ポリオ根絶を目指して~生ワクチンと不活化ワクチン~

最近では風疹の流行がクローズアップされています。

同じワクチンでもポリオという名前は聞いたことがあるでしょうか。

実は人類とポリオはとても長い闘いがあり、ワクチンの普及によっていポリオ根絶まであと少しというところまできています。

残念ながら、今問題になっている、風疹はまだ根絶には程遠いのが現状です。

まだまだ流行は収まっていないので、妊娠を希望する女性やそのパートナーは風疹ワクチンの接種をおススメします。

風疹に関しては、詳しくは下記の記事をご参照ください。

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今回はポリオについてのお話です。

薬剤師目線:ポリオ根絶に向けて

ポリオの根絶、と聞いて某人気アニメキャラクターを思い出す方は記憶力がすごいと思います。

実は2005年に、未来の世界のネコ型ロボットがポリオ根絶に向けてCMを行っていました。

今でもまだ見ることができるので、ご興味ある方はこちらを。

ポリオ根絶まであと少しなんです!

と強く宣言する印象的なCM。

その後、十数年が経ちましたが、ポリオは世界から根絶されたのでしょうか。

結論としては、残念ながら2018年の現時点では根絶にいたっておりません。

ポリオ(急性灰白髄炎)

ポリオ(急性灰白髄炎)は、脊髄性小児まひとも呼ばれ、ポリオウイルスによって発生する病気です。

感染経路は、手洗いが不十分な時などに、ポリオウイルスに感染した患者の便中のウイルスを経口摂取する経口感染が主体です。

体内に入ったポリオウイルスはのどや腸管で増殖し、リンパや血液の流れに乗って神経細胞に到達します。

神経細胞内で増殖する過程で、体を動かす運動神経細胞を特異的に傷害するのです。

典型的な症状としては、数日間の発熱や倦怠感の後に、突然筋力低下が出現します。

ポリオウイルス

ポリオウイルスは脊髄、特に腰髄を傷害する頻度が高く、下肢まひの患者が多いと言われています。

傷害を受けた神経細胞は元に戻らないため、まひは回復せず、生涯にわたって残ります。

生涯治らない症状を、不可逆的といいますが、ポリオのまひは不可逆的な症状で、これが問題視され、ワクチン開発に至りました。

実際の症状

症状の程度は様々です。急速に呼吸筋のまひが進行して死に至ったり、まひと筋肉の萎縮が強く歩行ができなくなったりする重症例がある一方で、注意して診察しないとまひに気づかない軽症例も存在します。

これは、病変の及ぶ神経細胞の数によると考えられています。

また、感染者の90%以上は感染しても症状が出ない場合(不顕性感染)もあり、まひ性ポリオになる患者の割合は数百人に一人とされています。

好発年齢

発病しやすい年齢は5歳以下で、一般には小児まひと呼ばれ、恐れられてきました。

19世紀後半から20世紀前半にかけて欧州や米国で数万人規模の大流行が起きました。

日本にも1950年代終盤にポリオ流行の大きな波が押し寄せ、1960年には患者数が5千人を超え、史上最悪の年といわれました。

ポリオは社会的大問題となり、テレビでは毎日、その日に判明した新規患者数を定時のニュースで流していました。

ワクチン開発~生ワクチン(OPV)と不活化ワクチン(IPV)~

日本でも大流行した翌年の1961年、日本はソ連(当時)とカナダから弱毒化経口生ワクチン(OPV)を緊急輸入し、全国の小児に一斉投与しました。

その効果は絶大で、流行は瞬く間に終息しました。

生ワクチンのとは病原体を殺さずに精製した、という意味です。

ワクチンの種類などに関しての詳細は下記の記事もご参照ください。

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ポリオワクチンの登場は1950年代半ばで、当初は、死んだ病原体やその成分のみを使用した不活化ワクチン(IPV)が支持されました。

しかし、OPV の方が IPVに比べ優れた集団免疫効果を発揮しました。

集団免疫効果とは、集団における大多数がワクチンの予防接種を受けた場合、その中で感染 者が現れてもワクチン未接種者への感染拡大が抑制されることです。

ポリオ弱毒化経口生ワクチン

生ワクチン(OPV)は安価で、輸送面にも優れ、投与も口からであり簡便であることから、1960年代以降、世界中に普及しました。

日本では1964 年から国産OPVの定期接種(当時は、生後3カ月以上4歳未満に、41日以上間隔をあけて2回接種)が開始され、80 年を最後に野生型ポリオの発症は見られません。

野生型とはワクチンを原因とするものではない、という意味です。

2017 年時点で残された野生型ポリオの流行国はパキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアのみとなりました。

生ワクチンの影響

日本で野生型ポリオの発症は見られなくなりました。

ところが、OPVでは、250万~500万接種に1回の割合で自然のポリオと同じようなまひ症状(ワクチン関連まひ性ポリオ感染症=VAPP)を示すことがあります。

OPVの高い予防効果はこれまで何よりの恩恵だったのですが、野生型ポリオ感染症が見られなくなった先進国などではより安全なワクチンが求められるようになり、90 年代終わりごろから先進国を中心にVAPP発症のリスクがない不活化ワクチン(IPV) への転換が進められました。

ポリオワクチンの定期接種

日本では他の先進国に10年ほど遅れて 2012年9月、定期接種のポリオワクチンがOPVからIPVへ切り替わりました。

現在、IPV は生後3カ月から接種可能であり、3~8週間間隔で3回、3回目の約1年後(6 カ月後から接種可能)に4 回目を接種します。

接種スケジュールなどの詳細はこちらをご参照ください。ポリオ以外のワクチンも記載されています。

IPVの普及によってポリオ根絶への道は最終段階に入ったといえるのではないかと思います。

ただ、海外から日本への渡航者が感染していて、日本国内で感染が発生する可能性はまだあります。

ポリオウイルスの根絶が確実となるまでは、各国でワクチン接種による免疫維持の努力は続けていかなければなりません。

まとめ

予防接種の健康被害が社会問題化したことから、1975年~77年生まれの人では接種率が低下しました。

ポリオウイルスに対する抗体保有率は約40~60%と、他の世代(80%以上)に比べ低いと言われています。

ポリオワクチンの接種歴が母子手帳で確認できない人でも、抗体の有無は簡単な血液検査で調べられますし、予防接種自体も可能です。

風疹が話題になっている今、風疹以外の抗体があるかないか今一度確かめてもいいのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

