梅毒の感染が拡大中:自分は大丈夫は危ない!!

あまり触れられることの少ない、性感染症(性病)。

昔に流行した梅毒による感染が、今になって問題視されています。

梅毒自体は抗生剤の効く感染症ですが、自分は大丈夫といって検査などを行わず知らぬ間に感染が拡大しているのが現状です。

また、梅毒と混合しやすいのが尖圭コンジローマです。

梅毒と同様の性感染症(性病)の一つですが、梅毒は原因が梅毒トレポネーマであるのに対し、尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です。

HPVに関しては、下記の記事で詳細に記載してありますので、併せてご参照ください。

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薬剤師目線:梅毒について

20代女性は5年で14倍、男性は20~50代で4倍という脅威の数字。

梅毒の流行が大変なことになっています。

国立感染症研究所の発表によると、2018年第44週(10月29日~11月4日)、医療機関から届け出があった梅毒の累積患者数は5811例

このまま行けば年内に6000例超えはほぼ確実とみられている。

梅毒の届け出数は、2014年頃から急激に増加し始めて、昨年は年間報告数が44年ぶりに5000例を超えたことが話題になりました。

ニュースなどでも取り上げられたため、見た記憶がある方もいるのではないでしょうか。

特に増加が著しいのは20代の女性で、2013年~17年の5年間で、20~24歳では40例から551例で約14倍、25~29歳では33例から418例で約13倍に増えています。

一方男性は全体的に女性よりも患者数が多く、25~54歳まででは728例から2877例で約4倍

特に45~49歳では91例から484例で5倍以上に増えていると言われています。
厚労省『性感染症報告数 年齢(5 歳階級)別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移

梅毒大流行の理由:外国人旅行者が引き金に!?

大流行の理由として2016年には、

性行為の低年齢化

コンドームを使わずに性行為を行う人が増えていること
が挙げられていました。

身を守るすべを知らない若者の実態が反映されている
との考察が主流を占めていました。

しかし本当の原因はそれだけでしょうか。

以前から性行為は低年齢化していましたし、コンドームを使わない性行為もしかり。

1940年代のペニシリンの普及以降、劇的に減少していた発症数が2013年あたりから急増に転じたのには、 それ以外にも理由があるといわれています。

理由として注目されているのが訪日外国人旅行者の急増です。

2013年には初めて1000万人を超え、 2015 年には約1974万人と前年比47.1%も増加。

2016 年には約2404万人に達し、わずか3年で2.3倍にも伸びています。

しっかりした調査が行われていないので断定はできないが、関係はかなり深いとみている専門家も多いのが現状です。

例えば、訪日外国人数第 1 位の中国では、日本以上のペースで梅毒の感染が拡大しており、中国 の全体人口が日本の10倍なのに対して梅毒患者数は300倍だといわれています。

訪日数2位の韓国も近年、梅毒やHIVなどの性感染症が急増しています。

外国人の患者が来日し、性風俗産業で働く若い女性に感染させている可能性は十分に考えられます。

2014年以降に患者が急増したある地方都市の調査では、2017年に異性間性交渉で感染した男性のうち 71.2%が過去数ヵ月以内に風俗店を利用しており、女性の25.9%はCSW(コマーシャルセックスワーカー:性労働者)が占めていたというデータがあります。

訪日外国人⇒20代風俗嬢⇒大人の男性たち

という図式です。

大人の男性たちの先では、30~40代の女性たちにもじわじわと拡大が広がっています。

しかし決して外国人は来るなという短絡的な結論ではこの問題は解決しません

国際化が進み、アジアはどんどん一体化しているということが背景にあります。

それはインフルエンザが冬の病気から通年の病気へと変化しつつあることにも関連があるともいわれています。

インフルエンザに関しては、下記の記事もご参照ください。

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梅毒の感染対策

そもそも感染症対策は

どこの国に責任がある

という問題ではなく、こうしたグローバル化の進展を念頭に考えなければいけません。

ちなみに、風俗との関係が深そうだというと、自分は関係ないと思ってしまう人がいそうですが、その考えは実は甘かったりします。

感染拡大には、近年増えているSNSや出会い系アプリを通して知り合う交際も影響していると、 多くの専門家はみています。

なんとかしなければいけないのは事実ですが、対策がなかなか効果を発揮しないの背景には、医者にも患者にも

梅毒は過去の病気

という認識があるからです。

ほんの100年前の大正時代には、日本人成人男性の10人に1人は梅毒だったというデータがありますし、戦後間もない1949年には年間17万6000人余りの患者が発生したと報告されています。

特効薬である抗生物質ペニシリンの実用化と普及のおかげで、患者数は激減しましたが、かかる人が減れば当然、医者も梅毒の診断に疎くなるのは事実です。

梅毒は、

  • 視力低下(ぶどう膜炎)
  • 頭痛
  • 関節炎
  • 腎炎

など非常に多彩な症状をきたす一方で、全く症状がない時期もあるため偽装の達人と呼ばれるほど診断が難しいといわれています。

しかも症状がない期間も感染力はあります

患者は、自分では性病と気づかないまま、泌尿器科、皮膚科、産婦人科などを受診し、医者は医者で梅毒と見抜けず、根本的な治療を行わないまま患者を帰してしまうため、梅毒の感染拡大にぜ んぜんブレーキがかからない事態になっているのです。

梅毒感染:日本だけは大丈夫!?

日本だけは大丈夫

という正常性バイアスが危機を呼んでいます。

このような状況から日本医師会は2018年8月、会員に対して、日本性感染症学会と協力し梅毒診療ガイドのダイジェスト版を配布しました。

「全診療科の医師が、梅毒が増えていることを念頭において、非特異的な皮膚病変、あるいは皮膚以外でも説明がつかないような臓器病変を診たら、積極的に抗体検査を行って、梅毒の可能性を除外していくようにしてほしい」

と呼びかけています。

また検査を受けて陽性だった場合には、パートナーの受診を医療従事者が積極的に推奨することも重要だといわれています。

厚労省は、梅毒の発生動向をより詳細に把握することを目的として、来年をめどに届け出基準を改正する予定です。

すでに医療従事者の方の手元には新しい書式の案内が来ているのではないでしょうか。

新たな届出事項には、

  • 性風俗産業の従事歴・利用歴
  • 梅毒既往歴
  • 妊娠の有無

などが加えられています。

梅毒感染リスクの軽減

では、一般人はどうしたらいいのでしょうか。

梅毒はHIVなど他の性病と比べて非常に感染力が強く、たった 1 回の性交で感染する可能性は15~30%もあり、誰でも感染しうる病気です。

予防には、

  • 不特定多数の人との性行為を避けることと
  • 性行為の際は最初からコンドームをつけること

が推奨されていますが、感染リスクを減らせるだけで完璧ではありません。

予防よりもむしろ、感染が心配なときは検査を受け、陽性だったら確実に治療し、他人にうつさないようにすることが肝心だといわれていますが、
正直、実行する人は限りなく少数派と思われます。

というのも、例えば成人病予備軍とされる人たちは、どんなに健康のために生活習慣を改めましょと呼びかけても、なかなか生活を変えようとはしません。

人間は、無症状のまま差し迫る危機に対しては正常性バイアスが働いてしまう生き物だからです。

[aside type=”warning”]正常性バイアス
水害、地震、津波、火災などの危険が目の前に迫っていても、正常な日常生活の延長線上の出来事だと決めつけ、「自分は大丈夫」「まだ大丈夫」などと思い込んでしまう人間の心理的な傾向を指します。 [/aside]

