い分

デジタルデバイスの過度な利用が原因と考えられる後天共同性内斜の場合、スマートフォンの利用を制限することでかなり改善する可能性が指摘されています。

しかし、改善が得られない場合には治療が必要となります。

まずは、検査で元々の疾患、近視、遠視の有無を確認し、負担の少ない治療から開始していくことが一般的です。

後天共同性内斜視で受診するケースは、そもそも、度数の合った眼鏡をかけていないことが多いのです。

コンタクトレンズも装用していません。

問題は、患児本人に病識が無いことです。

内斜視の自覚症状に複視がありますが、複視では遠くのものが 2 つに見えるので、近くにあるスマートフォンの画面を見るのには困りません。

学校の黒板の字は見えづらいはずですが、そういった場合は、

「片眼をつぶってノートを取る」

のだと言います。

「眼が 2つあるのだから、2つに見えるのが普通だと思っていた」

という子もいます。

なぜ、眼鏡や コンタクトレンズを使わないの かと尋ねると、

「眼鏡をかけるとはっきり見えるから嫌」

と言います。

では、なぜ受診したかというと友人に眼がおかしいと指摘されたからだというのです。

親子で顔を合わせる機会が少ない中高生

見えづらさは気にしなくても、友人の意見は気にするのです。

中高生になると、同居の親も子供の眼の異常に気付かないことが多くあります。

中高生になると、放課後は部活のあと塾に行って帰宅するのが午後9時や10時になります。

それから 夕飯を食べて入浴して、部屋に入ってしまえば、親子が顔を合わせるタイミングは必然的になくなります。

親も夕方まで働いて、帰宅して夕飯を作ってと、忙しいのが現状です。

それでも、内斜視の子に

「どうしてお母さんの顔を見ないの?」

と尋ねると、

「だって、お母さんの顔が2つに見えるから

と言ったりします。

気付いてはいるが、おかしいと思っていない。

そのため、まずはきちんと眼鏡をかけることを指導し、度数の合った眼鏡を作ることが重要です。

眼の話というと視力を表す数字の話になりがちですが、視覚についても話ができるようになることが大切です。

その上で、スクリーンタイムを減らすこと、そして画面を眼から離して見ることを指導します。

それが第 1 段階です。

それでも

「スマホをやめられない」

「やめたくない」

という場合、また斜視が軽度な場合であれば、 眼鏡へのプリズム装用を試すことがあります。

スクリーンタイムを減らすにはどうしたらいいのか

小学生ならば親が時間を制限して、夜は親にスマートフォンを渡して寝るといった方法があります。

難しいのは中高生です。

親の言うことを簡単にはきかないから、やはり

「よい親子関係を作ってください」

としかいえません。

ちゃんとお互いの顔を見るような親子関係です。

子供自身に、こういった疾患があることを知ってもらうことも重要です。

積極治療は手術とボトックス注射

色々な方法を試しても駄目な場合、積極的な治療を行う必要があります。

現在行われている主な治療法は、

  • 斜視の手術
  • A型ボツリヌス毒素製剤注入法(ボツリヌス注射)

の2つです。

ボツリヌス注射は、数年前に斜視への適用が認められました

注射であれば入院不要です。

患者の負担も少なく、効果に個人差があること、効果があっても3カ月ほどで効果が薄れ て治療を繰り返さなければならないケースがあるという難点があります。

難点はありますが、単回治療で済む率は結構高いともいわれています。

どちらを第1選択とすべきかは決まっていなく、現状は各眼科医の経験によって決定されています。

手術の方が確実という考え方もあります。

デジタルデバイスの長時間使用という状況が変わらなければ、再発するのか?

この病気に関しては、再発しない保証はありません。

手術にせよボトックス注射にせよ、5年ほどは経過を追わなければ 再発リスクは分かりません。

また、どういった患者で発症リスクや再発リスクが高いのか、あるいは治療効果が得やすいのかはまだ分かっていません。

ただ、デジタルデバイスの過度な使用による後天共同性内斜視は、やはり元々近視の方で多い傾向があるようです。

近視の人が眼鏡をかけずに画面を見ようとすると、画面と眼の距離が近くなります

そのため、どうしても寄り目になります。

その状態で、画面から眼を離して遠くを見る と、眼が寄ったまま戻らないことがあります。

今起こっている急性共同性内斜視は、そういう病態ではないかと考えられています。

近視の少ない欧米人では考えづらい病態

急性共同性内斜視(AACE)に関しては、

  1. 遠視
  2. 脳腫瘍などの脳内病変
  3. 精神的ストレス
  4. 近視

以上の4つが原因になることが知られています。

眼鏡をかけていない近視は急に内斜視にな ることがあります。

そのため、現在問題になっている内斜視もスマートフォン使用には関係なく、

「近視を矯正していない患者が内斜視になった」

と考えることもできます。

スマートフォンの過度な使用との関連を調べるには、近視があってスマートフォンをあまり使用しない人と

近視があってスマートフォンを長時間使用している人

での比較が必要になります。

現在行われている調査では、元々の視力・視覚の状態と矯正の状況に加え、眼と画面の距離は何cmあるのか、 何時間見ているのか、座位か臥位か横臥位か、といったことも含めて調査されています。