高まる感染症のリスク~ジビエブームの中で~

肉食系女子や草食系男子などが、流行したのはまだ記憶が新しいかと思います。

やはり、食事の中でも抜群の人気のあるお肉。

食べ方は、焼いたり、煮たり、しゃぶしゃぶしたりとさまざまですが、お肉を食べると幸せな気持ちになりますよね。

そして、ここにきての

薬剤師目線:野生鳥獣肉(ジビエ)ブーム

わたくし自身も誘われて食べに行ったこともあります。
そのときは、ジビエ界隈の理事長がいらっしゃるコアな集まりでしたが、とても美味しくそして楽しくいただきました。

シカ肉やイノシシ肉などを扱うお店も増えてきました。

読んでいただいている中にも、ジビエ料理店に行ったことがある方は少なくはないのではないでしょうか。

臭みがないジビエ料理は、ヘルシーだったりして豚肉や牛肉とは違った魅力があります。

しかし、普及が進む中で注意が必要なこともあります。

それは、感染症です。

ジビエと感染症

と思うかもしれませんが、最近では結構問題になっています。

ちなみに、この記事はジビエ料理やその専門店を否定するものではありません。

しっかりと管理されているお店では問題なく安全に食べることができます。

妊婦が動物園に行っても特に問題ありませんが、ジビエを食すときは注意が必要です。

クマ肉を食べて、旋毛虫症に

2018年10月末ごろに行われた、

日本感染症学会東日本地方会

その名の通り、感染症を専門とする集団の集まりです。

私も勉強のために参加してきましたが、そこでの報告では、

クマの肉を食べたことで旋毛虫症を発症した事例が、相次いで3例発生したことが報告されました。

3例とも同じ1 頭のクマの肉が原因となった食品です。

食べ方としては、2例はローストして食べ、1 例はカツにして食べていたようです。

札幌の医師が報告をしましたが、最後にその医師は、

ジビエブームの中、旋毛虫症などの感染症リスクが高まっているとして、一般消費者へのさらなる啓蒙が必要と指摘しています。

クマ肉のローストを食べて旋毛虫感染に

一つ目のケースの詳細

従来健康であった北海道在住の40歳代男性。

2018年春にハンターから譲渡された狩猟直後のクマ肉を1週間程度、冷蔵保存していました。

その後、自宅でロースト調理し食べたようです。

食事をしてから22日後に発熱。

その後、かゆみを伴う全身発疹が現れ、咳嗽、呼吸困難感、口唇の腫脹、筋肉痛も出現しました。

近くのクリニックを受診しアレルギーとして治療。

いったん呼吸困難感や発疹は改善しましたが、その後掻痒が悪化したため市内病院を受診しました。

症状や経過の詳細は割愛しますが、最終的に患者からローストしたクマ肉を食べたことが聴取できていたことから、旋毛虫感染症疑いとして治療が開始されました。

アルベンダゾールという寄生虫に対する薬を5 日間と、ステロイドであるプレドニンを1日30mgから少しずつ減量して計19日間投与の投与が行われました。

その結果、発疹が治るまで時間はかかりましたが、次第によくなり、クマ肉を食べてから10週間後に完全に消失しました。

治療開始と並行して寄生虫検査も行われましたが、当初は抗旋毛虫(旋毛虫感染によって上昇する検査値)の抗体価が低く、クマ肉を食べてから37日後に検査では陽性となりました。

また、クマ肉を食べた翌日から冷凍保存されていた同じ個体のクマ肉からは旋毛虫が検出されました。

そのため旋毛虫症と確定しました。

患者からの聞き取りでは、食べたクマ肉は塊ごと約10分間表面を焼き、その後余熱で加熱していたようです。

表面以外の内部の肉は赤いままだったことが分かっています。

二つ目のケースの詳細

30歳代の女性です。

一つめのケースと同じ日に、同じローストしたクマ肉を食べていました。

食事をした20日後に一つ目のケースとほぼ同じような症状が出始めました。

同じような経過をたどり、同じ薬を処方され症状が消失しました。

そこで、クマ肉を食べたことが原因で旋毛虫症となった事例が二つと続いたことから、

同じクマ肉を食べた人を追跡調査が始まりました。

その結果二つ目のケースの母が抗旋毛虫抗体価が陽性となりました。

三つ目のケースの詳細

三つ目のケースは、生のクマ肉をカツにして食べていました。

食事をしてから1カ月ほどして発熱、手足や体の筋肉痛、発疹が出ましたが、その後数日で症状は自然消失したようです。

今回のケースは治療はしていません。

まとめ

2016 年に茨城県で旋毛虫による集団食中毒が発生したことを受けて、厚労省が「クマ肉による旋毛虫(トリヒナ)食中毒事案について」を発信しました。

さらに改めて「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」(厚労省、2014 年)の遵守を求めています。

しかし、今回の三つのケースの旋毛虫症が相次いで発生した背景に、

シカ肉と同様に、ローストすればクマ肉も安全との誤解があった

と指摘されています。

クマ肉はしっかり火を通して食べましょう。

美味しいお肉を食することができる、ジビエ料理。

それぞれの肉によって調理法に注意が必要な場合があります。

専門の料理店で食べるか、専門家の意見を参考にしましょう。

ジビエ料理のセミナーなどもあるようなので、ご興味がある方は参考にしてみてください。

日本ジビエ振興協会

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

ワクチンのポイントと注意点〜不活化ワクチンと生ワクチン、トキソイド〜

インフルエンザが流行する冬。

予防するためにワクチンを打っている人も多いのではないでしょうか。

また、生まれたばかりのお子さんをお持ちの方もワクチンはとても身近なものになっていると思います。

予防医学の中でも重要な役割を持つ、ワクチン

ですが、実はワクチンにも分類や特徴があります。

今回は、ワクチンのポイントと注意点について書いていきます。

薬剤師目線:ワクチンの種類について

ワクチンと一言でいっても種類は種類は下記の3種類です。

  • 不活化ワクチン
  • 生ワクチン
  • トキソイド

です。

不活化ワクチンと生ワクチンに関しては、対象がそれぞれウイルス細菌の二つに分かれます。

分かりやすく表にまとめるとこのようになります。

ワクチンの種類 病原体 
不活化ワクチン ウイルス ポリオ、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎など 
細菌 百日せき、肺炎球菌

ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(ヒブ)など 

生ワクチン ウイルス はしか(麻しん)、風しん、おたふくかぜ、

みずぼうそう(水痘)、ロタなど 

細菌 結核(BCG) 
トキソイド 毒素 ジフテリア、破傷風 

不活化ワクチン

不活化ワクチンは、病原性を消失させたり毒素を無毒化したもののことです。

体の中で病原体が増えることはなく、発熱などの副反応が少ないといわれています。

生ワクチン

生ワクチンは、病原性を弱めたウイルスや細菌を接種し、それらが体の中で増えることによって免疫力をつけることができます。

自然感染に近い状態で免疫がつきます。

トキソイド

トキソイドは、強い毒素を産生する細菌の毒素だけを取り出して無毒化し、ワクチンにしたもののことです。

細菌に感染したときに、毒素による発病を防ぐことができます。

ワクチンで防げる病気:VPD

ワクチンで防げる病気のことをVPDといいます。

VPDとは、

・Vaccine:ワクチン

・Preventable:防ぐことができる

・Diseases:病気

の略です。

そのまんまといった感じですが、予防接種によって防げる病気のことです。

  • 【定期接種】と【任意接種】があり、任意接種の助成の範囲は自治体によって様々ですが、最近は子どもだけでなく高齢者にも定期接種の対象が広がっています
  • 子どもには複数のワクチンを同時接種することが主流となり、有効性や副反応に問題はなく、同時接種できるワクチンに制限はないといわれたいます。

ワクチンのまとめ

ポイント

  1. ワクチン接種は集団免疫の獲得や発症・重症化の予防に効果があります。
  2. ただワクチンの効果は100%ではないため、日常においての手洗いやうがい、咳エチケットが重要です。

注意点

  1. 妊婦への生ワクチンの接種は絶対にダメです。
  2. 授乳中の女性へのワクチン接種なら生ワクチンも可能。だけど、乳児に対する効果は期待できないので、乳児は別に接種が必要。
  3. ワクチン接種後は接種部位をもまない。皮下出血を起こすことがあります。

インフルエンザワクチン

いままで、3価だったインフルエンザワクチンが2015年の接種から4価になりました。

途中から接種の費用が少し高くなったと感じませんでしたか?