風俗にハマっている男性陣は、たとえこの先、感染リスクがどれだけ叫ばれようとも、「自分だけは大丈夫」と油断し、妻や恋人に感染が拡がってしまうかもしれません。

海外での性感染症対策

中国では性病検査キットが大学の自動販売機で買えるというのです。

中国社会では梅毒だけでなく、性感染症はかなり大きな問題と捉えられていて、

  1. 本気で梅毒を封じ込めるには、性風俗産業でのキスとオーラルセックスの禁止、コンドーム使用の徹底、定期的な血液検査の実施が必要。
  2. 対策を徹底している業者には適応マークを発行し、利用者に安全を担保する。
  3. 利用者は、適応マークがある店以外には行かない。
  4. 昨今の風疹予防対策と同じように、感染が心配な人には検査を受ける際に助成金を出し、金銭的負担を軽減する。
  5. 検査で陽性となった人には、 治療費を補助する。
  6. すべての過程において、プライバシーが守られるよう情報管理を徹底させる。

という施策が行われています。

HIV 感染者とエイズ患者の増加が深刻化している中国
(HIV感染者は43万7377人、エイズ患者は32万1233人、あわせて75万8610人。エイズの死亡者は法定伝染病の中で最も多い) 。

学生の間でもHIV感染が増加傾向にある一方で、学生に対しては啓発活動による効果も表れやすいため、大学生は予防教育活動の重点対象になっているようです。

実際に2017年11月に、清華大学、北京大学、人民大学等、北京市にある大学11校に、HIV検査キットの購入できる自動販売機が置かれました。

特色としては医療施設での検査に比べ手軽で、プライバシーが保たれやすいことであります。

販売機の中には飲料やスナック菓子などとともに検査キットが並んでいるため、そこで何かを購入していても怪しまれることはありません。

販売機のタッチパネルを押してキットを選択し、スマホの電子決済で購入する。

学生にとってはコーラを買うのとまったく同じ動作で検査キットが購入できます。

実際はもっと費用はかかると思われますが、大学プロジェクト価格30元と印字されています。

30元は日本円で約500円弱なので、お手頃価格です。

またHIVは梅毒とセットで感染することが多いので、梅毒の検査も同時にできれば、梅毒の感染拡大防止にも役立つのではと注目されています。

日本では販売機ではまだ変えませんが、自宅でプライバシーを保ちつつ検査するキットがあります。

まとめ

日本ではまだまだ啓蒙や啓発が不足している性感染症

今回は梅毒を中心に記載しましたが、HIVなども問題となっています。

もし日本で、先ほどの中国の例と同じように東京大学や京都大学の構内に検査キットの自動販売機が置かれたら。。。

インパクトも啓蒙効果も相当なものになるのではないでしょうか。

明確な施策を行わないと、日本だけは大丈夫と国民みんなが正常性バイアスを働かせている間に、 梅毒感染がどんどん拡大していってしまうかもしれません。

性感染症は身近なものです。早期発見、早期治療が重要です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

風邪や疲れが原因で繰り返す単純ヘルペスウイルス:抗ウイルス薬が有効です

月末や年末年始。

仕事の種類によっても違うかもしれませんが、繁忙期には疲労が蓄積しますよね。

特に季節の変わり目などは、風邪をひくこともあるかもしれません。

体の免疫力が下がっているそんな時に、口の周りに触らなくてもピリピリとした痛みやかゆみを伴う、プツプツとした水ぶくれのようなものができることがあります。

それは、口唇ヘルペスといって、単純ヘルペスウイルス感染症の一つです。

他にもウイルスが原因の感染症はたくさんあります。

下の記事もよかったら、参考にしてみてください。

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薬剤師目線:単純ヘルペスウイルスについて

単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると死滅することなく、症状が消えた後も感覚神経に潜んで、おとなしくしています。

これを潜伏感染と言います。

このウイルスは免疫力が低下した時に再活性化して、病気を引き起こすというのが大きな特徴です。

そのため、単純ヘルペスウイルス感染症は、繰り返し症状が現れます。

症状が出現する部位によって、

  • 口唇ヘルペス
  • 顔面ヘルペス
  • 角膜ヘルペス
  • ヘルペス性歯肉口内炎
  • 性器ヘルペス

など呼び方が異なり、症状や病型が多彩なことも特徴です。

皮膚にできる発疹は、接触性皮膚炎(かぶれ)など他の皮膚疾患と間違えられやすく、自己判断による治療の遅れは苦痛を長引かせ、周囲へ感染を拡大させる恐れがあります。

そう、このヘルペスウイルスは容易に周囲に感染として広がることがあります。

ウイルスの型

このウイルスには、1型(HSV―1)と2型(HSV―2)の2種類があります。

両方のウイルスとも皮膚に生じた水疱や、口腔内と陰部などの粘膜で増殖し、感染力は強力です。

感染経路

感染経路は主に接触感染で、水ぶくれの中の液に直接手で触れ、その手で目や口などの粘膜をさわることで感染が起こります。

口をつけたグラス、患部への頰ずり、タオルを介した感染も可能性がありますが、健常人では皮膚の防御(バリアー)機構により感染しません。

ただし、皮膚が傷ついている、皮膚炎を起こしている場合などは、感染を起こします。

感染力が強いため、症状がある時だけでなく、潜伏感染状態で無症状の時にも主に唾液を介して他の人に感染します。

一般的に症状は軽いことも多いため、知らないうちに感染が拡大してしまい ます。

疫学と症状

全世界で、50 歳未満の37億人(67%)がHSV―1に感染していると推定されています。

HSV―1とHSV―2に初めて感染した時は、どちらであっても全身の至る所に皮疹が出現します。

ところが、ウイルスが潜伏する神経節が異なることから、再発時に症状が出る場所は違ってきます。

こめかみのあたりにある三叉神経節に潜伏するHSV―1の場合、再発時には顔面を中心とした上半身に症状が出ます。

一方、腰のあたりにある腰仙髄神経節に潜伏する HSV―2 は、性器や下半身に皮疹が出る性器ヘルペスの原因となります。

性器ヘルペスは、大部分がHSV―2による性行為感染症です。

約70%が無症状ですが、皮疹や粘膜ではウイルスが増殖しているため、自覚のないまま他人へ感染させてしまうことが問題です。

実は怖いヘルペスウイルス:新生児ヘルペス

1型、2型いずれのウイルスも原因となる新生児ヘルペスは主に産道で感染します。

全身の様々な臓器に感染し、治療をしなければ死亡する確率が高い病気です。

分娩(ぶんべん)時、母体に性器ヘルペスの症状がある場合は帝王切開が推奨されており、詳しいウイルス検査に基づいて、抗ウイルス薬のアシクロビルによる新生児に対する予防や治療が行われます