全ての結果が出るまでには2年くらいかかると予測されています。

まとめ

2019年4月には、世界保健機関(WHO)が

「5歳未満の幼児は1日に1時間以上、座ってタブレットなどの画面を見るべきではない」

という勧告を出しました。

ただし完全に実証されたわけではなく、結論が出るのはまだまだ先だと考えています。

もちろん、6-7歳頃までは視機能の発達期なので、長い時間画面を見ていてよいわけはないですので、一定の根拠はありますが。

ここで批判的に吟味してみると、そもそも欧米では近視が少ないので、スマートフォンの長時間使用が原因となる後天共同性内斜視はにわかには信じ難い病態のようです。

人種の差は文化の差でもあり、日本人におけるきちんとしたデータを出す必要があります。

そして、

「デジタルデバイスの利用によって近視が進むのか」

という根本的な問題もまだはっきりしていません。

確かに近年、近視が増加していて、その増加の時期とスマートフォンが子供たちに普及してきた時期が重なっているのですのは事実です。

国レベルでのしっかりとした検討が必要だと思います。

長文、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

登校(登園)許可症の必要性:感染症後に

これは実体験に基づいて感じた疑問です。

感染症後に求められる登校許可証の謎

私の娘もインフルエンザにかかりました。
そして、体調がよくなっていざ保育園に通園できるとなったときに保育園から。。

「医師に登園許可書にサインをもらってきて登園時に提出してください」

とのことでした。

ちなみに学校保健法では、インフルエンザにかかった後の登園の可能時期について以下のような記載があります。

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」

法律で定められている内容はこれだけです。

要するに登園許可証の必要性は言われていません
そのため、厳密には登園許可証がなくても登園はできるわけですが保育園に預かってもらっている以上なかなか保育園の方針を拒否することもできず、体調がよくなった娘を連れて登園許可書をもらいに行きました。

インフルエンザや手足口病が流行:学校保健法の出席停止

インフルエンザと聞くと冬の感染症のイメージがつよいですが、6月の段階でもインフルエンザの感染は報告されていて、さらに最近では手足口病の流行が言われています。

うちの娘もなったインフルエンザ。

娘の場合は冬でしたが、発熱を伴う体調不良で元気もなくひたすら寝ていました。

インフルエンザは飛沫感染で感染が広がる危険性があるため学校保健法の出席停止として定められています。

出席停止は、学校保健安全法第19条で定められています。

[aside type=”warning”]出席停止
校長は感染症にかかっており、かか っている疑いがあり又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、 出席を停止させることができる [/aside]

出席を停止させることができるのは医師ではなくて校長(園長)です。

要するに許可証を発行すべきなのは校長または延長のはずですが、なぜ医師が許可証を発行する必要があるのかというと謎。

出席停止の解除に自信のない校長が医療機関を頼っているうち に、なんとなく慣習化したのでしょうか。

出席停止解除の基準の明文化

出席停止解除の基準はきちんと明文化されています。

この判断基準が、非医師が判定できないようなものだった場合い医師の判断を仰いだらいいのではないでしょうか。

先ほどのインフルエンザの記載

インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発 症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで。

これであれば家で保護者が判断できますし、それを基に学校長や園長が出席停止解除の判断をすることも可能なのではないかと思います。

ただ、判断困難なものも確かにあり、そういった難しい疾患には以下のように出席停止日数の 基準を定めているものもあります。

[aside]
結核、髄膜炎菌性髄膜炎及び第三種の感染症にかかつた者については、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。 [/aside]

このような疾患は、記載のある通りに医師の判断をしっかり仰ぐよう校長から指示をしなくてはならないと思います。

しかし、そうでない感染症まで登校許可証を医師に求める必要は、ないのではないでしょうか。

なぜなら医師の登校可能であるとする判断基準と、感染症法に記載されている登校可能であるとする判断基準大差がないからです。

医師に許可を求める理由

登校許可証を医師に求める理由として、「感染症を隠して通学してくる人がいるかもしれないから、 きちんと医療機関で通学していいかどうかを判断してもらうべきだ」というような意見があることも事実です。

しかしながら、医師も嘘を付かれたらどうしようもありません。

医師の診察の際には必ずカルテを記載しますが、それは患者や患者の保護者の問診をもとに記載されます。

医師もたくさんの患者を診る中で、一人の患児の解熱が何日前だったかは保護者の情報以外には知りようがありません。

他の医療機関で診断されていたら、発症したタイミングを知るのはますます難しくなります。

その医療機関にこちらが連絡すれば分かるかもしれませんが、他院に個人情報を電話などで問い合わせるのは個人情報保護が重視されている現代ではかなり困難です。

治癒証明などを発行する際は、保護者の情報から判断することになるので、嘘をつかれたらそれ以上のことは知ることはできません。

また、救急外来や休日診療所などでインフルエンザの診断を受けた人が、症状改善後にかかりつけ医を受診しても、かかりつけ医も自信を持って登校許可証を発行できません。

行政の態度

登校許可証について、行政の対応も様々でありある自治体のウェブサイトにはこんな記載があります。

感染症に罹って、医師からの出席停止の指示をうけた場合は、登園する際「学校感染症に係る登園 に関する意見書」が必要です。

受診料や意見書代など、お金がかかることを強制するのであれば、それなりの法的根拠が必要です。

市内の医師会には協力を仰いでいるようですが、医師の診断の時間を割いてもらい意見書にサインをもらう。

診療のプロの意見を伺うのに行政からはタダでお願いするというのも腑に落ちません。

さらに患者のことを考えるなら、健康な状態にも関わらず外来で待つことを強要するのは健康管理上よくないと思われます。

一つの感染症がよくなっても、別の何らかの感染症をもらったのでは本も子もありません。

これだけ法的な根拠はなく、おかしなことでも現時点ではいろいろな園や学校でほぼ義務のように提出が求められている、治癒証明書。

医師にも患者にも負担となるこの証明書。

いったい誰のための証明書なのでしょうか。