今までのワクチンはA型が2種類とB型が1種類であったのに対し、

2015年からはA型もB型も2種類ずつの、4種類のウイルスの型に対応できるようになりました。

ポイント

  1. インフルエンザワクチンは、毎年接種する必要があります。
    • ワクチンの効果が接種後2週間から5か月程度であるためです。
  2. 流行前に計画的な接種が必要です。
    • 特に13歳未満のこどもは1~4週間の間隔を空けて2回接種が必要なためです。

注意点

  1. 卵アレルギーがある場合には注意が必要
    • ワクチンの製造過程で培養するときに孵化鶏卵を使用しているからです。
  2. 副反応は約10%の人にみられます。
    • かゆみや倦怠感など長期化する場合は受診をおススメします。

妊婦へのインフルエンザワクチンの接種は強く勧められています。

なぜなら、

  • 安全性の面で胎児への影響がない
  • 妊婦がインフルエンザにかかると、合併症の危険性が増加するから
  • 妊婦がインフルエンザにかかっても、インフルエンザ治療薬は使用しにくい

ただ、妊娠の初期(妊娠3か月未満)の妊婦は自然流産が起こりやすい時期でもあるので、流産があってもワクチン接種とは関係ないことを、医療者側も十分に説明する必要があります。

まとめ

ワクチンの種類から今の季節話題のインフルエンザワクチンのポイントについて、記載しました。

反ワクチン派なんていう言葉もありますが、予防医学の中でワクチン接種はとても重要です。

こどもは接種の回数が多くなりますが、それでも同時接種などが導入されできる限り防げる病気は防ぐような傾向になってきています。

しっかりワクチンを接種して、予防しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

心臓の薬:ニトロの使い方~誤解ではなく正しく理解を~

循環器の病気によく使われるニトログリセリン。

通称、ニトロと呼ばれています。

インターネットに、

「ニトログリセリンは作れますか?」

という質問がありました。

ベストアンサーは、

「濃硝酸と濃硫酸を1:3に混ぜたものにグリセリンを冷やしながら加えればできます」

です。

生化学系の研究室であれば、容易に手に入るもの。

もし研究をしたければ、薬学部へどうぞ。

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実際に研究室で作成したものが、医薬品に。
これは薬学部の醍醐味でもあります。

少し話がそれましたが、今日はニトロのお話です。

薬剤師目線:ニトログリセリン(ニトロ)の誤解

処方する医師も調剤する薬剤師も、大半は

ニトロは冠動脈狭窄を開く

と思っています。

実はこれ誤解なんです。

ニトロの主なターゲットは静脈です。

正確な作用は、

静脈に血管内ボリュームを引き取る
→心臓の仕事が減って
→心筋虚血の緩和

上記が、抗狭心作用の主な理由です。

薬としてのニトログリセリン(ニトロ)

爆発するニトロと実体は同じです。
爆発物は危険ですが、使い方によっては薬にもなるんですね。

ニトロの歴史は古く、19 世紀末には狭心症の治療に使われていました。

やがて、一硝酸イソソルビドや二硝酸イソソルビドなども開発されました。
これらをまとめて硝酸薬といいます。

日本では1953年にニトログリセリン舌下錠が発売開始。

空気に触れると徐々に効かなくなるという欠点がありました。

そこで 88 年から、口腔内で溶けやすく、失活しにくい現在使用されているニトロペン舌下錠 0.3mg が使われるようになりました。

意外な服用方法~なぜなめるのか~

ニトログリセリン(ニトロ)は飲むと正確な効果が発揮されません。

実際にニトロを飲むと体内では、

ニトログリセリンを飲む

→消化管で吸収

→肝臓で壊される

→効かない

というように飲んでしまうと効果がほとんどなくなってしまいます。
また、飲むことで即効性も失われます。

だから、ニトログリセリンは

飲んだらいけない

のです。

ちなみにニトログリセリン以外の硝酸薬では、この問題はありません。

なぜニトロで血管が開くのか

硝酸薬は血管拡張のスター的存在である、

一酸化窒素・エヌオー(NO)

を産生します。

内皮で作られたNOも硝酸薬のNOも、複数の経路で

細胞内 Ca2+濃度低下

→血管拡張

を促します。

なかでも大事なのは、

サイクリックGMP合成を亢進させること。

どんな病気、どんな時に使用するか

硝酸薬は冠動脈疾患だけでなく、

  • 心不全
  • 高血圧

の急性治療にも使います。

特に静注薬はかなり安いので、よく使用されています。

血管内ボリュームを静脈スペースに移動しやすくするのが硝酸薬の仕事です。

利尿薬ではダメか

血管内ボリュームを静脈スペースに移動するのであれば、

利尿薬で水をくみ出せばいいんのでは?

と思った方。ごもっともです。

しかし、利尿薬は大事なときには効きにくい。
また、時間がかかることや、電解質の変動もマイナス面として働きます。

水分過剰のときに、問題をストレートに解決してくれるところは長所。
患者さんごとの使い分けが重要です。

なぜ動脈への効果は少ないのか

静脈への作用は説明しましたが、では動脈へは作用しないのか。

動脈は酸素が豊富です。

NOは酸素が豊富にある環境では、NO2やHb-NO (ニトロソヘモグロビン) に形を変えてしまいます。

NOでいればこそ活躍できますが、動脈ではその姿でとどまれない
→硝酸薬は動脈では活躍しにくいのです。

なぜ静注を使うのか

即効性のある経口の硝酸薬は、実は血圧の急落の副作用のため心筋梗塞で使いにくい現状がありました。

静注硝酸薬が登場すると、

  • 細かい調節が可能
  • 心筋保護という概念に最適

ということで、心筋梗塞にも硝酸薬は使われるようになりました。

今は心筋梗塞でもステントをすぐに入れるので、静注硝酸薬の活躍のチャンスは減少しています。

硝酸薬の時代は終わったのか

虚血やニトロという言葉はすでに

昔の名前

になりつつあります。

心不全にはまだ登場の余地は残っています。

日本ではヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)の使用が多いですが、海外ではまだ硝酸薬がメイン。

高血圧の緊急症でも使えます。

お値段以上の働きをするニトロ。
お値段以上、○○○と同じですね。

経口薬の今後、未来があるか

少し古いデータですが、海外では心筋梗塞後の5分の1に硝酸薬が投与されていました(GRACE 試験、2010年)。

しかし、心筋梗塞後に経口硝酸薬を続けても死亡率は下がりません。

心筋梗塞の再発は、硝酸薬ありで16%、なしだと39%。
逆に不安定狭心症は硝酸薬が使われている方に多かったのです。

結果としては、冠動脈のイベントは総数としては減らない。
しかし硝酸薬は

心筋梗塞の手前の不安定狭心症で踏ん張らせてくれるのではないか

という解釈もあります。

あまり登場する機会の減ってきた硝酸薬。

今後の価値についての議論は、まだまだ続きそうです。

まとめ

硝酸薬である、ニトロについて記載しました。

ニトロの作用の仕方(作用機序)については、医療者も意外と誤解していることも少なくありません。

硝酸薬には、舌下錠としてのニトロ以外にも貼付剤などもあり、利便性は高い薬剤です。

患者さんに合った、適材適所で薬を適正使用していきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

朝食を抜くと太るを科学的に証明~体内時計の乱れが原因~

今回は、m3.comからの情報の紹介です。

朝食を食べたほうがいい

と、昔から言われていますが実際のところは抜いても大丈夫。

むしろとるほうが、太るなど様々な情報があります。

今回は動物実験から得られた結果をもとに、

朝食を抜くと太るという結果について書いていきます。

朝食を取ることはメタボリック症候群や肥満の予防につながるだけでなく、
体内時計の正常化にも重要であるようです。

医療情報を簡単に得られるm3.comは下記からどうぞ。

朝食を抜くと、肝臓の脂質代謝や体温に関わる体内時計に乱れが生じ、

エネルギーの消費が減って体重増加につながることが研究の結果からわかりました。

詳細は、「PLOS ONE」10 月 31 日オンライン版に掲載されています。

薬剤師目線:朝食を抜くと生活習慣病になりやすい

厚労省の調査によると、2015年の時点で20歳代の4人に1人が朝食を食べてないという実態が報告
されています。

朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群、2 型糖尿病などの生活習慣病になりやすいことが知られて
いますが、どうしてそうなるかという機序は明らかになっていませんでした。