新生児ヘルペスは、出生後に他人から感染することによっても発病するので、皮疹が出ている人との接触は要注意です。

ヘルペス歯肉口内炎

ヘルペス歯肉口内炎は、主に幼児期にHSV―1の初感染で発症します。

口腔粘膜や歯肉に水疱が多発し、高熱や不機嫌、食欲不振が現れます。

抗ウイルス薬が投与されることもあります。

単純ヘルペス脳炎

単純ヘルペス脳炎は、HSV―1初感染に伴うものに多く、高熱、けいれん、意識障害が現れま す。

高用量のアシクロビルで早期に治療を始めることが重要です。

しかし、致死率が高く、後遺症なども問題となります

ヘルペスウイルスへの治療

初発および再発時の単純ヘルペス感染症全般に対する治療は、原則的に抗ウイルス薬であるアシクロビル、あるいはバラシクロビルの内服が中心です。

また、外用、点眼など局所療法が使用される場合もあります。

重症例では、点滴により高用量で十分な期間、投与を行います。

  • 感染症の重症度
  • 免疫状態
  • 常用薬
  • 腎機能

などにより、必要な抗ウイルス薬や投与量、投与期間は異なります。

頻回に再発を繰り返す場合、予防的に抗ウイルス薬を内服することができます。

再活性化時のウ イルス増殖を低用量の抗ウイルス薬で防ぎ、症状が出ないようにするものです。

長期間の服用も安全であることが確認されており、感染の拡大防止の面でも有効です。

治療、予防ともに、医師や薬剤師の指示を守って抗ウイルス薬を使用することが大切です。

バラシクロビルについての、効果や飲みあわせ、注意点などについては私もお世話になっている、皮膚科薬剤師のせいまるさんのブログがとても参考になりますので、併せてご参照ください。

まとめ

単純ヘルペスウイルスは、自分が感染しやすく、また他人に感染させやすい、そして何度も再発する厄介なウイルスです。

正しい知識を身につけて治療することが大切であり、自分を守ると同時に、周囲の人を守ることにつながります。

また、なかなか難しいことかもしれませんが、疲れやストレスも原因の一つとなります。

体調管理や健康管理に気を付けて予防しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

おやつ(間食)にカギが!血糖値の謎:糖尿病患者にも効果のある分食について

今年も残りあとわずか。

12月といえば、忘年会のシーズンですよね。

そして、忘年会の後は年末年始を迎えて新年会へ。

例年、12月から1月にかけて体重が増えたという声をよく聞きます。

今回は、テレビでも紹介された血糖値についてまとめました。

血糖値は、血液中の糖の量のこと。

血糖が高い状態を示す、高血糖。

一般的に1日の間の血糖値の変動幅が、上限の140を超えると高血糖といわれています。

生活習慣病の一つである糖尿病を防ぐために高血糖に気を付けている方も多いのではないでしょうか。

ですが、実はあまり知られていない低血糖の危険性。

心臓や睡眠にまで影響を与える低血糖について、記載していきます。

薬剤師目線:血糖値のミステリー

お酒を飲むと血糖値はさがる??

夜の居酒屋を訪れ、これから宴会をやるという方々の血糖値を、ある程度の時間をおいて2回測定を行った。

その結果、食事前に90だった男性は87と下がった。

138だった男性は96になっていた。

血糖値が下がった人に話を聞くと

  • 飲み終わった後のナゾの空腹感
  • シメのラーメンが楽しみ

などと話した。

米からできているはずなのに、お酒を飲むと何故か血糖値が下がる。

お酒を飲んだ後にシメが食べたくなる、誰しも一度は経験する原因はこういう理由からだったようです。

お酒で血糖値が下がる!?

普通に食べ物を食べると、

食べ物から糖に分解され肝臓が糖を血液中に流し血糖値が上がります。

アルコールをとると肝臓はアルコールを優先的に分解するので、糖は血液中に送られなくなります。

血糖値が低いと体は栄養不足と認識して空腹感が強くなります。

お酒を飲んだ後はシメが食べたくなる理由は、実はこのような体内の流れでが関係していたのです。

しかし実際には体内でその後、アルコールの分解の後に血糖値は上昇します。

今までは高血糖が注目されていましたが、あまり注目されてなかった低血糖にものすごい落とし穴がありました。

医学界も注目している低血糖のリスク:血管や心臓にも影響が

低血糖は、体に深刻な影響が出ることが最近分かりました。

心臓の病気の中の一つ、狭心症。

狭心症の主な原因の1つは血糖値が高いことです。

最近の研究において、狭心症患者の血糖値の変動を24時間測測定すると、異常がない人と比べると食後の血糖値はすこし高めになることがわかりました。

しかしそれ以上に注目されたのは、1 日に何度も70のラインを下回ってることでした。

これにより低血糖と心臓疾患の関係を裏付ける手がかりに成功したといわれています。

70を下回ってしまう患者の心臓の血管にカメラを入れ血管の内側を移すと、血管の壁が破れていた場所もあったようです。

150人の心臓疾患の患者を調べると4分1もの人に低血糖が起きていました。

血糖値はどこまで下がるのか?

24時間にわたる実験。

午前9時に、朝食を食べた後の血糖値は119でした。

その後、口にして良いのは水だけ。

運動し、温泉に入り、12 時間後測定してみると81になっていました。

夜11時就寝、血糖値は70に近づくもその辺りをうろうろし、絶食して20時間後、血糖値は70を切りました。

次の日の朝、起きて測ると血糖値は74でした。

糖は大事!低血糖になると心臓&脳にまで影響が!

人間の体にとって糖は必要不可欠なエネルギー源です。

そのため血糖値が下がりすぎると、血糖値を戻そうとする仕組みが体に備わっています。

血糖値が70を切ると交感神経が働き、膵臓や肝臓といった様々な臓器がフル稼働し体の中で糖が生み出されます。

しかし交感神経が働くことで血管が縮んだり血液が固まったりします。

低血糖状態が何度も繰り返されると血管がダメージをうけ、心臓では心筋梗塞、脳では認知症など様々な疾患につながる可能性があるといわれています。

実は身近な低血糖:ある習慣が原因に!

健康診断で問題がないと言われた28人が24時間血糖測定器をつけて1週間生活してもらうと、

28人中5人が低血糖になっていたタイミングがあったとのこと。

血糖値の下がり過ぎを指摘された人たちの暮らしぶりを見てみると、

  • 一人は夜9時、仕事帰りに中華料理店でチャーハンとラーメンを食べた。
  • 別の一人は仕事が終わり夜9時に冷凍うどんと揚げ物を食べた。

低血糖になった人に共通していた週間は、遅い時間にがっつりご飯を食べていたことでした。

心臓と脳を脅かす血糖値:原因は遅い時間のドカ食い

食事間隔が長いと空腹感が強くなり、一度にたくさんの食事をとる

どか食い

の原因になるといわれています。

さきほどの場合は、炭水化物と脂質中心のドカ食いが問題だったとのこと。

炭水化物を食べると血糖値は急激にあがります。

その反動で血糖値がだんだん下がってくるということ。

夜中に起こる低血糖に気づくためのサイン

夜8時45分過ぎに、餃子セットをたっぷり食事。

夜12時に就寝。

夜1時過ぎ血糖値が低下し目が覚めた。

基本的に人間は、寝るときは副交感神経が働きます。

しかし今回の場合は、その時には交感神経が働いていた。

その結果、体が緊張モードになり睡眠が妨げられたというもの。

血糖値が下がりすぎていた方は、ほとんどの人が夜中に目が覚めることが多い傾向にありました。

低血糖の症状のチェックポイント

  • 夜睡眠の途中で目が覚めてしまう。
  • 食事の間隔が長く夜 遅い時間にガッツリ食べる習慣がある。

この 2 つが当てはまる人は低血糖がおきているかもしれません。

低血糖を予防するための対策

リスクのある低血糖を予防するには、間食が重要です。

低血糖が見つかった人に、夕食が遅くなりそうな時には前もって軽くおにぎりを1個食べてもらう。

そのような生活をおくって1 週間経過し血糖値を測ると、70を下回ることはなかったというもの。

低血糖の予防のためには、実は間食を止めない事が大切のようです。

しかし間食するにあたり注意点があります。低

血糖になりやすいのは長い空腹時間後の「どか食い」です。

晩御飯が遅くなりそうな日は小腹が空いた時におにぎり1つくらいの間食がおすすめです。

間食した日の晩御飯は控えめにすることもお忘れなく。

また、早めの時間に炭水化物を取る方法は分食といい、 糖尿病患者の食事法の1つでもあります。

他にも野菜を先に食べると血糖値の上がり方を緩やかにしてくれる。

オクラや納豆などのネバネバ系も血糖値が上がりにくいといわれています。

いろいろな方法があるので、ご自身にあった方法を選択することが重要です。

まとめ

意外と知られていない、低血糖のリスクについて紹介しました。

食べ物もおいしく、何かと外食の機会や食べる量そのものが増える12月と1月。

血糖値に関する正しい知識を理解して、病気を予防しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

冬の感染症対策:インフルエンザ、ノロウイルス~医療・介護施設から家庭まで~

師走に入り、一段と寒くなってきて冬本番。

寒さとともに、冬季の感染症の流行期もやってきます。

冬に流行する感染症の代表格である

  • インフルエンザ
  • ノロウイルス

今回はこの2大冬季感染症について、医療・介護施設と家庭での対策についてまとめました。

薬剤師目線:冬の感染症対策について

感染症の一番の問題は、ヒトからヒトへうつることだと思います(専門用語では伝播といいます)。

医療・介護施設でも家庭でもヒトからヒトへの感染は容易に起こり、時に医療・介護施設などでは面会制限や施設の閉鎖まで大きな問題となることがあります。

介護施設に関しては、現役の介護師さんのひまわりさんの記事が参考になります。ぜひご覧ください!

家庭では閉鎖空間の中で、かなり濃厚接触をするためヒトからヒトへうつりやすい状態でもあります。

インフルエンザ

インフルエンザの一般的な流行は、例年1月末ごろから3月上旬にかけてピークを迎えるといわれています。

インフルエンザについては、他の記事でも触れていますのでご興味があればご参照ください。

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年によって流行が早かったり、遅かったりしますが基本的にはインフルエンザA型が最初に流行し、後にインフルエンザB型が流行してくることが多いという特徴があります。

そのため、人によっては

「1年に2回インフルエンザにかかった」

なんて人も周りにいるかもしれません。

今年のインフルエンザのシーズンは、新薬であるゾフルーザの登場により治療薬の選択の幅が広がりました。

ゾフルーザの詳細は、下記の記事もご参照ください。

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基本的には、咳などによる飛沫感染によってヒトからヒトへうつりますが、感染者が触れたドアノブなどからうつる、接触感染もあります。

ノロウイルス

ノロウイルスは通常10月から2月ごろにかけて感染のシーズンが続きます。

ウイルスは、牡蠣やアサリなどの二枚貝に蓄積されたものを食べることによってヒトに感染します。

ただし、ノロウイルスの怖いところは少ないウイルス量でも感染が成立してしまうため、感染者の嘔吐物や排泄物からうつる二次感染のケースが非常に多い感染症です。

感染してしまうと、激しい下痢や嘔吐、腹痛があり、38度以上の発熱も伴います。

しかし、インフルエンザと違ってノロウイルスは食品関係の勤務者や小児、高齢者など一定の基準でないと検査を行いません。

基本的には他の胃腸炎と同様に診療されます。

感染者は症状が回復しても、その後1週間から1か月間、排泄物とともにウイルスが体外に出るといわれています。

医療・介護施設の感染症対策

医療施設といっても、病院や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など様々な施設があります。

ですが、基本的な感染症対策としてやることに差はあまりありません。

ここでは、どの施設でも行える対策について広く記載します。

季節性の感染症への対策は、

  • 流行前
  • 流行期
  • 流行後

のそれぞれに分けて対策を組む必要があります。

各施設において、流行前に実施しておくべき主な対策は3つです。

  1. 職員に対する感染対策の注意喚起、対応策の再確認
  2. インフルエンザワクチンの接種
  3. 必要物品の確認

職員に対する感染対策の注意喚起、対応策の再確認

冬の感染症対策として、職員への注意喚起や対応策の再確認を実施するのは、流行前の9~10月から始めるべきといわれています。

流行期になってから対策しても感染した患者や利用者への対応で手いっぱいになり、対処が遅れがちになってしまいます。

患者はもちろん職員を守るためにも事前の準備が必要です。

流行前に確認すべき対応策は、手指衛生などの基本的なこと(標準予防策)に加えて、かぜ症状の患者や利用者、面会者が来院した際の対応や、ノロウイルスを発症した患者が施設内で嘔吐した場合の対処法などが挙げられます。

事前に施設にあったマニ ュアルを作っておけば共有もしやすいと思います。

流行前のシミュレーション実施が効果的

ノロウイルスの感染者への備えとしては、嘔吐物処理セットの設置と使い方の確認があります。

できれば全職員で模擬吐物と処理セットを用いて練習しておくと、有事の時に迅速な対応もできると思います。

感染源の吐物を迅速に処理し、換気しながら次亜塩素酸ナトリウムで消毒する必要があります。

また、全ての職員に出勤可否のルールを徹底することも重要です。

37℃以上の発熱がある場合など、かぜ症状の有無を報告する体制を施設内で築き、難しいかもしれませんが、感染症を発症した職員が気兼ねなく休める環境をつくることも重要です。

個人の責任感から職員が無理して出勤することで、感染が拡大することもあります。

インフルエンザワクチンの接種

医療施設で働く医療関係者のワクチン接種は欠かせないものとなっています。

日本環境感染学会による医療関係者のためのワクチンGL第2版では、原則として毎年1回のインフルエンザワクチン接種が推奨されています。

必要物品の確認

流行前に準備する必要物品には、

  • 咳症状がある患者や利用者、面会者にマスク着用を求める掲示物
  • 職員や患者、利用者が着用するマスク、手指消毒剤、手袋

などがあります。

マスクは、近隣地域の感染症の発生動向調査などでインフルエンザの流行開始と報告された頃から終息まで着用し続けるとより予防効果が期待できます。

全職員が1日に1~2枚利用すると考えて、備蓄や供給ルートを確保することも大切です。

冬季は乾燥しやすいため加湿器を用いている医療機関もあるが、その場合はレジオネラ菌緑膿菌の発生を防ぐため、水をためるタンクやフィルターを毎日洗い、乾燥させなければならない。