今回の報告した研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役
割を果たすということを、時間栄養学に着目した実験で証明してきました。

朝食の重要性

今回の研究では、朝食の重要性に注目。

ラットを活動期に高脂肪食を与えるグループ(対照群)と、

目を覚ましてから 4 時間後に高脂肪食を与え、ヒトが朝食を抜いた場合に相当する状態にしたグループ(朝食を抜く群)

に分けて2週間観察しています。

今回の報告では、こうした条件はヒトが朝8時に朝食を食べた場合と12時に最初の食事を食べた場合に相当する記載されています。

要するに朝食をしっかり食べたグループと、朝食は取らず昼食を取ったグループで比較をしています。

朝食を抜くと体脂肪量や体重が増加

その結果、

摂取する食事の量に両グループで差はありませんでしたが、朝食を抜いた状態のグループでは、朝食をとったグループに比べて体脂肪量や体重が大幅に増加していた。

というのです。

詳細に解析したところ、

朝食を抜いた状態のラットでは肝臓の時計遺伝子や脂質の代謝に関与する遺伝子の発現リズムが乱れていることが分かったとのこと。

さらに、朝食を抜いた状態のマウスでは体温は食べ始めるまで上昇せず、

食べている間にも体温は低下してしまうことも明らかになりました。

まとめ

これらの結果から、

朝食を抜くと肝臓時計や体温時計に異常が生じ、
エネルギー消費量が減少して体重増加につながると考えられる

と結論づけています。

しっかり朝食をとることは、脳の回転を円滑にするだけでなく、

体内時計を正常化してくれて、さらに体重増加を抑えてくれます。

時間がない朝ですが、なるべく朝食はとるようにしましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

感染症の予防と治療~アデノウイルス感染症~

アデノウイルスは、さまざまな感染症の原因となるウイルスのうちの一つです。

感染経路としては、飛沫・接触・経口と多岐にわたります。

基本的にウイルスなので、これから記載する感染症に抗菌薬は効きません。

アデノウイルス感染症の予防と治療について書いていきます。

アデノウイルスが原因で起こる、流行性角結膜炎については、以下の記事も参照ください。

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薬剤師目線:アデノウイルスについて

アデノウイルスは 50 種類以上の型が報告されていて、それぞれの型によって

  • 咽頭炎、扁桃炎、肺炎などの呼吸器疾患
  • 結膜炎などの眼疾患
  • 胃腸炎などの消化器疾患

上記に示すような、多彩な症状を引き起こすことが知られています。

感染経路は、患者のせきやくしゃみで飛び散るウイルスを含む粒子による「飛沫感染

患者の皮膚や粘膜などに直接触れたり、患者が触れてウイルスが付着した物体に触れたりすることによる「接触感染

手洗いが不十分であることなどで患者の便中のウイルスを経口摂取する「経口感染」など多様です。

体の外に排出された後でも、感染力を長時間維持できる強いウイルスなので、感染した人が触った物や、プールの水も感染源になります。

日常よく見られるアデノウイルス感染症について簡単に説明します

呼吸器感染症

扁桃に白いうみを伴う、急性の咽頭扁桃炎があります。

38~40 度以上 の高熱が 3~7 日間続き、のどの痛みで水分が取れなくなり、ぐったりした様子で外来を受診する患者がいます。
上気道の感染がほとんどで、下気道の感染は非常にまれですが、アデノウイルス7型で重症の肺炎を発症したという報告もあります。

流行性角結膜炎

充血や目やにのほか、「涙が流れる」「まぶしい」といった症状が出ます。

症状が重く感染力も強いので、子供だけでなく大人も注意が必要です。

角膜混濁が数カ月続くこと もあり、眼科での早期診断と適切な治療が重要となります。

咽頭結膜熱

急性咽頭扁桃炎の症状に結膜炎を伴うものです。

主にアデノウイルス3型が原因です。
プール熱とも言われ、夏に流行します。

プールで流行するのは、プールの水が直接目に入ることやタオルの貸し借りが原因と考えられるので、プールに入った後には、

  • 十分にシャワーを浴びる
  • 症状がある場合はプールに入らない

といった注意が必要です。

急性胃腸炎

発熱、嘔吐、下痢などの症状が出ます。

乳幼児に多く、保育園や幼稚園などの集団生活をおくる場所での流行が見られることがあります。

特徴の一つとして、ロタウイルスと同じように白色の下痢が見られます。

便の中にウイルスが排泄されるので、患者だけではなく、おむつ交換をする保護者の方や保育園や幼稚園の先生なども含め、感染予防の手洗いをしっかり行うことが重要です。

アデノウイルス感染症の治療

アデノウイルス感染症は、外来で10分以内に調べられる迅速キットというものがあります。

そのため、症状や身体所見から疑わしい場合は検査をすることがあります。

アデノウイルスには抗生物質は効きません
また、アデノウイルスに対する抗ウイルス薬もありませんので、治療は、症状を和らげる対症療法が主体になります。

対症療法とは、症状を和らげる治療のことであり、せき、鼻水、のどの痛みを和らげる風邪の薬や、熱を下げたり、痛みを和らげたりする解熱鎮痛剤を使うことです。

感染した場合は、自宅で安静にし、十分な水分を摂取することが重要です。

水分が摂取できずに 尿の量が少ない、口が乾燥しているなど、脱水症状が見られる場合は点滴が必要となりますので、 早めに医療機関を受診することが重要です。

咽頭結膜熱(プール熱)と流行性角結膜炎は、学校保健安全法施行規則で出席停止期間が決められています。

プール熱は「主要症状が消退した後 2 日を経過するまで

流行性角結膜炎は「医師が感染のおそれが無いと認めるまで

です。

医療機関をしっかりと受診するようにしましょう。

まとめ

感染症の原因はさまざまですが、アデノウイルスによる感染症は比較的身近で、かつ感染力が強いのが特徴です。

中には、学校や職場を休まなければならない感染症もあります。

疑わしい場合は、登校や出勤する前に必ず医療機関を受診するようにしましょう。

ウイルスが原因の感染症はほかにもたくさんあります。下記の記事もよかったら、お読みください。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

高血圧予防に身近な食品~お酢で予防~

身近な食品であるお酢

実は高血圧の予防や整腸作用など、さまざまな健康効果が認められています。

生活習慣病の中でも多くの人が問題を抱えている、高血圧。

今回参考にした書籍はこちらです。

薬剤師目線:お酢の力について~高血圧予防~

実は、塩分を控えるよりも酢を毎日とるほうが効果があるとも言われています。
そう、お酢には数々の健康効果が認められているのです。

その中でも、もっとも有名なのは高血圧予防です。

お酢の酢酸には、血圧の上昇を抑える働きがあります。

では、どれだけ飲めばいいのか。
飲みすぎてもそこまで問題はないお酢ですが、そんなにたくさんは飲みたくないですよね。

実際の飲む量としておススメされているのは、

酢を大さじ1杯(15mL)を、 毎日とると血圧が下がることが確認されています。
さらに大さじ2杯とれば、その効果はわずか数日で現れるとも。

ただし、酢をやめてしまうと、血圧はもとの状態に戻ってしまいます。
少し大変ですが、毎日大 さじ 1~2 杯をとることが大事です。

何事も継続することが重要なんですね。

「高血圧対策には塩分を控えなさい」

とよくいわれますが、実は酢を毎日とったほうが、目に見える効果が実感できるといわれています。

お酢の力~整腸作用~

酢は腸内環境を整えて、腸の働きをより活発にするともいわれています。

また、血中の総コレステロール値が高い人を対象にした実験でも、酢の健康効果が実証されています。
酢を毎日大さじ1杯とった人はそうでない人に比べ、血中の総コレステロール値が低下していたのです。