それができない場合は、患者や利用者の免疫状態を考慮して、加湿器の利用は避けることも考える必要があります。

職員発症時の対応

インフルエンザ発症時

職員が発症した場合は接触状況の確認が重要です。

事前に上記の対策を十分にしても、職員がインフルエンザに罹患することはあります。

発症した職員が気付かず患者や利用者と接していた場合は、接触状況とマスク着用の有無を確認する必要があります。

飛沫感染で広がるため、マスクを着用していれば感染拡大のリスクは低いと判断することができます。

糖尿病患者や免疫抑制剤服用中など感染リスクの高い患者には事情を説明し、抗インフルエンザ薬の予防内服を行うことを考える必要もあるかもしれません。

ノロウイルス感染時

ノロウイルスの感染経路は接触感染飛沫感染が中心となります。

手指衛生を徹底すれば、基本的に患者や利用者への感染拡大のリスクは低いといわれています。

感染対策には感染経路を踏まえた対応が重要です。

家庭での感染対策

ここからは、家庭での感染対策についてです。
これは、なないろ日和という番組からの引用です。

感染対策といっても、家庭での対策のメインは予防するための部屋掃除が中心となります。

インフルエンザウイルスは室温20℃以下、湿度50%以下で活動が盛んになるといわれています。

外から持ち帰った潜在ウイルスが部屋のホコリに付着、ハウスダストで感染する危険もあります。

間違った掃除ではホコリは拭えません。

病気を予防する家庭内の環境を作るには、徹底的にホコリを除去することが必要です。

家の中の

  • リビング
  • トイレ
  • 寝室

この3か所の掃除方法と部屋の環境づくりについて記載します。

リビング

リビングの基本的な掃除方法について。

冬季は掃除の時に窓を開けることはおススメしません。

なぜなら、外の汚れたものが入るのが理由です。

窓を開けるなら、掃除が終わった後がおススメです。

またエアコンの風でもホコリが舞うため掃除中はオフにすることがおススメです。

フローリングの掃除方法では、ウェットタイプのモップではウイルスや菌を塗り広げてしまうので、乾いたモップ・ドライシートの使用がおススメです。

また正しい拭き方としてモップの先頭が常に進む方向を向くこと、部屋の中央から端にかけて行うことが重要です。
掃除機で掃除をする場合は、ほこりが十分取れればモップなどは使用する必要はありません。

フローリングの白い汚れは人間の脂による汚れのことが多く、これには重曹水を用いるときれいに落とすことができます。

方法は、重曹水を床に吹きかけたら1分放置し、タオルに汚れを吸い付かせるように拭き取るというもの。

トイレ

実は部屋の中で一番ホコリが溜まる場所、それはトイレといわれています。

トイレットペーパーの繊維やチリ、衣類についたホコリ、ドアの隙間から侵入したホコリなどが理由です。

トイレ掃除する際は必ずゴム手袋を着用します。

トイレ掃除では順番が最も大事であり、最初に壁と床のホコリを取ります。

ガラス用のスクイージーを使って、 壁に当てて上から下に引いていきます。

床も壁と同じように行った後、続いて便器を掃除です。

便器に洗剤を噴霧して、2~3 分放置すると汚れを分解して落ちやすくなります。

ノロウイルスや胃腸炎の家族がいる場合、便器を直接磨くとブラシや容器が汚染されるため、ブラシにビニール袋を被せて使います。

掃除が終わったらブラシを抜き、袋を裏返して捨てます。

ホコリを溜めないこと、ブラシを汚さないことがトイレ掃除のポイント。

ノロウイルス対策としては、塩素系の漂白剤2mlを500~600mlの水で希釈し、便器、手すり、ドアノブなどを消毒します。

最後に掃除の後は手洗いを行いましょう。

寝室

寝室はトイレに次いでホコリが多いといわれています。

寝具は毎日取り替えるのが理想ですが、なかなかできないのも現状です。

取り替えられないときは枕周辺にタオルを敷き、毎日取り替えれば病気のリスクを軽減できます。

インフルエンザウイルスが活性化しにくいのは室温20℃以上、湿度50%以上の環境。

エアコンを使う場合はセットで加湿器を使用することが大切です。

湿度が上がりすぎるとカビやダニの温床となるので、湿度がコントロールできる加湿器がおススメです。

まとめ

医療施設と家庭での感染対策の方法について記載しました。

一つの考えとして、ご自身の施設やご家庭でアレンジしていただけると幸いです。

ちなみに、ウイルスの家庭での感染対策というと少し前に空間除菌という言葉がありました。

今でも発売はしているようですが、空間除菌で今回の感染症が予防できるか。

これに関しての詳細は、下記の記事をご参照ください。

[kanren postid=”421″]

施設でも家庭でも感染症が拡大してからでは遅いです。

しっかりとした正しい知識を得て、感染症対策を行いましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんだけではない!!

MRICという情報サイトから配信されたメールマガジンにて取り上げられた内容です。

ヒトパピローマウイルス:HPVといいますが、ワクチン接種後の副反応の問題で日本では接種率が格段に下がりました。

マスコミの過剰報道の影響ももちろんありますが、医療者側も健康被害を訴える患者に対してきちんと向き合わなかったことが、この問題を大きく、また長期化させることとなったと思います。

ワクチンと神経症状などの副反応との因果関係(直接の関連性)は、現時点では否定されています

医療者も医療を受ける側も正しく理解したうえで、医薬品を使用することが一番大切と思い、今回まとめました。

世界で広がるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種

イギリス政府は、ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)が関連するがんを予防するために12~13歳の男児に HPVワクチンを接種することを決定した、と発表しました。

米国、ブラジル、カナダ、オーストラリアなど世界20カ国では、すでに男児への接種が推奨されています。

今回の発表により、イギリスも男女ともにHPVワクチン接種を推奨する国の一つに仲間入りしたことになります。

日本の女性での接種率が上昇しないとは反対に。

実際のところ、

「結局、HPV ワクチンって打った方がいいの?」

というのが素直なところだと思います。

結論からは、副反応との因果関係は証明されていないことや、子宮頸がんを防ぐことができる現時点で唯一の方法でもあるため、私からは断然推奨します。

こちらの記事も参照ください。

[kanren postid=”119″]

ヒトパピローマウイルス(HPV)

最近、小学生の女の子がいる保護者は気になっている話題ではないでしょうか。

しかし実際のところ、HPV ワクチンの未接種、子宮頸がん検診にそもそも行ったことがない、または診療時間中に仕事または学校を休んでまで検査に行けない、などという女性が多いのが現状だと思います。

今回はHPVワクチンについて、世界における研究結果の紹介です。

はじめに、皆さんはHPVが男女問わず感染するということを聞いたことがありますか。

ウォマック・アーミー・メディカル・センターによる調査では、2013年から14年において、米国を代表する 18~59歳の男性1868人のうち、半数近い45%がHPV感染、25%が高リスクHPV感染を認めたと報告しています。

実は、性交渉の経験のあるヒトなら、誰でも一度はHPVに感染すると言われているのです。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の型

HPV には、100種類以上の型があります。

がんの原因になる高リスク型は少なくとも13種類あり、このうち、HPV16 型と18型の 2種類が、子宮頸がんの原因の7割を占めているといわれています。

HPV 感染したからといってすぐがんになるわけではなく、初期に感染した場合の多くは免疫力によって排除されます。

しかし、持続感染してしまうとがんになるのです。

最も一般的なのは、子宮頸がんです。

子宮頸がんのほぼ100%は高リスク型HPVが原因です。

子宮頸がんの疫学

子宮頸がんは、20代後半から40代前半の女性が発症しやすく、日本では毎年1万人が罹患(病気にかかり)し、約3000人が死亡していると推定されています。

母親が幼い子供を残して亡くなっていることから、「マザーキラー」とも呼ばれています。 ところが、子宮頸がんだけでなく、ほかのがんも、HPV感染が関連していることがわかってきました。

中咽頭がんはその一つです。

中咽頭がん

オーラルセックスを介して、喉の粘膜細胞に感染したHPVが周辺の細胞をがん化させるのです。

アメリカ疾病管理センター(CDC)が2011年から14 年のデータ解析を行ったところ、口腔部のHPVの罹患率は、18~69 歳の成人で7.3%であり、男性で11.5%、女性で3.3%でした。

また。高リスク型の口腔部HPVの罹患率は、18~69 歳の成人で4.0%であり、男性で 6.8%、女性で1.2%でした。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで行われた2010 年から 12 年 の調査によると、イギリスにおけるオーラルセックスの頻度は、25 歳から34歳の女性では79.7%、 男性では 80.0%。

かの有名なNature誌においては、オーラルセックスを介することによって、HPV 陽性の頭頸部がんが近年急増しており、1985年の16%から 2025 年には90%にまで 達すると推定されているとのこと。

ほかにも、膣がんや外陰がん、肛門がんや陰茎がんも HPV 感染が関連していることがわかってきました。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

HPV ワクチンを接種することは、パートナーへHPVを感染させないだけでなく、男性も HPV感染による頭頸部がんや肛門がんのHPVに関連したがんを予防できるメリットがあるのです。

HPVワクチンの有効性は、世界的にみとめられています。

そして、副反応で話題となった神経障害などとのワクチンの関連性も証明されていません。

2018 年5月、イギリスに本部のある非営利組織コクランは、様々な臨床試験の評価結果として「子宮頸がんの前段階の予防効果には高い確実性がある」との見解を公表しました。

2016 年に米国疾病予防管理センターは、米国でHPVワクチン接種開始から6年間で、米国の若年女性のHPV感染率が大幅に低下したことを報告しています。

実際のデータとしては、14~19歳の女性は64%、20~24歳の女性は 34%もHPV感染率が低下したというもの。

ワクチンの副反応

ワクチン接種による副反応は様々なメカニズムで起こっている可能性があって、明快な答えは出ていません。

実際、WHO は2017年に複合性局所疼痛症候群・体位性頻脈症候群は, 承認前後の報告でワクチン接種との直接の関連を認めなかったと副反応について声明を出しています。

また、 日本産科婦人科学会は、HPVワクチンの接種勧奨が中止され5年間が経過した間に、国内外において、数多くの研究がなされ、ワクチンの有効性と安全性を示す科学的なエビデンスが、数多く示されたとの見解を 2018 年6月に出しています。

日本のHPVワクチン接種の現状

日本は、平成6~11年度生まれの女子のHPVワクチン接種率が70%程度であるに対して、平成25年6月の接種の積極的勧奨中止などの影響により、平成12年度以降生まれの女子では接種率が劇的に低下してしまいました。

なんと平成14年度以降生まれの女子では1%未満の接種率となっています。

一方、米国疾病管理予防センター(CDC)の2013年の発表によると、13歳から17歳の女性への接種率は2012年では33.4%。

欧州における接種率は、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の2012 年の報告書によると、 イギリス80%、イタリア65%、フランス24%、ポルトガル84%と日本に比べると高い接種率が並んでいます。

今の状態が続くと国際社会において日本だけが、子宮頸がんの発生率が増加するのではないかと懸念されているのです。

そしてこのままではワクチン接種の重要性や必要性が判明したころには、時すでに遅しのような状態になってしまいます。

世界的には接種して当たり前だ、という意識が強いHPVワクチン。

自分だけではなく、愛するパートナーや子供を守るために、今一度、HPV ワクチンについてしっかりとした情報をもとに理解する必要があると思います。

ノーベル医学生理学賞受賞者からのメッセージ

m3.comからの引用です。

このサイトは医療情報全般を網羅、薬剤師はもちろん医療従事者であれば登録していて損はないサイト内容となっています。

2018年ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授は、現地時間の12月8日13時半より、ストックホルム市内のホテルにてノーベル・スピーチ後、初となる記者会見を開きました。

会見の最後にNHKの記者が、子宮頸がんワクチン問題を含む日本の医療政策における課題に関するコメントを求められると本庶氏は、

「NHKさんがこの問題を取り上げることは非常にいいことだと思う。マスコミはきちんとした報道をしていただきたい」

と述べました。

また、

[aside type=”boader”]
「子宮頸がんワクチンの副作用というのは一切証明されていない。
日本でもいろいろな調査をやっているが、因果関係があるという結果は全く得られていない。
厚労省からの(積極的接種)勧奨から外されて以来、接種率は70%から1%以下になった。
世界で日本だけ若い女性の子宮頸がんの 罹患率が増えている。
一人の女性の人生を考えた場合、これは大変大きな問題だ。
マスコミはワク チンによる被害を強く信じる一部の人たちの科学的根拠のない主張ばかりを報じてきた」 [/aside]

と続けました。

医学や科学の問題について論じる際にマスコミ関係者に注意してほしい点として、

[aside type=”boader”]
「科学では『ない』ということは証明できない。
これは文系の人でも覚えておいてほしいが、科学では『ある』ものが証明できないことはない。
『証明できない』ということは、科学的に見れば、子宮頸がんワクチンが危険だとは言えないという意味だ」
と述べ、
「なぜこれを報道しないのか。先日学会でも講演し たが、ルワンダなど(リソースの少ない国)でもワクチンを導入して子宮頸がんが減っている」[/aside]
とコメントしました。

[aside type=”boader”]
「このことに関し、はっきり言ってマスコミの責任は大きいと思う。
大キャンペーンをやったのは、 朝日新聞、毎日新聞、読売新聞。メジャーなところが全部やった。
そしてNHKも責任の一端があると思う。
今からでも遅くないから、きちんと報道してほしい。
実害が生じている」 [/aside]
と述べ、主要報道機関が誤った情報を広げたことにより、日本人女性が必要なワクチンの接種を差し控えている現状について警鐘を鳴らしたといわれています。

本庶氏は10月5日に藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)で行われたノーベル賞受賞決定後の初講演でも子宮頸がんワクチン問題について取り上げ、

「国際的にみても恥ずかしい状況」

とコメント。

10月11日には根本厚労大臣を訪問し、子宮頸がんワクチンの積極的接種の勧奨再開の要請を行った。

しかし、12月11 日現在、この問題に触れたメディアはありません。

まとめ

冒頭にも書きましたが、現に症状があって日常生活がままならない健康被害にあった患者がいるのも事実です。

その現状を受け止め、健康被害に対する対応を真摯に行えば、日本のワクチン接種率は今後上昇してくるのではと思います。

ちなみに、子宮頸がんワクチンで今一番有効とされるのは9価のHPVワクチンである「ガーシダル9」です。

9価とう数字は大きい方がさまざまなHPVの型をカバーすることができます。

しかし、日本で承認されているガーダシルは4価のもの。

本当の意味で国民の健康を考えるのであれば、ガーダシル9を承認して日本国内でも適応内で使用するという動きも、HPVワクチン接種率上昇には必要だと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

エビデンスから食生活を考える:コーヒー、1日に最適のカフェイン量とは

コーヒー。

毎日飲んでいるという人も多いのではないでしょうか。

朝コーヒーを飲まないと仕事にならない。

眠くならないためにランチにはコーヒーを。

コーヒーに含まれているカフェイン。

適度に取るのはいいけど取りすぎはよくないなど、いろいろな情報があります。

今回はそのコーヒーが死亡リスク低下にどれだけ効果があるかという内容です。

今回のテーマは「コーヒー」。

数多くの研究結果によって、毎日適量を飲むことで、がんや糖尿病をはじめとした各種の疾患リスクが低下するというコーヒーの素晴らしい効果が明らかになっています。

薬剤師目線:コーヒーは最大のポリフェノール摂取源!?