さらに、酢をとることでカルシウムの吸収率が高まるので骨粗しょう症予防にもなります。

やはり中でも注目すべきはは、お酢の腸内環境を整える効果についてです。

腸内フローラ

私たちの腸には、約200種100兆個もの細菌がすんでいます。

彼らは仲間の細菌たちと集団をつくって生息しています。
その姿はまるで色とりどりの花が咲き誇るように美しいことから「腸内フロ ーラ」と呼ばれています。
最近ではテレビ番組などにも取り上げられているので、耳にしたことあるのではないでしょうか。

腸内細菌は、その働き方から便宜上

  • 善玉菌
  • 悪玉菌
  • 日和見菌

と分類されています。

腸内フロ ーラは、「日和見菌7割、善玉菌2割、悪玉菌1割」が理想のバランスです。
悪玉菌といっても、まったくいなければいいものでもないんですね。
何事もバランス大事。

腸名フローラが理想のバランスに保たれていると、腸内環境は整います。

短鎖脂肪酸をたくさんつくり出せるので、腸の働きがより活発になります。

ビフィズス菌

お酢には、ビフィズス菌のエサになる「グルコン酸」が豊富です。
ビフィズス菌は善玉菌を代表する仲間の一種で、嫌気性という酸素を嫌う性質を持ちます。
その性質によって、酸素の少ない大腸内に多く存在します。

お酢に含まれるグルコン酸を大腸に送ってあげることは、善玉菌の繁殖力を高める効果があります。

じつは、大腸内は、もともと悪玉菌が繁殖しやすい環境にあります。
悪玉菌は便をエサに繁殖していくからです。

悪玉菌が優勢になると、大腸内での腐敗が進み、有害物質をつくり出します。
有害物質は腸壁の働きを滞らせ、腸のなかを汚します。
そうして悪玉菌たちは、自分たちがすみよい環境をつくっていきます。

しかし、ビフィズス菌のような善玉菌が大腸内で繁殖していると、悪玉菌は異常増殖できなくなります。

善玉菌優勢に腸内フローラが整うと、短鎖脂肪酸の生成量が高まるからです。

短鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸は酸性の性質を持つため、善玉菌が増えれば腸壁が酸性に整います。

悪玉菌は中性からアルカリ性の環境を好み、酸性の場所では増殖力を停滞させます。

反対に、善玉菌は酸性の場所を好み、増殖力を高めるのです。

こうした理想の腸内環境を築くうえで、お酢のグルコン酸はとても有効なのです。

リンゴ酢のお湯割りで、腸を元気に

1 日 1 杯のリンゴ酢をお湯割りで飲むだけで、腸は驚くほど元気になります。

ただ、お酢がいくら腸の健康によいといっても、原液のまま飲んではいけません。
酸が強いあまり、口の中や食道、胃の粘膜などを荒らしてしまいます。

酢の物が好きな人は、酢の物を食べるのもいいでしょう。

他にはこれからの寒い季節に温かいドリンクにして飲む人こともおススメです。

最近は「そのまま飲める酢」も多く流通しています。

ただ、市販で売られている「そのまま飲める酢」は飲みやすいように、食品添加物や合成甘味料が加えられていることがあります。

それならば、添加物を含まないリンゴ酢などのフルーツ酢に、大さじ 1 杯のハチミツを加え、お湯で割って飲んではいかがでしょうか。 お湯で割ると腸が温まり、蠕動運動も活発になります。

まとめ

お酢の驚くべき効果について、記載しました。

高血圧だけでなく、コレステロールを下げたり、骨粗しょう症にも効果があります。

特に重要なのは、整腸作用

これから寒くなり感染症も流行する季節になります。

1日1杯、リンゴ酢のお湯割りを飲むことで腸を元気にし、寒い冬を乗り切りましょう。

今回読んだ本は以下のものです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

インフルエンザの新薬:ゾルフーザの利点と懸念

先駆け審査指定制度によって、今年の3月に販売開始となった抗インフルエンザ薬のゾフルーザ。

1日1回服用のメリットなどもあり、これからのインフルエンザのシーズンに処方されることが考えられます。

昨年のインフルエンザについてと、ゾルフーザのメリットについては、下記の記事も合わせてお読みください。

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今回は、日本感染症学会インフルエンザ委員会から出された提言をもとに、 新薬ゾフルーザの利点と懸念について紹介します。

結論としては、以下の2点です。

  • 利便性は高く、アドヒアランス(1回飲めば治療が完結するため)に優れる
  • アミノ酸変異株の出現の影響は不明

薬剤師目線:抗インフルエンザ薬~ゾルフーザ~

日本感染症学会インフルエンザ委員会は10月1日に、ゾフルーザの評価と使用に関する提言を発表しました。

ゾフルーザの作用機序は、従来薬タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害薬とは異なり、キャップ依存性エンドヌクレアーゼというウイルスの増殖に必要な酵素の働きを阻害することによりウイルスの増殖を阻止します。

要するに、今までの薬とは違った効き方でインフルエンザに効果を示します。

提言の中では、

「臨床的な有効性はタミフル(一般名オセルタミビル)と同等だが、1 回の内服で治療ができることから、利便性が高くアドヒアランスは優れている

と総括されています。

ゾフルーザは期待されていたインフルエンザ治療におけるガイドラインなどへの位置付けは見送られました。

それは、ゾフルーザで治療することによって薬があまり効きにくくなる低感受性変異ウイルスが発生することが報告されたため、 薬剤の効果への影響や周囲への感染性が不明となったからです。

最後に提言では

「今後の臨床症例を蓄積して、ゾフルーザの位置付けを決めていく必要がある」

と結論されています。

ゾルフーザの特徴

発売前の臨床試験でわかったゾフルーザの特徴をまとめると以下のようになります。

なお、プラセボとは「この薬を飲んだら効く」という心理的な要因を排除するために使う、何も効果のない薬のことです。

プラセボより罹病期間が有意に短い

第3相試験(T0831。対象は 12 歳以上 65 歳未満)によると、主要解析である罹病期間(中央値)の比較では、ゾフルーザ群が53.7時間、プラセボ群が80.2時間と、ゾフルーザ群が有意に短かった(P <0.001)。
→インフルエンザに罹っている期間が、ゾフルーザで治療したほうが何も治療しないより短い。

このゾフルーザ群の優越性は、青少年(12~19 歳)群(プラセボ群との差[中央値]:38.6 時 間、P=0.006)と成人(20~64 歳)群(同 25.6 時間、P<0.001)の両方で観察された。
→青少年でも成人でもゾフルーザの使用でインフルエンザに罹っている期間が短くなった。

しかし、成人(20 歳以上 65 歳未満)を対象に行ったタミフル群との罹病期間(中央値)の比較では、 ゾフルーザ群(53.5 時間)とタミフル群(53.8 時間)の間に有意差はなかった(P=0.7560)。
→タミフルとゾルフーザの比較では、インフルエンザに罹っている期間に差はなかった。

副作用はタミフルより有意に少ない

ゾフルーザの副作用として、成人(12 歳以上の小児を含む)の臨床試験(安全性評価試験)では、臨床検査値の異常を含む副作用は5.4%(49/910 例)に認めました。
下痢と肝機能マーカーである ALTの上昇が主なものでした。