コーヒーは、日本語では「珈琲」という漢字が当てられ、明治・大正期から親しまれてきた飲料です。

しかし、私たち日本人にとって、野菜や果物、緑茶などを上回ってトップに位置する、抗酸化物質のポリフェノール源だというデータがあります。

ポリフェノールが健康にいいというのは、だれしも耳にしたことがあるはず。

21~56 歳までの日本人 109 人の 1 週間分の食事内容を分析した研究によると、ポリフェノールの約半分がコーヒー由来で47%、2位の緑茶。

1毎日何杯も愛飲する人が多いコーヒーを筆頭とする飲料はポリフェノールの摂取源としてかなり大きな比重を占めるようです。

1 日 4 杯のコーヒーで、各種の疾患リスクが低下

コーヒーは世界中で飲まれているだけに、健康や病気予防との関係を調べた数え切れないほどの研究があります。

今回は、アンブレラレビューという研究。

アンブレラというと、ゾンビを倒しながら進むゲームを思い出しますが、今回はまじめな話。
若干内容的に古いか。

アンブレラレビューはいくつもの研究を統合分析した論文(総合解折研究)ばかりを集めて、さらに真実度を突き詰めたいわば論文の親方のような研究のことです。

59の統合解析研究を集約したアンブレラレビュー:がんや生活習慣病のリスク低下

コーヒーを飲むことで、乳がん、子宮内膜がん、大腸がん、前立腺がんといったがん、糖尿病、 心血管疾患、パーキンソン病などのリスクが低下し、各種死因を総合した死亡リスクも減るとしています。

結論としては1 日4~5杯のコーヒーを飲んだときに、これら疾患のリスクが最も低くなる傾向が強かったというもの。

218 の統合解析研究のアンブレラレビュー:がん発症リスク軽減

この研究では 1日3~4杯で各種疾患のリスクが最も低下し、全体の死亡リスクは 17%減り、 がんの発症リスクは 18%減るとしています。

心血管疾患、前立腺がん、肝臓がん、子宮内膜がん、皮膚がんなどのがん、メタボリックシンドローム、糖尿病、肝硬変、うつ、アルツハイマーなど、前のアンブレラレビュー同様、リスクを下げる可能性がある疾患がいくつも挙げられています。

ただし、コーヒーを飲むことによるリスクとして、このレビューは早産・流産および女性の骨折リスクを挙げている。

要するにコーヒーは病気には効果あるが、妊婦の早産、流産。そして女性の骨折になるリスクが上がるかもしれないというものです。

しかし、このリスクの原因になるのはカフェイン。
妊婦さんは特に気にしているかもしれないので、最近販売されているカフェインがふくまれていないもの(デカフェ)、なら問題はないのかもしれません。

カフェインの場合、妊娠中は体から排泄されるのにかかる時間が約2倍になるので気を付けること、
さらに骨に関しては1日4杯(カフェイン量で 400mg)程度までは問題ないだろう、といわれています(*4)。
元論文は、こちら

カフェイン摂取:大人も子供もほどほどに

他にカフェイン摂取については、
大人で 1 日400mg以内、妊婦では1日300mg 以内、子供では体重1kg 当たり1日2.5mg/kg 以内に抑えれば害はなさそうとする別の統合解析もあります。
元論文は、こちら

このような研究から最終的に、
健康な大人なら 1 日4~5杯まではカフェインの害が出る可能性は低く、健康に役立ってくれるといえそうとのこと。

しかし、睡眠の妨げになる場合もあるため、就寝前に飲むのはやめておいたほうがよさそうです。

日本人のデータ:コーヒー1日3~4杯で死亡リスクが下がる

さっきまでのは、海外のデータをもとにした解析の結果。

では、日本ではどうか。

日本人とコーヒーに関しても研究は多く行われています。

なかでも、9万人を平均18.7年間追跡してコーヒー摂取と死亡リスクの関係を調べた研究では、 コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低かったという報告があります。

1 日1~2 杯、5杯以上ではいずれも 15%死亡リスクが減少していたので、やはり日本人にもコーヒーがよいのは間違いなさそう。

研究の中で、主要な疾患別のリスクとしては、がんでは明らかな減少が認められなかった。
しかし、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクは1日3~4杯をピークに有意に下がったというもの。

別の解析では、がんのリスクも軽減

がんに関しても、別の解析では1日3杯以上飲むと脳腫瘍リスクや女性の結腸がんリスクが下がるといった結果が出ています。

日本人の結果をまとめると、
1 日約3~5杯コーヒーを飲むことで、いろいろな病気のリスクが下がる。
ということになる。

実際、このくらいの量まではカフェインを飲んでもあまり問題がない。

まとめ

今回は身近なコーヒーについて、記載しました。

適量であれば、コーヒーはいろいろな病気のリスクを避けてくれそうな印象。

ただ、取りすぎや寝る前などは避けるようにしましょう。

補足ですが、少し触れたデカフェについて。

今回報告した内容が、デカフェコーヒーでも同様な効果が得られるのかについて。

海外で発表された研究では、共同作業前にコーヒーを飲むことで、個々の仕事への貢献度が高まり、チームのパフォーマンスが高まったという内容。

これはデカフェよりカフェイン入りで効果が高かったということ。

そのため、デカフェについては今後の検証が必要なのかもしれない。

再度までお読みいただき、ありがとうございます。

まぶたがピクピク痙攣する症状の原因

パソコンやスマートフォン(スマホ)などが普及した現代。

移動中にパソコンやスマホを使用している方も多いのではないでしょうか。

読書をするにも電子書籍などの普及に伴い、目を酷使する時間が多いのが現状です。

私自身もたまになることがある、まぶたがピクピクする現象

薬剤師目線:まぶたがピクピクする症状

まぶたがピクピクする症状には、下記のようなさまざまな理由があります。

  • 眼瞼ミオトニア
  • 眼瞼痙攣
  • カフェインの取りすぎ
  • コンタクトやメガネの度が合っていない

眼瞼ミオキミア

主に、肉体的や精神的な疲れやストレスが原因といわれています。

眼精疲労やドライアイなどという言葉のほうが、身近かもしれません。

よく肩こりの原因にもなるとも言われていて、
自覚症状としては

  1. 眼の奥が重い
  2. 頭痛
  3. 充血

などの症状を伴うこともあります。

しかし、一般的に気づきにくいのがドライアイです。

なんとなく目が乾くなど、自覚症状としてもあまり代表的な症状がないドライアイ。

ドライアイのセルフチェックとして、最大開瞼時間が有用であることが報告されました。

ドライアイのセルフチェック:最大開瞼時間の有用性を検証

順天堂大学(2018年10月10日)から報告された内容では、

まばたきを12秒間我慢出来ないとドライアイの可能性がある

とのこと。

原文は英語ですが、ご興味があればこちらからどうぞ。

この論文では、ドライアイ患者では最大開瞼時間が有意に低下しているため、涙液層破壊時間と正の相関が認められたと発表されています。

[aside type=”boader”]涙液層破壊時間
瞬きを10秒程度我慢し観察を続けていると、ある時から涙が角膜上を覆っていない部分が出現し、次第に拡大していくこの現象を涙液層の破綻といい、これが観察されるまでの時間を涙液層破壊時間。英語でtear film break-up time(BUT)で表します。 [/aside]