また、12 歳未満の小児を対象とした臨床試験では、3.8%に副作用が認められた。

これらの結果から提言では、

「小児も成人も、現時点では問題となる副作用の報告はない

と結論しています。

一方、第3相試験(12 歳以上 65 歳未満)で治験レジメンと関連性があると見なされた有害事象の発現頻度は、タミフル群(8.4%)がゾフルーザ群(4.4%、P=0.009)やプラセボ群(3.9%)より高いという結果だった。
効果は同じだが副作用の出現が少ないという点は、ゾフルー ザ使用の利点となります。

抗ウイルス作用は有意に高い

感染性ウイルス量の減少速度は、ゾフルーザ群がプラセボ群およびタミフル群を有意に上回っていた。
投与開始から 1 日後の感染性ウイルス減少量(中央値)は、ゾフルーザ群が4.8log10 TCID50/mLだったのに対して、タミフル群では2.8log10 TCID50/mL、プラセボ群では1.3log10 TCID50/mL だった。

この点について提言では、

ウイルス感染価を早期に大幅に低下させるので、治療効果と同時に、周囲への感染防止効果も得られる可能性がある」

と指摘。

さらには、同様に抗ウイルス作用の高いゾフルーザでも、

家族内感染の機会を減らすこと が期待できる」

といわれています。

アミノ酸変異株について

ゾフルーザの利点を紹介してきましたが、留意すべき点もあります。

それは、提言が治療戦略上の位置付けを見送った理由でもある、治療後にアミノ酸変異のあるウイルスが高率に検出されたことです。

小児を対象とした国内第3相試験では、ゾフルーザ投与患者のうち、投与前後に塩基配列の解析が可能だった 77例のうち18例(23.3%)で、アミノ酸変異株が検出されています。

変異株を認めたのは、全てA型インフルエンザの患者でした。
また、成人と12歳以上の小児を対象とした臨床試験でも、370例中36例(9.7%)で、同じような変異株が検出されています。

アミノ酸変異の有無別に見た有効性

対象はゾフルーザを投与され、かつRT-PCRの結果に基づきインフルエンザウイルス感染が確認された被検者の集団(ITTI 集団)。

ここでいうアミノ酸変異は、インフルエンザウイルスの複製を担う蛋白質(RNA ポリメラーゼ)で見つかりました。

RNA ポリメラーゼはPA、PB1、PB2の3つのサブユニットから構成されます。
しかし、そのうちPAの遺伝子の38番目のアミノ酸イソロイシン(I)がトレオニン(T)に置き換わっていました(フェニ ルアラニン[F]やメチオニン[M]への置換も見つかっています)

PAにはゾフルーザが作用するキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性があるため、この変異ウイルスが出現したことで、インフルエンザウ イルスのゾフルーザに対する感受性(効き目)は約50倍低下していたといわれています。

アミノ酸変異株の影響

それでは、こうした変異株の出現は、臨床上あるいは公衆衛生上、どのように評価されるのか。

委員会の結論としては、

アミノ酸変異による臨床効果への影響は不明であるとし、これからの検討が必要」

との結論に落ち着きました。

12歳以上65歳未満の患者を対象とした臨床試験(T0831)によると、罹病期間(中央値)は、変異なし群(419 例)が52.4時間だったのに対して、変異あり群(36例)が63.1時間と延長していた(有意差の検定は行われていません)。

ちなみに、 変異あり群の罹病期間が、プラセボ群(80.2 時間)を超えることはなかった。
→アミノ酸変異があっても、何も治療しない場合と比べてインフルエンザに罹っている期間がながくなることはなかった。

また、6カ月以上12歳未満の患者を対象とした臨床試験(T0822)では、罹病期間(中央値)は、変異なし群(86例)が43.0時間、 変異あり群(17 例)が 79.6 時間だった(有意差の検定は行われていません)。

どちらも変異あり群で罹病期間の延長が見られたが、ウイルス感染力価の再上昇を認めた時期となる、投与開始から5日目または6日目以降の「インフルエンザ症状なし」並びに「発熱なし」の症例の割合は、変異の有無別で大きな差を認めていません。

しかし、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の判断は

アミノ酸変異が臨床に与える影響は不明である

でした。

理由としては、アミノ酸変異株の病原性や伝播性に関する情報、さらには治療開始時のアミノ酸変異を有するインフルエンザウイルス感染者に対するゾフル ーザの有効性に関する情報が得られていない、というものだった。

また、ウイルス力価の再上昇が認められたことについては、公衆衛生上の留意が必要とし、

経年的なインフルエンザウイルスの耐性動向調査を継続的に実施し、得られた情報を医療現場に適切に提供する必要がある」

と結論しています。

まとめ

現時点での抗インフルエンザ薬、ゾルフーザの評価として、

メリット:1回の経口投与で済むため、利便性が高く、アドヒアランスは優れている

懸念事項:アミノ酸変異の発生率が高く、それによる治療への影響や公衆衛生的な課題もある

ということでした。

これからのインフルエンザは流行期に入ります。

治療薬の正しい知識とともに、ワクチン接種がまだの方は積極的にワクチンを接種しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

人を動かす技術~まっとうなリーダーシップとは:コミュニケーションをうまく使って~

薬剤師目線:リーダーシップについて

さまざまな技術が生まれる中、

必要とされている技術。

それ自体は実際のところ、古くからあまり変わっていないのかもしれません。

今回は、

「独裁者たちの人を動かす技術」という書籍からリーダシップについて考えてみます。

ヒトラーや織田信長。

独裁者とも言われた彼らが、どのように人を動かしてきたのか。

その技術について記載されています。

独裁者

独裁者

この言葉から、どのような印象を受けるでしょうか。

民衆を虐げ、敵対するものがいれ ば躊躇なく排除し、恐怖で人々を支配する

そんな冷血で残虐な人間を思い浮かべるかもしれません。

この「独裁者たちの人を動かす技術」の著者によると、

独裁者たちは人々を自発的に動かすために

まっとうなリーダーシップ

を発揮していたといいます。

独裁者たちは民衆や臣下から熱烈な支持を集めるだけでなく、誤った方向へ舵を切っているときですら誰にも止められないほどの推進力を生み出す。

彼らがいかにして生まれ、支持を得ていたのかをこの書籍では、古今東西の独裁者たちの言動を詳述。

そこから彼らの「人を動かす技術」を解説しています。

もちろん、独裁者たちの行った虐殺や暴力支配を肯定することはできません。

しかし、自分の思うように事を運ぶために彼らが採った緻密な戦略の数々は驚愕そのものです。

人を従わせるために必要なのは恐怖だけではない。

独裁者たちが実現してきた熱狂の裏には、たゆまぬ努力がありました。

今の時代でも通用する技術として、
リーダーシ ップを発揮したいビジネスパーソンに良いヒントになると思います。

書籍の要点

  1. 独裁者たちは、恐怖で民衆を支配するだけではなく、頼りがいのあるリーダーを演出し、大衆の支持を得られるように戦略的に動いていた。
  2. 配下の承認欲求を満たすには、優秀な人材を集めて気に入ったものを抜擢し、自分にもチャンスがあると思わせて全体の士気を高めること、ポジションを与えることができないものに対しても別の報酬を与えることが有効。
  3. 人の心を動かすために、独裁者たちは自分の見た目にこだわっていた。とくに重要なのは、ハツラツとした若々しさで。

心をつかむ技術

弱者に寄り添う独裁者は、必ずしも弱者の敵だというわけではありません。
多くの独裁者が“弱者救済”のための政策に取り組んでいます。

ヒトラー

アドルフ・ヒトラーが政権を握ったとき、ドイツの失業率は40%に達していました。
しかしヒトラー が抜本的な対策を講じた結果、わずか4年でほぼ完全雇用を達成することになります。
これは、今の世の中でも画期的な数字です。

特にドイツはそのころ、第一次世界大戦に敗北し、多額の賠償金を払わざるをえない背景がありました。

そんな状況下、ドイツ国民はますます熱狂的にヒトラーを支持するようになっていったのです。

織田信長

日本の独裁者、織田信長。

彼は、周りの人間を信用していませんでした。

小難しく述べるよりも、わかりやすいフレーズをひたすら繰り返すことが重要だと冷酷に分析していたのです。
老若男女に思いを伝え、彼ら彼女らから支持されるためには、要点を絞り、短くわかりやすいフ レーズを何度も繰り返す必要がある。

実際ワンフレーズの力は、マネジメントにおいても注目を集めています。

その一つがアメリカのスポーツ界で生まれた「ペップトーク」です。

ペップトーク

これは、監督などが試合前の選手たちを鼓舞するために行う短いスピーチのこと。

選手たちの士気が格段に上がることが報告されています。

ビジネスの現場でも、上司が部下のモチベーションを上げるためにペップトークを実践するようになっているとも言われています。

私も球技を昔やっていた経験もあり、ペップトークを今思えば経験していました。
まさか、それにこんな効果があったとは。

奮い立たせる技術

独裁者たちが自らの野望を実現するためには、人の心をつかむだけでは足りません。

配下には、野望の実現のためにバリバリ働いてもらわねばならないからです。

そのために必要なのは、彼らを奮い立たせること。

人材育成に心を砕いたのが、織田信長です。

有名な話ではありますが、農民の出身でありながらも政治工作の才があるとして、豊臣秀吉を重用しました。
才能を認められた秀吉は、信長の期待に応えるかのごとく、主君亡き後に天下人となりました。

信長は、人種すら気に留めなかったといわれています。

信長の家臣であった「弥助」は、

アフリカのモザンビーク出身でした。

出自よりも能力を重視する彼の様子を見た臣下たちは、「自分にもチャンスがある」と奮起したに違いありません。

抜擢

人材を登用したら、彼らのモチベーションを維持し、長く働いてもらわねばならない。
そのため に効果的だったのが、

抜擢です。

それぞれにふさわしいポジションを与えることでモチベーシ ョンを上げ、支配していたといえます。

功績を称える 抜擢は効果的ですが、実際問題すべての人間を出世させることはできません。
かといって、人材を大切にしていないと、サボタージュされてしまう可能性もあります。

そこで重要になるのが、功績を称えることです。

誰かを高く評価していることが周りの人間にも伝わるようすることも重要です。

織田信長もまた、優秀な配下に褒美を与えていました。

彼が贈っていたのは、茶器である。
これも有名な話かもしれませんね。

茶器の価値を浸透させるために茶会を開いたり、許可なく茶会を開くことを禁じたりもしました。

その結果、配下たちは、茶器を得るために活躍しようとしたのです。

信長がしていたことは、現代で言う「承認」ではないでしょうか。

独裁者たちは、ただ見返りを与えるだけではなくあらゆる手段で配下を「承認」し、彼らのモチベーションを上げていたのです。

自分を魅せる技術

見た目にこだわるヒトラーは、演説によって民衆の支持を獲得していった。

その演説の中には、労働者や中産階級、 愛国者、インテリといったあらゆる人の心に響く内容が含まれていたといわれています。

そんなヒトラーが演説の内容以上にこだわったのが、演説をしている自分の見た目です。

無名の頃から鏡に向かって演技の練習をしていたほど。
さらに、友人のカメラマンに依頼し、演説中の自分の姿を様々な角度から撮影させてもいたようです。

身振り手振りを研究し、民衆にとって頼もしく見えるように工夫を重ねていたのではないでしょうか。

彼はまた、自分の好感度に関わる要素として、自分を護衛する私設警護部隊の見た目にもこだわったといわれています。

外見と身長の基準を設け、その基準をクリアした者だけをそばにおいていました。

ギャップを見せる

話し方や見た目で自分のイメージを確立しても、大衆はやがてそれに慣れてしまいます。

彼らに刺激を与え、自分の人間性に深みを持たせるために効果的なのは、意外な一面を見せること。
そうすれば、自分のイメージを壊すことができる。

ヒトラーはある村に立ち寄った際、ある少女と知り合いました。
その日は少女の誕生日でした。

するとヒトラーは、自ら車を運転して他の村に行き、オモチャやケーキなどを買い込んできたといいます。

そのほかにも、秘書にプレゼントを欠かさなかったり、側近に気を遣ったりと、独裁者としての彼からは想像できないほどの優しさを見せていました。

人はギャップを見せられると、そちらが本質だと思い込んでしまうもの。

独裁者としてのイメ ージが強いぶん、こうした意外性が大きな効果を発揮していたのではないでしょうか。

若々しさを保つ

政治の世界においては、若々しさが功を奏すことがあります。

第35代アメリカ合衆国大統領、ジョン・F・ケネディは、1960 年の大統領選でリチャード・ニク ソンに勝利しました。

テレビ討論会で見せた若々しさが勝利の決め手だったと言われています。

ケネディは、テレビ用のメイクアップをほどこしてテレビ討論会に臨みました。

一方のニクソンは病み上がりで、顔色が悪かったにもかかわらず、メイクアップの申し出を断ったようです。
ニクソンがメイクアップを断ったのは、内容の方が重要だと考えていたからかもしれません。