ドライアイ

ドライアイは日本に2000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患です。

ドライア イの原因は、加齢、ストレス、デジタル機器の使用時間の増加などがあり、ドライアイは今後も増 加すると考えられています。

今回の研究では、最大開瞼時間(まばたきをできるだけ我慢できる時間)のドライアイのスクリーニ ング検査としての有用性と、新ドライアイ診断基準(2016 年)における最大開瞼時間のカットオフ値の設定のための検証を行われました。

その結果、最大開瞼時間は、ドライアイの診断で必須の検査である涙液層破壊時間との関連性を示し、ドライアイ患者では有意に低下していることが判明したのです。

最大開瞼時間が12.4秒以下の場合は、 感度82.5%、特異度51.0%でドライアイを疑う可能性が高いことが示されたという結果を示しています。

これまでドライアイと診断されないまま、ドライアイ症状でQOLや仕事の効率が低下していた人々に対し、セルフチェックの結果をもとにしたドライアイの啓蒙と眼科への受診を喚起することで、ドライアイの重症化を未然に防ぐことが期待されています。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)

眼瞼痙攣は、だいたいの場合は両目で起きるといわれています。

目の周りの筋肉の動きが過剰になることが原因であり、まばたきがコントロールできなくなります。

眼が開けづらいと感じることもあり、根本的に治療する方法はありません。

しかし、対症療法として現在よく使われているのが、ボツリヌス毒素という筋弛緩薬の一種です。

ボツリヌス毒素を瞼の周り、数か所に少量注射して治療する方法ですが、効果が短いため数か月ごとの通院が必要です。

カフェインの取りすぎ

カフェインを取りすぎると、痙攣の原因となったりけいれんが悪化することがあります。

カフェインというと、コーヒーが一番に想像しやすいと思いますが、実はコーヒーよりも多量にカフェインを含んでいるもの。

それは、エナジードリンクです。

寝不足などで、エナジードリンクを飲む習慣がある人は、身体的や精神的な疲れとともにカフェインを取りすぎていることが瞼の痙攣の原因になっていることもあるかもしれません。

ちなみにエナジードリンク1本にはおよそコーヒー2杯分のカフェインが含まれているものもあるため、コーヒー同様、エナジードリンクの飲みすぎにも注意が必要です。

コンタクトレンズやメガネの度数が合っていない

仕事などでパソコンを使用している時、読書をしている時にけいれんすることが多い場合は、メガネやコンタクトレンズの度数が合っていないことが原因かもしれません。

もちろん、眼の疲れもありますが度数が合っていないことによって、眼自体がピントを調節しようとしている可能性もあります。

疲れやドライアイを改善することはもちろんですが、それでも改善しない場合は眼科受診の際に、メガネやコンタクトレンズの度数の確認や視力検査を同時に行ってもらうことも必要です。

専門性が高く、行っている眼科も限られているため事前確認が重要です。

まとめ

今回はまぶたがピクピクする症状について記載しましました。

今回紹介した以外にも、まぶたがピクピクする症状の原因となる疾患はまだあります。

中には、脳の異常が原因で起こる場合もあり、症状が眼以外に広がる場合や症状が続く場合には一度眼科受診することをおススメします。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

子供の高熱:突発性発疹ではけいれんに注意!!

子供の急な高熱。

親としては、かなり心配になりますよね。

高熱を認める子供の病気は数多くありますが、中でも突発性発疹という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。

今回は、突発性発疹についてです。

熱の上がり際のけいれんに注意が必要です。

薬剤師目線:突発性発疹について

子供は生まれてからしばらくの間は、 おなかの中でお母さんからもらった免疫により感染症から守られています。

しかし、生後を6カ月過ぎるとその効果は弱まっていき、感染症にかかって、熱を上げることが多くなります。

小さいお子さんがせきも鼻水も出ていないのに高熱を出して小児科を受診した際に、

医師から 「とっぱつかもしれない」とか、
「熱が下がってから発疹が出るので、まだ断定はできませんが ……」
と言われた経験がある人も多いと思います。

この『とっぱつ』は、突発性発疹のことです。

突発性発疹は、主に生後6カ月~2歳くらいの子供がかかる病気です。

38~39 度の高熱が3~4日ほど続きますが、自然経過で熱は下がります。

解熱した頃から発疹が現れ、全身へ広がります。

多少下痢気味になることもありますが、比較的機嫌は保たれます。

突発性発疹は熱性けいれんも起こす

突発性発疹は熱性けいれんを起こしやすい感染症としても、知られています。

熱性けいれんは、熱の上がり際に多く、突然意識がなくなり、白目をむいて、体をそらせるように硬くして、手足をガクガク震わせる状態となります。

初めてその症状を親としてみた場合は、パニックになることも少なくはないと思います。

さらに顔色がわるくなり、唇は紫色になります。

熱性けいれんと思われる症状が現れた場合、衣服を緩めて顔を横向きにして寝かせます

けいれんに伴って嘔吐することがあり、窒息する可能性があるので、口の中にタオルなどは、決して入れないでください。

多くのけいれんは5分以内におさまりますが、おさまる気配がない場合や、意識の戻りが悪い場合、救急要請が必要となります。

突発性発疹の原因ウイルス

突発性発疹を起こす病原体としては、ヒトヘルペスウイルス6型と、同7型の2種類のウイルスが知られています。

これらのウイルスに一度感染すると、体が免疫を獲得します。

ただ、6型と7型は似てはいるものの異なるウイルスなので、まれではありますが、突発性発疹に2回かかることがあります。

通常、初回は6型、2回目は7型によって引き起こされることが知られています。

ほとんどの子供は2歳までに、これらのウイルスにかかります。

ウイルスは治った後も唾液腺の細胞などに潜伏感染し、疲れや寝不足、病気によって免疫力が下がった時に唾液中にウイルスが排泄されます。

感染経路は、家族などからのくしゃみ、飲食物を介することが多いと考えられています。

いわゆる接触感染です。

感染力は弱く、感染症法では、届け出義務のある全数把握疾患ではなく、定点把握疾患となっています。

突発性発疹の注意点

保育園内で流行することは通常なく、大人が新たに感染することはありません。

しかし、

  • 極度の疲労
  • 重症感染症罹患時
  • 悪性腫瘍への化学療法などで免疫が低下している状態
  • 熱と臓器障害を伴う薬疹で、症状が遷延化する薬剤性過敏症症候群

以上の場合では、体内で休眠状態に あったヒトヘルペスウイルス 6 型が再活性化して、発熱や発疹、肝障害を引き起こし重症化することがあります。

薬剤性過敏症症候群で再活性化する原因はまだよくわかっていませんが、薬剤によって活性化されたTリンパ球が関与している可能性が考えられています。

まとめ

突発性発疹に対する特効薬はありません
基本的には、熱が出て汗をかいたらすぐに着替えるなど基本的なことを行っていれば、自然に熱が下がり、その後の発疹も消えていく病気です。

しかし、最初は発熱以外に目立った症状があまりないので、熱が下がって発疹が出現するまで、 小児科医は突発性発疹です
となかなか断言できません。

40度を超える高熱では解熱剤を使用したほうがいい場合もあります。

小児科を受診して『とっぱつ』が疑われた場合、他の感染症と同じくお子さんの哺乳状況や活気に注意しながら熱冷ましなどを使用し、症状が悪化するようであれば、再受診することをおススメします。