実際、ラジ オで討論を聞いていた聴衆たちは「ニクソンが勝った」と思ったほど、討論ではニクソンのほうが優 れていたようです。

しかし蓋を開けてみると、勝利したのはケネディでした。

映像を観た視聴者にとっては、若々しくハツラツとしてケネディのほうが大統領にふさわしく見えたのではないでしょうか。
実力よりも見た目が勝敗を分けたという結果に。

人を操る技術

厳しい姿勢を見せる独裁者たちは、ここぞというタイミングでは強硬手段も辞しません。

人を従わせるために恐怖を利用することもありました。

スターリン

ソ連のヨセフ・スターリンは、集団農業体制により、農村から穀物を調達しようとしていました。
しかし農民たちが反発し、調達が思うように進みません。

スターリンは様々な緩和政策を講じたが、事態は好転しませんでした。

そこでスターリンは、食糧を盗んだ者は容赦なく投獄もしくは銃殺刑に処することにしたといわれています。

ルーマニアのヴラド・ツェペシュは、もっと厳しかったようです。
窃盗や虚言が露呈するとすぐさま死刑としました。

盗人を鍋で煮て殺し、仲間たちに食べさせるという刑に処すこともあったようです。

この厳しさは、対象が部下であっても同じように発揮されました。

命令を遂行できない部下は串刺しの刑にされてしまったそうです。
浮気をした人妻やみだらな振る舞いをした女性も、同じく串刺しの刑でした。

その甲斐あってか、ワルキア国の治安は好転したといわれています。

織田信長

織田信長もまた、冷酷な判断を下すことがありました。

彼は父の代からの忠臣である佐久間信盛を本願寺攻めの最高責任者に選びましたが、5年にわたって戦線が停滞すると、信盛を高野山へ追放してしまいます。

長らく仕えた重臣であっても追放されるという事実は、他の者の気を引き締めさせるのに十分でした。

裏切りを許す

罰を科すこと

裏切りを許すこと。

これらは矛盾するように見えるかもしれません。

しかし実際には、独裁者たちの統治にとってアクセルとブレーキのような役割を果たしています。

魏王・曹操は、「徐州大虐殺」を行ったことで知られています。

これは、徐州に逃れていた父が殺されたことをきっかけに怒りを爆発させ、徐州へ兵を向けて暴虐の限りを尽くしたというものです。

そんな彼は、意外にも裏切りに寛容な面を見せてもいます。

最大のライバルである袁紹を撃破したとき、曹操の軍勢は相手方の10分の1程度でした。

曹操の敗北を予想した人が大半であったが、袁紹軍の兵糧庫への奇襲作戦が功を奏し、曹操軍が奇跡的な勝利を遂げたのです。

これに驚いたのは曹操の家臣たち。
彼らは曹操が敗れるものと思い、袁紹に書状を送っていました。

袁紹軍本拠地が陥落すれば、書状も発見されてしまう。
裏切った臣下たちは処刑を覚悟していたことでしょう。

しかし曹操は、意外にも裏切りを許しました。

私でさえ勝てると思っていなかったのだから仕方がない」と言い、

臣下たちの手紙を焼いてしまったといわれています。

怒りに任せて処罰する一面と、処罰を覚悟する人間を許す一面。

自分が生殺与奪の権利を握って いることを臣下に理解させ、アメとムチを使って忠誠を誓わせるという戦略だったのではないでしょうか。

相手を油断させる

新聞記者は、予告なく早朝や深夜に訪問し、相手の不意を突くことがあります。

独裁者も同じように相手が油断しているときを狙い、相手を思い通りに操るのだとか。

キューバの独裁者、フィディル・カストロは、早朝4時に会議を開くようにしていました。

相手を不利な状況に追い込むため、人間の思考が働きにくい時間帯を意識していだといわれています。

参加者たちは、 何が何かもわからないうちに、カストロに丸め込まれてしまうという。

ヒトラーも同じような戦略を取っていました。

彼が好んだのは、夕方の演説です。

人は夕方になると徐々に思考力が落ちていく。

「夕方になれば、他人の支配的な力にも従順になりやすい」

という理由で夕方を選んでいたようです。

独裁者たちは、いつも力を使って屈服させているわけではなく、相手をうまく操るための工夫を重ねていたのです。

まとめ

この書籍では、独裁者たちが用いた22の手法が詳述されています。

その手法は決して目新しいものばかりではありません。
しかし単純な手法であっても、徹底することは存外難しいものです。

独裁者たちは そのような努力を怠らなかったからこそ、歴史に名を残したのかもしれません。

独裁者としての彼らの所業は、多くの人を傷つけました。
しかしそれが可能だったのは、彼らを支持する人たちがいたからです。

彼らの手法と不断の努力には、現代のビジネスパーソンにも学ぶところがあるのかもしれません。

今回紹介した書籍はこちらです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

糖尿病患者に、すべてのワクチン接種が必要な理由とは?〜感染症予防や合併症対策に効果的〜

生活習慣病はさまざまなものがありますが、

その代表格と言ってもいい、糖尿病

糖尿病には合併症も多く、

  • 腎不全
  • 動脈硬化
  • 末梢神経障害
  • 網膜症(失明)
  • 骨粗しょう症

上記のような合併が代表的なものとして挙げられます。

今回はm3.comという医療情報サイトから話題を抽出。

薬剤師や医療関係者なら登録まだの人は有益な情報たくさんなので、おススメです。

では、今回は糖尿病の患者にフォーカスを当て、

ワクチン接種の必要性について、

書いていきます!

糖尿病患者は全てのワクチン接種を!と、

専門家達は強く推奨しています。

薬剤師目線:糖尿病患者は感染症にかかりやすい?

そもそも、糖尿病患者は血糖コントロールが不良な状態が続くと免疫機能が低下するため、

様々な感染症にかかりやすくなると言われています。

そのため、アメリカにおいて糖尿病患者は、

一般的に推奨される予防接種を全て受けるべきだと強調しています。

糖尿病患者は高血糖状態が長く続くことで免疫力が低下し、

インフルエンザや肺炎、 B 型肝炎、破傷風、帯状疱疹などにかかりやすく、

また、深刻な合併症リスクも高まるといわれています。

糖尿病の患者こそワクチン接種を!

糖尿病の専門家であるアメリカの大学准教授は、

インフルエンザや肺炎、 B 型肝炎、破傷風、帯状疱疹などの感染症は、

ワクチンを接種することで予防できるとし、

全ての糖尿病患者は自分がどのワクチンを接種する必要があるかを知り、未接種のワクチンや再接種が必要なワクチンがないかどうかを医師に相談 すべきだ」と話しています。

糖尿病患者に勧められるワクチンについて

インフルエンザワクチン

季節性インフルエンザの予防にはワクチン接種が最も有効です。

糖尿病患者によくみられるインフルエンザの合併症には、

  • 血糖値の上昇
  • 肺炎
  • 気管支炎
  • 副鼻腔炎
  • 中耳炎

などがあります。

三種混合ワクチン(Tdap)

百日咳、ジフテリア、破傷風という深刻な感染症を予防するワクチンです。

三種混合ワクチンは10 年ごとに接種が必要とされています。
これ、実はあまり知られていません。

なお、日本国内では四種混合ワクチン(DPT-IPV;百日 咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ)に含まれています。

妊婦さんへのTdapの接種も今後勧めらていくと思われます。
赤ちゃんを守るために。

妊婦さんへのワクチンを含め、その他食品などの安全性については、以下の記事もご覧ください。

[kanren postid=”237″]

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹を予防するだけではありません。

帯状疱疹や皮膚症状が消失した後に痛みが残る帯状疱疹後神経痛(PHN)、

これを発症するリスクを低減することもできます。

ワクチン未接種者では、

「帯状疱疹やPHNは高齢になるほど症状が深刻になる」

と言われているため、糖尿病患者だけでなく
50 歳以上の場合は帯状疱疹ワクチン接種をおススメします。

肺炎球菌ワクチン

糖尿病患者は肺炎球菌感染による死亡リスクが高いことがわかっています。

肺炎球菌って何?

と思うかもしれませんが、

肺炎球菌は脳の中に感染すると細菌性髄膜炎を引き起こし、
耳に感染すると中耳炎、
肺に感染すると肺炎、
血液中に入り込むと菌血症

を引き起こします。

糖尿病患者は、肺炎球菌ワクチンを65歳になる前に1回、

65歳以降にさらに2回接種することをおススメします。

B 型肝炎ワクチン

B 型肝炎は血糖測定器や指先の穿刺針といった治療器具を共用することで感染するといわれています。

ある研究によると医療従事者(病院で働いている人)は、

B型肝炎に知らないうちに感染する危険性があるとも言われています。

そのため、病院へ就職する場合はB型肝炎に対する抗体価(B型肝炎に対抗する力の値)を確認、

抗体価が低い場合は、ワクチンを接種してから就職します。

医療資格を有する場合は、学生実習などで病院を訪れるときのも

その抗体価が必要とされているので、現在の医療系大学生は抗体価を実習前に確認されます。

そして、糖尿病患者にとってもB型肝炎ワクチンの接種は非常に重要とされています。

なお、接種は60歳未満で推奨されていますが、60 歳以上の場合でも医師に相談することをおススメします。

まとめ

糖尿病患者へのワクチン接種について、まとめました。

ワクチンは病気の予防に多大な効果を示します。

最近では、子供のワクチン接種プログラムや地域の助成なども充実してきているため、
昔に比べて予防できる病気が増えてきています。

糖尿病の患者さんは、リスクがあることを認識してワクチン接種、

今一度考えてみてはいかがでしょうか。

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